暮らし

地熱発電とは?メリット・デメリットを分かりやすく解説!

再生可能エネルギーのひとつとして、太陽光発電や風力発電と並んで注目されているのが地熱発電です。火山列島である日本には地熱資源が豊富にあるため、地熱発電の開発が進むことで、エネルギーの自給自足を実現できる可能性が高まります。

本記事では、地熱発電の仕組みやメリット・デメリット、日本の取り組みの現状などについて解説します。再生可能エネルギーの種類や内容について関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも地熱とは?

地熱とは、地球の内部に存在する熱のことです。なかでも、火山地帯の地下数kmから数十kmほど深い場所にあるマグマだまり周辺には、大規模な高温の地熱地帯が存在しています。

マグマだまりは1,000度以上あると考えられており、その周辺の岩石が熱せられることで地熱地帯が形成されています。ちなみに、地球の中心部は5,000〜6,000度もの高温になるのが特徴です。

地熱発電の仕組みをわかりやすく解説

地熱発電は、このマグマだまりの熱源を利用した発電方法です。マグマだまりの周辺にある岩石は絶えずマグマによって熱せられており、そこに地上から雨水が浸透することで、地下に高温の熱水が作られます。

熱水や蒸気が溜まっている場所を地熱貯留層と呼び、地熱貯留層の内部は非常に高温で圧力も高いことが特徴です。地熱発電は、地上から地熱貯留層に向かって生産井という井戸を堀り、生産井を通って地熱貯留層から地上に噴出した熱水や蒸気の力(地熱流体)を使ってタービンを回す仕組みです。

地熱発電の発電方法には、大きく分けてバイナリー方式とフラッシュ方式があります。バイナリー方式は、地下から取り出した熱水や蒸気の熱を利用し、水よりも沸点の低い二次媒体を気化させて発生した蒸気を使ってタービンを回す方法です。バイナリー方式は、熱源が100度程度あれば発電できるため、比較的導入しやすい発電方法といえます。

フラッシュ方式は、貯留層から噴出した水蒸気や熱水を直接利用してタービンを回す方法です。地下から噴出する熱水や蒸気の温度が、おおむね200度以上ある場合に採用できます。

地熱発電のメリット

地熱発電には多くのメリットがあります。代表的なものを4つみていきましょう。

ほとんど二酸化炭素を排出しない

地熱発電は発電時に燃料を燃やさないため、二酸化炭素をほとんど排出しない発電方法です。設備の建設や廃棄などによる間接的な二酸化炭素の排出はありますが、その量は太陽光発電や風力発電と比べても圧倒的に低く抑えられています。

間接的な二酸化炭素の排出量は、太陽光発電が1kWhあたり約38g、風力発電は約26gであるのに対し、地熱発電は約13gです。地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも特に地球温暖化の抑止に貢献できる発電方法といえるでしょう。

参照:資源エネルギー庁 「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点

国内で供給が可能

地熱発電は国内で供給できることもメリットです。火山が多い日本には、マグマによって熱せられている地熱地帯が豊富にあります。世界的に見ても日本の地熱資源の量は多く、アメリカ、インドネシアに続く第3位を誇っています。

現時点では化石燃料の依存度が高く、外国からの輸入に頼らざるを得ないエネルギー資源を国内で確保できれば、電力の安定確保やコスト削減にもつながるでしょう。地熱発電は運用次第で永続的な発電も可能なため、エネルギーの自給力を高めることに貢献します。

24時間365日安定的に発電できる

地熱発電は、季節や天候、時間帯に関わらず、24時間365日発電することが可能です。同じく再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電は、夜間や天候の悪い日は発電できないことがデメリットです。また、風力発電も風がなければ発電できないため、天候に大きく左右される発電方法といえます。

しかし、地熱発電はマグマの熱で絶えず温められてる熱水や蒸気を利用するため、いつでも安定した発電が可能です。また、化石燃料のように資源が枯渇してしまう心配がないため、環境を保全しつつ安定したエネルギーの確保が可能になります。

蒸気と熱水の再利用が可能

発電のために使用された蒸気や熱水は、温度変化に応じて段階的に再利用ができることもメリットです。例えば、入浴や室内暖房、野菜のハウス栽培、魚の養殖などに温水を活用することができます。

北海道などの寒い地域では、室内暖房や融雪の際にも重宝されており、地熱で発電した熱を有効活用している事例が多く見られます。地熱発電は電力の供給だけでなく、地域の生活や産業にも役立つ技術なのです。

地熱発電のデメリット

地熱発電はメリットの大きい発電方法ですが、下記のようなデメリットもあります。

開発に時間・コスト・労力がかかる

地熱発電は、開発するまでに膨大な時間とコストがかかってしまうことがデメリットです。開発には、まず住民や温泉事業者などの地元関係者から許可を得る必要があります。その後、地熱貯留層がある場所を探し当てるための地表調査や掘削調査を行います。

調査だけでも5年ほどの時間がかかるうえ、そこからさらに開発による環境への影響を調べたり、発電設備を開発したりと多くの工程を経なければならず、うまくいっても投資回収までに多くの時間を要することが課題です。

また、地熱貯留層を探し当てたとしても、蒸気や熱水が確実に得られるとは限らない点も開発推進の障害といえます。

自然の景観を損ねてしまう

地熱発電の舞台となる地熱地帯の周辺は、温泉や国立公園などが存在する場所でもあります。温泉や国立公園は自然景観が良いからこそ観光地として好まれている側面もあり、地熱発電の施設を建設することは、地元関係者からの反感をまねく可能性があります。

また、国立公園は法律により開発が制限されているため、そもそも施設の建設自体が困難であることも課題です。地熱発電の開発には、地域住民の理解を得たうえで、自然の景観を保護する観点が必要でしょう。

日本における地熱発電への取り組みの現状は?

先述したように、日本には地熱資源が多く、世界3位の資源量を有しています。地熱発電を始めた時期も早く、1966年には岩手県に最初の地熱発電所が建設されました。しかし、開発コストにかかる負担や開発技術の不足によって、1990年代の半ばごろから開発が中断されることとなり、現在は世界から遅れをとっている状況です。現状では、日本の地熱発電の稼働率は世界で10位といわれています。

約20年間にわたり地熱発電の開発が中断されていた日本ですが、昨今の再生可能エネルギー促進の流れにより、地熱発電が再び注目を集めています。経済産業省では、2030年までに、地熱発電の設備容量を現在の140万kWから155万kWにあげることを目標としており、実際に実現に向けてさまざまなプロジェクトが動き出しています。

例えば、開発事業者に向けたリスクマネーの供給や、国公立公園の一部開放などです。また、地下構造の探査精度を向上させたり、掘削費用を抑えたりといった技術面の開発も同時に進められています。

地熱発電は地球に優しい再エネの1つ。できることから脱炭素に取り組もう

地熱発電は、再生可能エネルギーのなかでも特に日本で行うメリットが大きい方法です。地熱発電が拡大するまでには長い年月が必要ですが、拡大が進めば電力を永続的かつ安定的に確保できる可能性が高まります。また、地熱発電は自然の限りある資源を使わず、二酸化炭素も排出しないため、地球にやさしい発電方法といえるでしょう。

地熱発電以外にも、私たちができる脱炭素への取り組みはあります。各家庭や企業で導入しやすい再生可能エネルギーのひとつが、太陽光発電です。当サイトを運営しているアイ・グリッド・ソリューションズでは、AIを用いて、オンサイトPPAや蓄電池を活用したGXソリューションを提供しています。太陽光発電や蓄電池の導入に興味がある企業の方はぜひ一度お問合せください。

▷関連記事

【最新版】日本における発電の割合|今後の普及はどうなる?

バイオマス発電とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

SDGsとは何か簡単に説明!私たちにできることは?17の目標も解説

 

▷アイ・グリッド・ソリューションズ関連はこちらをチェック

 

シェア