
気候危機とは?現状や原因、私たちにできることを解説

Group of demonstrators on road, young people fight for climate change – Global warming and enviroment concept – Focus on banner
近年では、気候が安定しなかったり、豪雨による洪水被害が多かったりと、地球温暖化の影響を感じざるを得ない状況が続いています。そのような気候変動の状況を危機的な状態であるとし、「気候危機」という言葉も使われるようになってきました。
本記事では、気候危機によって起きている問題や、私たち一人ひとりができることについて解説します。環境問題に興味のある方はもちろん、昨今の気候変動に危機感を感じている方はぜひ最後までご覧ください。
気候危機とは?気候変動との違いは?
気候危機は、気候変動よりも緊急性が高いものとして使われるようになった言葉です。地球温暖化によって引き起こされる気候変動は、私たちが思っているよりも急速に進んでいます。一人ひとりが環境を守る意識を持ち、一刻も早く手を打たなければ自然環境の回復はもちろん、気候変動によって生じるコストの回収までもが手遅れになってしまうでしょう。
こうした中、気候変動問題により緊張感を持って取り組むべきであるとの考えから、気候危機という言葉が使われるようになりました。
すでに地球上では、気候変動の破壊的な影響を避けられている地域はないといわれています。日本でも異常気象や記録的豪雨が毎年のように発生しているため、気候危機の影響を感じている方も多いのではないでしょうか。異常気象のほかにも環境破壊・食料不安・経済混乱など、世界中でさまざまな問題が起こっています。
すでに発生している大きな問題をいち早く抑制するためには、今こそ集団で大きく行動することが必要です。
すでに気候非常事態宣言も出されているほど地球には危機が迫っている
上記で説明したように、地球ではすでに大きな問題が発生しています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、今後も環境に関するさらなるリスクが発生すると予測しています。
このままでは、2040年には世界の平均気温は産業革命前よりも1.5度上昇する見込みです。なかには、すでに気候非常事態宣言が出されている国や地域も出てきています。
気候非常事態宣言とは、「気候危機が迫っている現在は非常事態である」とする宣言です。気候非常事態宣言は、2016年にオーストラリアのデビアン市によって初めて発出されました。その後、欧米にも徐々に拡大し、2019年9月には、日本の長崎市壱岐市が気候非常事態宣言を出しています。
気候危機によって具体的にどんな問題が起きているのか
気候危機によって具体的にどのような問題が起きているのでしょうか。大きな問題を4つ解説します。
気温の上昇や気象災害リスクの増加
近年では、大気中の温室効果ガスの濃度が高まっていることにより、地表の温度が上昇し、地球全体の気温が高くなっています。日本に住んでいても実感があるように、地球上のほぼすべての陸地において、猛暑日や熱帯夜が増えている状況です。
地球の気温が上昇すると、熱中症などの病気が増えることや、屋外労働が難しくなることなど、さまざまな問題が発生します。気温上昇によって山火事が発生する可能性も高まるため、大規模な災害となるリスクも懸念されます。
また、気温が上昇すると、地表から上がる水蒸気が増えるため、大雨や台風の発生確率が高くなることも問題です。温室効果ガスの排出が現在と同じペースで続けば、2100年には気温が3度上昇するといわれており、大阪やニューヨーク、上海などの都市は水没してしまうとも考えられています。
水不足の加速による干ばつの増加
世界の中には、水資源が不足する地域も増えており、数カ月にわたって水不足が生じる干ばつが発生するリスクも高まっています。干ばつが生じると、土の中の水分が蒸発し、土壌が乾燥します。土壌が乾燥すると農作物の収穫量が減少し、食べ物が不足するため、貧困や飢餓につながるでしょう。
また、小麦や野菜などの価格が上がり、私たちの生活に悪影響を及ぼすことも問題です。実際に、2006〜2007年のオーストラリア干ばつでは、2008年の日本の小麦価格の値上がりを引き起こしました。
そのほか、生態系の多様性が失われたり、何十億トンもの砂を運ぶ砂嵐が発生したり、乾燥した土壌によって森林災害が発生したりと、干ばつはさまざまな被害を引き起こすリスクをはらんでいます。
食料不足による飢餓と栄養不足の増加
気候変動によって食料不足が発生すると、飢餓や栄養不足の人が増加します。異常気象や自然災害、干ばつなどはすべて、漁業や農業、牧畜ができる環境を破壊することにつながるからです。
食べ物を収穫できたとしても、味が悪くなったり、腐りやすくなったりすることもあります。例えば、みかんは気温が高く雨量が多すぎることで、身に締まりがなくなり、味も悪く、くさりやすくなってしまうといわれています。世界中で生産されている他の食べ物も、みかんのように品質や味が落ちたりすることがあるでしょう。
食料不足に悩んでいる国が多く存在する一方で、日本では1日1人あたり124gもの食品ロスが発生している状態です。食べ物が無駄になることはもちろん、捨てられた食品を焼却処分するために二酸化炭素を発生させることになり、まさに悪循環に陥っています。
あらゆる健康被害の増加
気候危機によって、人間の健康被害が増加することも問題視されています。例えば、農作物の不足により十分な栄養を取れないこと、蚊やダニが越冬しやすくなり数が増えることによって感染症のリスクが上がることなどが挙げられます。
また、猛暑による熱ストレスも問題です。熱ストレスとは、概ね35度以上かつ多湿の状態が続くことで、生理的な障害が起こりやすくなることを指します。例えば、熱中症の発生や持病の悪化、最悪のケースでは死にいたることもあり、熱中症による死亡者数は年々増加しているのが現状です。
熱中症による被害は、特に低所得者の中で顕著にみられます。健康被害にも不平等が発生している状況があり、不平等に関しても今後是正していく必要があるでしょう。
今こそ一人ひとりの行動が求められている!私たちにできることは?
気候危機をこれ以上進行させないためには、私たち一人ひとりの努力と行動が何よりも重要です。日々の暮らしの中でできることを6つ紹介するので、ぜひ実行につなげてください。
節電・節水を心がける
電気や水を節約することは、簡単にできることのひとつです。私たちが使用する電力の多くは火力発電によって作られており、火力発電では化石燃料を燃やすことでエネルギーを発生させています。
化石燃料を燃やすと二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化を加速させる原因となります。つまり、電気を節約することは、二酸化炭素の排出を抑えることにつながるのです。
節電方法には、家電を省エネタイプのものに切り替えたり、エアコンの設定温度に気をつけたりすることが挙げられます。
また、水は地球の大切な資源であるとともに、川の水が浄化されて水道の蛇口から出てくるまでの過程で、二酸化炭素を発生させています。節電と同時に、節水にも気をつけることが必要です。歯磨きや食器洗いの際は、水を出しっぱなしにしないようにしましょう。
徒歩や自転車、公共交通機関を利用する
移動する際は、できる限り自家用車ではなく、徒歩や自転車、電車、バスなどを利用することも重要です。車の燃料として使われているガソリンは化石燃料であり、二酸化炭素排出につながります。また、車から排出される排気ガスには二酸化炭素が含まれているため、車に乗るたびに地球温暖化に加担してしまうことになるでしょう。
一方、徒歩や自転車は温室効果ガスを排出することがなく、燃料も不要なため、地球に優しい移動方法といえます。また、電車やバスなどの公共交通機関は、二酸化炭素を排出するものの一度に多くの人を乗せられるため、全体として移動にかかる排気ガスを減らすことが可能です。
近場への買い物やアクセスのよい場所に出かけるときは、徒歩や自転車、公共交通機関を利用するようにしましょう。
フードロスとゴミの削減を徹底する
フードロスとゴミの削減も、日頃から意識して取り組める行動のひとつです。先述のとおり、日本では1日1人あたり124gの食品ロスが出ています。その約半数は家庭から出ているともいわれているため、1人1人が食品を無駄にしないよう意識することが大切です。
食品ロスを防ぐ方法には、買いすぎに注意することや、野菜をカットする際に食べられる部分まで捨ててしまわないようにすることなどが挙げられます。また、スーパーで賞味期限が近くなった値引き商品を購入することも、食品ロス削減に役立つでしょう。
食品だけでなく、ゴミそのものを少なくすることも大切です。食品もその他のゴミも、焼却処分される際には二酸化炭素が発生します。焼却するゴミの量が少なくなれば、二酸化炭素の排出も減らすことができるため、地球温暖化の抑制につながるのです。
再生可能エネルギーを利用する
再生可能エネルギーを利用することも重要な行動のひとつです。日本では、使用するエネルギーの多くを石油や石炭などの化石燃料によってまかなっています。化石燃料は有限であるためいつかはなくなってしまう上に、燃やすと大量の二酸化炭素を発生させるものです。
一方で使用してもなくならず、二酸化炭素を排出しないエネルギーを再生可能エネルギーと呼びます。太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電などが該当します。再生可能エネルギーは家庭でも導入できるため、この機会に利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
再生可能エネルギーの導入方法には、主に再生可能エネルギー由来の電力に切り替える方法と、太陽光発電設備を設置する方法があります。
本当の意味で環境に配慮した商品やサービスを選ぶ
商品やサービスを購入する際、環境に配慮されたものを選択することも重要です。例えば、海洋生物の脅威となるプラスチック製品を購入しない、再生紙を使ったコピー用紙を使用する、輸送の必要がない地元で生産された食材を購入する、などです。
商品やサービスの中には、実態が伴わないにもかかわらず「グリーン」「エコ」「地球に優しい」といった言葉を使っている商品やサービスもあるため注意が必要です。これを、「グリーンウォッシュ」と呼びます。
本当の意味で環境に配慮している商品やサービスは、エコマークなどの第三者による認証がついていることが多いため、認証があるかどうかをチェックするのもひとつの方法です。
声を上げて行動への参加を促す
環境問題を自分ごとと捉え行動する社会になるよう、自分だけでなく家族や友達、会社のメンバーなど、多くの人に呼びかけて行動へ参加してもらう姿勢も大切です。これまで紹介してきたことは、簡単で小さなことですが、多くの人が同じように行動することで大きな力になります。
また、会社の経営者に近い人であれば、企業が環境に配慮した取り組みを実施していくよう提案しましょう。企業が環境に配慮した活動を行うことで、気候危機をこれ以上広げないことにつながります。
気候変動は急激に進んでいる。GXを推進するアイ・グリッドと未来を一緒に考えよう
気候変動による地球への悪影響は、すでに気候危機と呼ばれているほど深刻です。人類が今後どのような行動を起こすかによって、地球の未来は良い方向にも悪い方向にも変わっていくでしょう。人類にとっての岐路ともいえる今だからこそ、一人ひとりが地球の一員であるという自覚を持ち、地球環境を守るための活動を行うべきです。
アイ・グリッド・ソリューションズは、脱炭素の観点から地球環境に配慮した活動を行う企業です。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を図る、GXを推進しています。あなたもぜひ、地球環境に配慮した行動を通して私たちと一緒に地球の未来について考えていきませんか?
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