身近な電気こそ低炭素に。あなたの選択で、地球にやさしく

Why and What is Decarbonization?どうして今、脱炭素?

グリラボは、2020年代の大きな環境のテーマ、また社会のキーワードのひとつが「脱炭素」だと考えています。第2回目のこのコーナーでは、身近な脱炭素の中でも、毎日かならず使う電気について一緒に見ていきましょう。

野菜の産地や農法にはこだわっても電気のつくられ方には無自覚?

みなさんは、普段使っている電気がどこで、どのようにつくられているのかを意識したことはありますか?もう10年前のことになりますが、東日本大震災では東京電力の福島第一原発が事故を起こしました。あのとき多くの人が初めて知って驚いたのが、東京で使う電力が実は東北でつくられていた、という事実です。

例えばお米や野菜ならば、パッケージに産地や栽培方法がプリントされています。ですからスーパーで手に取ったときにも生産方法やどこから来たのかを意識することが多く、また種類によって価格も変わるため、消費者のわたし達も「どれを選ぶのか」という視点を持ちやすいですよね。

一方、電気については産地や製造方法が意識に上る場面は少ないといわざるをえません。そのため、「なんとなく昔からこの電力会社だから」「引っ越したときに契約したまま、同じ電力会社を利用している」という方が多くいらっしゃるようです。

あと10年足らずで46%減へ 厳しく設定されたCO2削減目標

前回のこのコラムでは、人間の出す温室効果ガスの増大が自然災害や食糧不足をもたらすことをお話ししました。それを防ぐためにアメリカ、EU諸国、イギリスは2030年までにCO2排出量を50%ないしそれ以上削減するとしています。日本もそれに追随する形で2030年度までの削減目標を2013年比で46%と置きました。

この高い水準に近づくには、さまざまな分野での低炭素化を合わせ技で行うことが必須です。その中でも切り替えて大幅に効果があるとされるのが「電気」。しかもこれは個人や中小企業にとってこそ取り入れやすい方法なのです。

電気はどれも同じ?…いいえ、発電方法が変われば、CO2の量も変わります

電気と脱炭素にはどんな関係があるのでしょう?電力をつくる源には、火力、水力、原子力、そして太陽光・風力・地熱などの再生可能エネルギーなど、さまざまなものがあることはみなさんご存知でしょう。どんなエネルギーから発電するかによって、発電過程で出るCO2の量は異なってきます。

1kWh(*1)あたりのライフサイクルCO2排出量(*2)は、火力発電がもっとも大きいのですが、燃料の種類や発電所の機器によってもさらに変わってきます。石炭火力だと943g、石油火力だと738g、LNG火力だと599g。LNGでもコンバインド(*3)になると474gと、石炭火力のほぼ半分になるのです。

また、太陽光は38g、風量は26g、地熱は13g、水力は11gですので、再生可能エネルギーは火力発電に比べるとCO2排出量が極端に少なく、発電過程のみを見れば原理的にはCO2ゼロだといえます(*4)。この低炭素な再生可能エネルギーという発電方法は、この10年間、世界中で発電量を急速に伸ばしつづけています。

低炭素な電力プランに変えると1年間で1.8トンのCO2削減に!

つまり、消費者であるわたし達が発電方法まで含めて電力会社やプランを選べば、CO2をほとんど出さない電気を使うことができるのです。かつては電気料金といえば東京電力や関西電力などの地域の地域電力会社から購入するしかありませんでしたが、2016年からは自由化されて、各社がさまざまなプランを用意しています。その中には電気のグリーンさ、クリーンさをセールスポイントとしているものもあり、気になるコスト面でも他社と遜色ないものもいくつも見受けられます。

例えば4人暮らし(50A)で月平均300kWhの電気を使っていた場合、CO2を出さない電力プランに変更すれば、それだけで年間1.8トンもの低炭素化を達成することができるのです(*5)。大幅な電気の値引きのある大企業や工場ではなく、個人や中小企業であればこそ、低炭素な電力プランに変えても特に値上がりはしないというケースが多いようです。

環境への意識が高く、それほどコストがかからないのならぜひ低炭素な選択をしたい、と考える方にぜひおすすめしたいのが、この電気の切り替え。一度考えてみてはいかがでしょうか?

(*1)キロワット時:電力量をはかる単位

(*2)ライフサイクルCO2排出量:発電時だけでなく、発電所の建設や運用保守などにかかるCO2も含めた数値

(*3)ガスコンバインド:通常はムダになる排熱も活かす発電方法

(*4)出典:電気事業連合会「各種電源別のライフサイクルCO2排出量」

https://www.fepc.or.jp/smp/nuclear/state/riyuu/co2/index.html

(*5)出典:スマ電CO2ゼロ https://smaden.com/

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