
日本での発電量割合は?再生可能エネルギーは普及している?
私たちが生活するなかで使っている電力は、ほぼ途切れることなく日々供給されています。では、日本において電気を生み出す方法として一番普及しているのはどの発電方法なのでしょうか。
本記事では、日本国内の全発電量における発電方法の割合について解説します。昨今の発電事情を知りたい方や、再生可能エネルギーがどのくらい普及しているのか知りたい方はぜひご覧ください。

Visual representation of renewable energy trends featuring bar charts, solar panels, and wind turbines, symbolizing growth in sustainable energy sectors.
日本での発電量の構成割合は?
まずは、日本で発電している全電力における、発電方法の割合をみていきましょう。
火力発電の割合は66.6%、再エネの割合は25.7%
2023年において、国内で発電している電力のうち、もっとも多いのが火力発電で66.6%です。一方、再生可能エネルギーで発電された電力は25.7%で、依然として火力発電の割合が多いことがわかります。
しかし、2023年の再生可能エネルギーの割合は、2016年に15%であったことと比較すると大きく増加しています。また、火力発電においても2022年の72.4%から減少しており、徐々に再生可能エネルギーへの移行が進んでいることが伺えるでしょう。日本の再生可能エネルギーの内訳は、太陽光発電が11.2%、バイオマス発電が5.7%、風力発電が1%、地熱発電が0.28%、水力発電が7.5%です。
上記からもわかるように、日本における再生可能エネルギーの割合は年々増えており、反対に火力発電の割合は減少しています。
出典:isep「2023年の自然エネルギーの電力の割合(暦年・速報)」
EU諸国と比較すると日本は再エネの普及に遅れを取っている
世界をみると、欧州では2023年時点で再生可能エネルギーによる年間発電量が50%を超える国も多くあります。EU全体の平均が44.3%という結果からもわかるように、EU諸国の電力は半数近くを再生可能エネルギーでまかなっています。
例えばデンマークでは87%、ドイツでは52%、スペインでは50%、ポルトガルでは73%の割合で再生可能エネルギーの発電があり、日本と比較して導入が大きく進んでいることがわかるでしょう。
中国では、主に太陽光や風力発電の導入が進んでおり、2023年には風力発電が9.4%、太陽光発電が6.2%でした。再生可能エネルギー全体の割合は約30%と、日本と同等の普及率であることがわかります。また、アメリカは日本や中国よりもさらに低い25%を切る普及率で、脱炭素実現のために今後より多くの電力を再生可能エネルギーに切り替える必要があります。
出典:isep「2023年の自然エネルギーの電力の割合(暦年・速報)」
再生可能エネルギーの概要もおさらいしておこう
世界で導入が推進されている再生可能エネルギーとは、そもそもどんなエネルギーを指すのでしょうか。おさらいの意味も込めて、以下で解説します。
再生可能エネルギーとは、繰り返し使える環境にやさしいエネルギー
再生可能エネルギーとは、文字通り何度も再生できるエネルギーのことです。一度使用したらなくなってしまう化石燃料とは異なり、風や太陽光などの自然に生まれるものを利用するため、地球の資源を枯渇させないメリットがあります。
また、発電時に二酸化炭素を排出しないこともポイントです。火力発電は、化石燃料を燃やすことで発電エネルギーに変えるため、発電量と比例して二酸化炭素を大気中に増やしてしまいます。再生可能エネルギーは何かを燃やすことがないため、発電の工程においても地球にやさしい発電方法といえます。
日本では現在、エネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、供給量や価格が国際情勢に左右されやすい一面を持っています。安定した電源を確保するためにも、再生可能エネルギーをさらに普及していくことが重要です。
再生可能エネルギーにはさまざまな種類がある
再生可能エネルギーにはさまざまなものがありますが、なかでも代表的な5つの発電方法について解説します。
・太陽光発電
太陽の光がシリコン半導体などに当たると電気が発生する仕組みを利用し、太陽光エネルギーを半導体素子によって電気に変換する方法です。どこでも得られる太陽光エネルギーを活用できることや、屋根などのスペースを有効活用できることがメリットです。
・水力発電
高いところから低いところに水が流れる原理を利用して発電する方法です。水資源が豊富な日本においては、水力発電は利用しやすい再生可能エネルギーの1つです。
・風力発電
風によって風車を回し、その力を使って発電する方法です。強い風が連続して吹く場所を選ぶ必要があるため、日本においては海岸沿いや一部の山間部などに設置場所が限られます。
・地熱発電
火山地帯にある地球内部の熱を利用し、蒸気や熱水を取り出すことでエネルギーに変える方法です。日本には火山地帯が豊富にあるため、地熱発電によって今後も多くの電力を生産できる可能性があります。
・バイオマス発電
食品廃棄物や家畜のふん、木質チップなどを燃やしたり、ガス化したりすることで発電する方法です。天候に左右されないため、安定的に電力を供給できることがメリットです。
二酸化炭素の削減には再生可能エネルギーが欠かせない
再生可能エネルギーは、地球温暖化の要因となる二酸化炭素の排出を抑える方法として重要なものです。二酸化炭素が増えると、必要以上に地球の気温を上昇させるため、地球温暖化が加速します。地球温暖化の現象はすでに世界各国で進行しており、これ以上進行すれば人類が安全に地球に住み続けることは難しくなるでしょう。
再生可能エネルギーは、地球温暖化を抑制するための方法のひとつです。地球や人類を今後長期間にわたって存続させるためにも、再生可能エネルギーの普及は全世界で取り組むべき必須の課題といえるでしょう。
日本で再生可能エネルギーの割合を上げるために行われている取り組みは?
日本における、再生可能エネルギーの普及を進めるための取り組みは主に2つあります。詳しくみていきましょう。
政府によるFIT制度やFIP制度の導入
政府は、再生可能エネルギーを普及させるために、FIT制度・FIP制度という2つの制度を導入しています。
FIT制度とは「固定価格買取制度」と呼ばれ、再生可能エネルギーによって発電された電力を、電力会社が一定期間一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。一方のFIP制度とは、FIT制度の導入から10年後の2022年に導入された、再生可能エネルギーを電力市場に統合するための制度です。
FIT制度は固定価格での買取を約束するため、電力市場とは無関係の制度でした。しかし、再生可能エネルギーを今後主力電源にしていくためには、電力市場に定着させることが不可欠です。
そこで、再生可能エネルギーを電力市場に統合する際に、再生可能エネルギーで発電された電気に「プレミアム」と呼ばれる補助金を上乗せして支払うことで、導入を促進しようとするFIP制度が生まれました。
東京都による太陽光パネル設置の義務化
東京都では、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減すべく、カーボンハーフの実現を掲げています。そこで、2025年4月より、戸建て住宅などを新築する際、太陽光パネルを設置することが義務付けられました。
義務化の対象となるのは、延床面積が2,000㎡未満の新築建築です。太陽光発電設備等の設置以外にも、断熱・省エネ性能の確保などが義務化されます。東京都では、太陽光発電設備導入の負担が少なくなるよう、住宅メーカーや施主に対し、補助金や維持費用の支援も行うこととしています。
積極的に再生可能エネルギーを導入して環境問題に貢献しよう
日本では未だ多くの発電を火力発電に頼っており、電源の安定確保や環境問題の点で課題を抱えています。再生可能エネルギーの導入においては、欧州と比較して大きく遅れをとっている状況です。再生可能エネルギーを今後も順調に普及させ、電力の自給率を上げていくことが期待されます。
再生可能エネルギーのなかでも、一般家庭や中小企業で導入しやすいものが、太陽光発電です。アイ・グリッド・ソリューションズでは、初期費用をかけずに太陽光発電を導入できるPPAモデルや、AIを活用して再生可能エネルギーを地域全体に巡らせるプラットフォームなどのご提案が可能です。
再生可能エネルギーの導入に興味のある方は、ぜひアイ・グリッド・ソリューションズまでご相談ください。
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