再生可能エネルギーを普及させるには?導入が進まない原因と課題
「再生可能エネルギーって思っているよりも普及していないの?」
「大企業が率先して再生可能エネルギーの普及に取り組んでいるイメージがあったけれど、もしかして世界的に見ると遅れている?」
日本の再生可能エネルギーの普及率について興味がある方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、日本の再生可能エネルギー普及の状況について解説します。他国と普及率を比較した結果や、日本での普及が遅れている理由、今後の取り組みなどをまとめました。
個人ができる取り組みも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
日本での再生可能エネルギーの普及が進んでないといわれる理由
日本における再生可能エネルギーの発電比率は、2019年度で18.0%です。この数字だけを見ても高いのか低いのかを判断するのは難しいでしょう。そこで、主要国の再生可能エネルギーの比率と比較してみましょう。
引用元:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」(資源エネルギー庁)
最も高いのは再エネ比率66.3%のカナダです。次いで、39.7%のイタリア、38.2%のスペイン、35.3%のドイツとなっています。同じアジア諸国では、中国が25.5%と、日本よりも7.5%も高い再エネ比率を実現しています。世界で見ると、日本が遅れているのは明らかです。
とはいっても、日本が努力をしていないわけではありません。再生可能エネルギーの導入容量は世界第6位、太陽光発電に至っては世界第3位の実績を得ています。再エネ比率をさらに高めるためには、より一層の普及が求められますが、実現するのには課題が多いようです。
続いて、日本での再生可能エネルギーの普及が進まない原因について解説します。
日本が再生可能エネルギーの普及が進まない原因
日本における再生可能エネルギー普及の実情を知ったところで、なぜ普及が進まないのか、その原因を探ってみましょう。考えられている原因は、主に以下の2つです。
- 世界と比べて再エネの発電コストが高い
- 日本ならではの地理・天候的な問題
それぞれ解説します。
世界と比べて再エネの発電コストが高い
引用元:再生可能エネルギーの主力電源かに向けた制度改革の必要性と課題(資源エネルギー庁)
参考:第3節 再生可能エネルギーの主力電源化に向けて(資源エネルギー庁)
上記の表からも分かるように、日本における再生可能エネルギーの発電コストは、世界と比べても高い傾向にあります。
発電に欠かせない太陽光パネルや風力発電機などの価格は同じ物価水準の国よりも高く、発電コストに影響を与えています。実際、日本と欧州の太陽光発電システムの費用を比べてみると、その差は約2倍。いかに日本が、再生可能エネルギーにかかるコストが高いのかが分かるでしょう。
さらに、平野部が少なく台風や地震といった災害も多いので、発電設備の設置場所が限られやすいところも、発電コストが上がる要因となっています。
発電コストが高いと、家計や事業者の負担は大きくなります。再エネの発電コストをいかに抑えられるか、そして国民の理解を得るために丁寧な説明が求められるでしょう。
日本ならではの地理・天候的な問題
自然の条件においても日本は不利な状況にあります。日本の年間日照時間は1,944時間ですが、アメリカやアルゼンチン、南アフリカ共和国などの年間日照時間は2,500時間以上です。日本は日照時間が比較的短いので、太陽光発電によって得られるエネルギーは日照時間が長い国よりも少なめです。
また、天候によって発電量が左右される太陽光や風力は、どの程度の発電量が見込まれるのかを予想するのは困難です。南北に細長く広がる日本において、気候の特徴は地域によって大きく異なります。日照時間が長い地域があれば短い地域もあり、風が吹く強さや頻度もその地域によってバラバラなので、他国よりも工夫が必要となります。
また、欧州のように他国と隣接する国では、発電の出力が天候に左右されたとしても、送電線を介して受け渡しを行うことができます。天候に恵まれ必要以上に発電した状態が続くと、需要と供給のバランスが崩れて大規模な停電につながる恐れがあります。たくさん発電すればよいわけではないので、他国と協力し合えるのは大きな強みといえるでしょう。一方、日本は島国なので隣国がなく、他国に頼ることができないところも、再生可能エネルギーの普及が遅れている要因の1つです。
日本の再生可能エネルギーを普及させるための取り組み
再生可能エネルギーの普及を促進するため、日本では以下の取り組みを実施しています。
- 固定価格買取制度(FIT法)
- エネルギーミックス
- ノンファーム型接続
どのような取り組みなのか詳しく解説するので、参考にしてみてください。
固定価格買取制度(FIT法)
固定価格買取制度(FIT法)とは、一般家庭や事業者が再生可能エネルギーから発電された電気を買い取るよう、電力会社に義務付けた制度のことです。買い取り価格はあらかじめ決められており、10~250kWh以上(事業者向け)は20年間、10kWh(一般家庭向け)は10年間固定です。期間中に価格が変わることはありません。
余った電気を無駄にすることなく買い取ってもらえるので、太陽光や水力、風力などを導入している家庭や事業所にとっては1つの収入源として見込まれるようになります。
エネルギーミックス
エネルギーミックスとは、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーなど、さまざまな発電方法を組み合わせて、安定的に電力を供給することです。各エネルギーには長所だけでなく短所もあります。例えば、再生可能エネルギーの場合は、CO2排出が少なく資源枯渇のリスクがないといった長所がある反面、気象条件に左右されやすい上に導入コストが高いといった短所があります。1つの発電方法に依存するのではなく、複数の発電方法を組み合わせることで、短所を補うことができるのです。
また、エネルギーミックスの軸として「3E+S」という基本方針があります。3E+Sとは、「Energy Security(安定供給)」「Economic Efficiency(経済性)」「Environment(環境)」「Safety(安全)」の頭文字をとったものです。
引用:日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」(資源エネルギー庁)
日本では、「安全性」を大前提とし、「安定して電気を作ること」「電気料金を可能な限り下げること」「自然にやさしいこと」、この4つの要素をすべて満たせるように複数の発電方法を組み合わせています。3E+Sを同時達成することが、エネルギーミックスの最適化と考えているのです。
ノンファーム型接続
日本では再生可能エネルギーの普及をより高めるために、現状以上の系統整備が不可欠です。「系統」とは、つくった電気を各地へ送るための送電設備や変電設備など生産から消費までを繋ぐ設備全体のこと。家庭やスーパー、工場などあらゆる場所に電気が送られるのは、系統があってこそなのです。しかし、系統が電気を流す容量は無限ではありません。容量が決まっているので、たとえ再生可能エネルギーでたくさんの電気を作れたとしても、空き容量がなければ系統につなげないといった事態が起こり得るのです。
とはいっても、常に空き容量がないわけではありません。気象状況や需要によって発電量を変えているので、容量は違えど空きが生じます。この空きをうまく活用した取り組みが「ノンファーム型接続」です。ノンファーム型接続とは、生活に必要な発電量が確保せず系統容量の空きを活用する接続方式です。空き容量が足りなくなったとき、発電量の出力制御を行うことで、再生可能エネルギーといった新しい電源をつなぐことができます。
参照:再エネをもっと増やすため、「系統」へのつなぎ方を変える(資源エネルギー庁)
日本が再生可能エネルギーの普及についての疑問Q&A
ここで、再生可能エネルギーに関するよくある疑問の解決法を紹介します。
再生可能エネルギーだけでエネルギーは賄えない?
現状、再生可能エネルギーだけで賄うのは難しいとされています。
先述したとおり、再生可能エネルギーで作れる発電量は、季節や天候によって左右されやすく、安定性に欠けています。安定した電力供給を実現するためには、火力発電や原子力発電といった他の発電源とバランスを取ることや蓄電池による貯蔵、分散型エネルギー源(DER)などが重要です。
関連記事:分散型エネルギー源(DER)とは?メリット・デメリットについてわかりやすく解説
なぜ日本は再生可能エネルギーのコストが高いの?
日本の再生可能エネルギーが高いのには、主に以下3つの理由が挙げられます。
①再生可能エネルギー市場が世界に比べて未熟であるため
②日本の地理・天候的に、安定した電気供給に課題が残るため
③台風や地震などが多い日本では海外と比較して災害対策にコストがかかっているため
これらの課題解決が、再生可能エネルギーの普及率を高める鍵となるでしょう。
再生可能エネルギーを普及させるためにできること
再生可能エネルギーの普及をより一層高めるためには、一人ひとりの努力が不可欠です。ここでは、個人や企業でできる取り組みを紹介します。日本における再生可能エネルギーの普及率アップを目指しましょう。
自家消費型太陽光発電の導入
自家消費型太陽光発電とは、自宅やカーポートの屋根にソーラーパネルを設置し、太陽光で作った電力を自分の家で消費する方法です。一軒家だけでなく、マンションや工場、商業施設などで導入されている事例もあります。従来の太陽光発電といえば、余った電力は電力会社に買い取ってもらえていましたが、自家消費型太陽光発電の場合は、すべての電力を消費するため買い取ってもらうことはできなくなります。とはいえ、売電価格は年々低下しているので、自家消費型太陽光発電への注目度は高まっている状況です。自家消費型太陽光発電はCO2削減につながるのをはじめ、電気料金の削減や災害時の非常用電源になるといったメリットがあります。
オフグリッド電力会社であるVPPJapanでは、「オフグリッド電力供給サービス」を提供しています。初期投資なしで自家消費型太陽光発電を設置できるため、導入しやすいところが特徴です。導入件数は2017年から事業を開始し、2022年8月時点で407ヶ所 計84,459kWです。着実に実績を上げているところも特徴の1つです。
「VPPJapan」について詳しく知りたい方はこちら
再エネを扱う電力会社への見直し
電力会社を見直すことも再生可能エネルギーの普及率アップにつながります。ポイントになるのは、再エネを扱っている電力会社に換えることです。
例えば、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが提供する、家庭向けの電力サービス「スマ電CO2ゼロ」は、スーパーや物流施設などの屋根に太陽光発電所を建設し、生み出した電気を供給しています。加えて、石炭や石油といった化石燃料を使用しない「非化石証書」を組み合わせることで、CO2排出量の実質0を実現。また、環境にやさしいだけでなく、基本料金0円なので家計にもやさしいプランとなっています。
ほとんどの電力会社では事前にシミュレーションもできるので、見直す際は一度試してみるとよいでしょう。
まとめ
日本の再生可能エネルギーの割合は、世界と比べると低く遅れている状況です。主な原因には、発電コストの高さや地理・天候的な問題などが挙げられています。これらの課題を解決し、普及をより促進することが、2050年カーボンニュートラル実現のために不可欠です。
また、再生可能エネルギーの普及は、政府や企業に任せっぱなしにするのではなく、私たちが率先して取り組むことも必要です。具体的には「自家消費型太陽光発電の導入」や「電力会社の見直し」は、個人でできる効果的な取り組みといえます。とはいえ、初期費用の心配や見直しのポイントが分からないなど、さまざまな不安材料があるとハードルが高いように感じるでしょう。
今回紹介した「オフグリッド電力供給サービス」や「スマ電CO2ゼロ」は、そんな不安を軽減し、行動を後押ししてくれます。資料請求などもできるので、興味のある方は気軽にお問い合わせください。
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