脱炭素と夏のエアコン
使い方や型式で、CO2は変わる?

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素?

地球温暖化や都市化で50年前より暑くなる都市部

7月中旬から全国各地で真夏日が増え、連日厳しい暑さが続いています。かつてはニュースや天気予報で「今晩は熱帯夜となりそうです」という言い方をよく耳にしましたが、現在では「熱帯夜」、つまり夜間を通して気温25℃以上となることが珍しくなくなってしまったため、以前ほど聞かなくなりました。  というのも、気候変動(いわゆる地球温暖化)や都市化の影響で、日本の夏は昔よりも暑くなっているのです。2018年のデータですが、東京・名古屋・大阪の三大都市の8月の最高気温は50年前と比べると4℃以上も上昇しています。(出典:NTTレゾナント調べ https://kyodonewsprwire.jp/release/201808096829)

また、気温が35℃を上回る「猛暑日」の回数も、50年前は3都市あわせて3日だけだったのが、2018年には35回と10倍以上になっています。体感的に「昔の夏はもっと涼しかったはず」と思うのは当然のことなのですね。無理せずエアコンを使って夏を乗り切らなくては、熱中症になりかねません。

エアコンの消費電力はどれくらい?

しかし、エアコンといえば「電気代が高くなる!」という意識をお持ちの方が多いのではないでしょうか。空調メーカーのダイキンの調査によると、「夏場の日中、一番消費電力が大きいと感じる家電製品は何ですか?」(単一回答)という質問で、堂々の第1位に挙がったのは「エアコン」。なんと77.5%もの人が夏場の冷房を挙げているのです。

実際のところ家庭におけるエアコンの消費電力割合は大きく、夏の14時頃のピーク時には家庭で使われる電力のうち6割近くをエアコンが占めます(参考:資源エネルギー庁・家庭の節電対策メニュー)。

使用電力が大きいということは、CO2排出量も大きいということ。脱炭素を掲げるグリラボとしては、身体への負担はなく、できれば環境負荷の低いエアコンの使い方をご提案したいと考えます。

サキューレーターの併用や、除湿モードの活用を

環境省によるとエアコン運転時のおすすめの室内温度は、夏は28、冬は20が目安です。誤解されやすいのですが、これはエアコンの設定温度ではなく、結果的にそれくらいの室温になることを目安に空調をかけるのがよいでしょう、ということ。

ただし、この室温だと夏場は暑く感じる人もいるかもしれません。温度計の示す気温が28℃であっても、部屋への日光の入り方や湿度などによって感じ方はかなり異なります。

サーキュレーターや扇風機をあわせて使って空気の流れをつくりだすことや、エアコンのドライ(除湿)モードを使うことによって、同じ28℃でもより涼しく感じることができます。湿度が下がれば皮膚表面の汗が蒸発しやすくなるので、それだけ気化熱で涼しく感じることができるんですね。

設定温度は+1℃でCO2を約8kg削減

また、エアコンの温度設定を1℃調節するだけで大きな省エネ効果が期待できます。夏の冷房運転時には設定温度を27から28に変えるだけで消費電力を約13%減らすことができ、CO2排出量(年間)も7.8kg減らすことができます

なお、これは冬場の暖房運転でも同じで、設定温度を1℃低くすると約10%の消費電力の削減に。設定温度を21℃から20℃に変えるとCO2排出量(年間)を16.8kg減らすことができるんです。

それから風量設定は「自動」モードがおすすめ。なぜならエアコンがもっとも電力を消費するのはつけ始めのとき。設定温度に達するまでは電力を大きく使い、一定温度に達したあとはそれを保つための運転に切り替わり、消費電力が小さくなります。

ですから風量を「自動」にして、つけたばかりのときは風量は強めで早く目標の温度に近づけ、そのあとはなだらかに運転するよう、エアコンにおまかせしてしまうのがいいんですね。

室外機の周辺もぜひチェック

最後に、エアコンの環境を整えることもぜひ意識してみてください。

内部のフィルターが目詰まりしているエアコンでは冷暖房の効率が悪くなり、余分な電力を消費してしまいます。ですから、2週間に1度を目安にフィルターの清掃を行うのがいいでしょう。

掃除機のノズルを使えばものの数分で終わりますから、意外とカンタンな作業です。フィルターをきれいにすることで、冷房では約4%、暖房では約6%の消費電力の削減になるんですよ。

また、エアコンの室外機の環境も一度チェックしてください。吹き出し口の前に例えば自転車や植木鉢などの障害物があると熱交換の効率が悪くなります。室外機の前には何も置かないことが原則です。

また、室外機本体に直射日光があたって熱されると同じく効率が悪くなります。専用のカバーで覆ったり、よしずで直射日光をさえぎるなどするのも有効です。

古いエアコンは買い替えの検討も省エネに

よく知られたことですが、エアコンは古いものより新しいもののほうが省エネ性能が高くなっています。その進化は2010年代以降も続いており、2006年製と2017年製の同型機(2.2kW)を比較すると、約10年間でAPF値(省エネ性能を表す値)が4.5から7.6へと大幅に伸びています。

また、圧縮機や熱交換器などの本体の改善による省エネ性能アップはもちろんのこと、最近ではAIを搭載してソフトウェア側で運転の最適化を図る機種も増えてきています。

例えば、住む人の生活パターンや部屋の特性を学習してそれに合わせた冷やし方をする、人間の座っている位置や人数を把握してそれに合わせて風を送るなど、学習とセンシングによる省エネも行えるようになってきているんですね。こういった機能については従来の省エネ性能とは違って数値化して比較することは難しいので、ご自身のライフスタイルに合ったものをよく検討して選ぶことが重要です。

この夏もかなり暑くなりそうですので、室内で過ごすときこそ熱中症に気をつけて、ぜひエアコンや扇風機をうまく併用してくださいね。

▷関連記事

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素?
バイデン主催の環境サミットが終了 欧米各国が削減目標を上方修正へ

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素?
身近な電気こそ低炭素に。あなたの選択で、地球にやさしく

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素? 脱炭素とモビリティCO2排出量が少ない移動手段は?

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素?脱炭素と消費見直そう、フードロスやファストファッション

▷グリラボSNSのフォローお願いします!!

Twitter @gurilabo

▷アイグリッドグループ

  

   

 

シェア