暮らし

身近な環境問題の例は?できる対策や取り組みを紹介

地球環境が年々悪化するなか、私たちの生活において気候変動や自然災害など、目に見える形で多くの問題が起きています。地球環境を悪化させないために、個人でできる取り組みはあるのでしょうか。

本記事では、私たちの身近で起きている環境問題の例を挙げながら、どのような対策ができるのかについて解説します。少しでも環境保護のための活動を行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

Compost the kitchen waste, recycling at home. Woman putting vegetables cutted leftovers into the garbage, compost bin on the table of her kitchen. Environmentally responsible, ecology. Selective focus

いま身近で起きている環境問題には何がある?

環境問題は、私たちの生活において身近で起きています。例えば以下のようなものが挙げられます。

地球温暖化(気候変動)

まずは、地球温暖化です。地球温暖化とは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが大気中に増えすぎることで地球の気温が上昇し、自然界のバランスが崩れることを指します。温室効果ガスとは、太陽により温められた地面から放たれる熱を吸収し、再放出する役割を持ちます。近年、化石燃料の使用や森林減少などによって、この温室効果ガスが地表に大量に増えているのが現状です。

地球の気温が上昇すると、地球上に存在する生き物の生態系が壊れたり、自然災害が増加したりするため、人間活動にも多くの影響を及ぼします。干ばつや洪水などの極端な天候が続いて食糧がとれなくなったり、異常気象による熱中症や感染症などの健康被害が増加したりと、すでに多くの被害が世界中で起きています。

また、気候が温暖になることで北極や南極の氷が溶け、海面が上昇していることも問題です。海面が上昇して陸地が減少すると、住む場所を失う人が出てくるだけでなく、海抜の低いエリアでは国全体が水没してしまうリスクがあるともいわれています。

最近では地球温暖化よりも、地球温暖化が引き起こす気象パターンの変化にフォーカスをして「気候変動」と言われることも増えています。

海洋・水質汚染

海洋汚染も環境問題の大きな課題のひとつです。海洋汚染の原因は、プラスチックゴミや産業排水、船舶事故による油の流出などが挙げられます。今の状態が続くと、海洋生物が住みづらい環境へと陥り、漁業へ影響を及ぼすことで私たちの食生活に大きなダメージを与えます。

なかでも問題として考えられているのは、プラスチックゴミです。私たちの生活において、プラスチック製品は多くの場面で用いられています。ペットボトルや買い物用のビニール袋などは、軽いがゆえ風に飛ばされやすく、最終的には川や海に流れます。

プラスチックゴミは、自然に分解されるまでの間に海の生き物に絡まって取れなくなったり、魚が誤飲してしまったりすることが問題です。また、劣化して細かくなったプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、海洋生物の体内に取り込まれることで何らかの影響を及ぼすともいわれています。

プラスチック以外にも、工場から出る産業廃棄物や家庭で出る生活排水も、水質を汚染する原因のひとつです。有害な産業廃棄物が海に流れることで、水質の汚染が進んでいるのが現状です。

大気汚染

大気汚染とは、文字通り空気が汚れることです。大気汚染が進むことで、酸性の雨をふらせて農作物が被害を被ったり、人間に呼吸器疾患や肺がん、アレルギーなどを引き起こしたりします。

大気汚染の原因となるのは、車の排気ガスや、工場などから出る煙が挙げられます。また、花粉や砂埃、火山灰などの自然から出る物質も大気汚染の原因です。山林火災やゴミ焼却の際に放出される二酸化炭素は、先述した地球温暖化にも大きな影響を与えます。

大気汚染の原因となる物質には、二酸化硫黄・一酸化炭素・オゾン・微粒子などがあり、特にPM2.5などの微粒子は、呼吸器系や循環器系に悪影響を与える恐れがあります。大気汚染は大気中で完結するものではなく、雨になって地表に降りてくれば酸性雨となり、生態系の破壊や、河川の汚染などにつながることも問題です。

大気汚染は、発展途上国や先進国の工業地帯・都市部などにおいてしばしば問題視されています。大気は近隣諸国の影響を受けやすいため、まめな観測を行うとともに、国同士で対話を行うなど地球全体で空気を汚さないための対策が必要です。

森林破壊

昨今では、木材を燃料として使用するための森林伐採や、都市開発などによって凄まじい勢いで森林が減少しています。これを森林破壊と呼び、動物が生きられなくなったり、木材を用いた生産物に悪影響を及ぼしたりします。

森林は、地球上の面積の約30%を占めています。森林は酸素を放出し、二酸化炭素を吸収する役割があるため、地球温暖化を抑制する意味でも大切なものです。しかし国連によると、2015年からこれまでに、毎年約10万平方キロメートルの森林が失われています。

特に熱帯地域における森林破壊は顕著で、生物多様性が失われたり、気候変動を加速させたりと、さまざまな問題を引き起こしています。森林破壊が進めば、森に住む動物のすみかが失われ絶滅に追いやってしまうだけでなく、森で暮らしている世界中の人々の人権を奪うことにもつながりかねません。

さらに、森林破壊によって土壌侵食が起こると、食糧の生産に悪影響を及ぼす可能性もあります。食糧が十分に作られなければ飢餓問題に発展することも考えられ、森林破壊をしている私たちが、結局は自分の首をしめることになるといえるでしょう。

土壌汚染

土壌汚染とは、有害物質が地下にたまって土壌が汚染された状態のことです。有害な物質とは、工業や農業の際に人間が排出する農薬や重金属、油などがあります。

人為的なもの以外にも、自然界にあるフッ素・カドミウム・鉛・水銀・六価クロムなどが土壌汚染物質に含まれます。日本で1968年に認定されたイタイイタイ病は、土壌汚染による健康被害のひとつです。

土壌汚染は目に見えにくいため状況を把握しづらく、気づかないうちに被害が深刻化していることが特徴です。気づいた頃には土壌汚染が進行しており、人々が病気になったり、水が飲めなくなったり、農作物が育たなくなったりと、健康や生態系にすでに大きな影響を与えている可能性があります。

また、土壌は一度汚染されると元に戻るまで時間がかかるため、悪影響が長期間続きやすいことも問題です。土壌汚染は国内外で年々増えており、耕作可能地の減少や、食の安全性などが危惧されています。

身近な環境問題に対して私たちにできる対策や取り組みは?

環境問題は私たちの生活に深く関わっており、一人ひとりが地球の一員である自覚を持って行動することが大切です。身近な環境問題への対策として、私たちができる取り組みには以下のようなものがあります。

節電や節水を心がけ、ゴミを削減する

普段生活しているなかで、電気や水の使用量を減らすことは比較的実践しやすい方法です。エアコンの設定温度を夏は高めに、冬は低めに設定し、必要以上に冷やしすぎたり温めすぎたりしない意識を持ちましょう。照明にLEDを採用することも有効です。お風呂の際は、できるだけ湯船のお湯で頭や体を洗ったり、洗濯に使ったりすれば節水に役立つでしょう。

また、ゴミを減らすと、環境への悪影響をさまざまな側面から回避できます。ゴミが出ると、運搬や焼却の際に大量の温室効果ガスが排出されるため、地球温暖化を悪化させることにつながります。

日本では、スーパーで廃棄処分される食品や、給食の残りなどのフードロスが、令和4年度において年間472万トンも出ているのが現状です。食べ物を残さないことや、購入した食材の賞味期限を切らさないようにするなど、いち消費者としてフードロスの削減を意識しましょう。

徒歩や自転車、公共交通機関を利用する

自家用車の代わりに、徒歩・自転車・公共交通機関を利用することも大切です。自動車の燃料であるガソリンは、化石燃料です。化石燃料は燃やすと二酸化炭素などの温室効果ガスが発生するため、地球温暖化を進める要因になりえます。また、排気ガスには粒子状物質などの有害物質も含まれているため、大気汚染にもつながります。

短距離であれば、徒歩や自転車で移動することがおすすめです。温室効果ガスを排出しないことはもちろん、歩いたり自転車に乗ったりすることは運動にもなるため、健康促進効果も期待できるでしょう。

長距離の移動の際には、できるだけ公共交通機関を利用しましょう。電車やバスも二酸化炭素や排気ガスを排出することに変わりはありませんが、一度に多くの人を運べるため、地球全体でみると排出量削減に貢献できるといえます。

再生可能エネルギーを利用する

再生可能エネルギーを利用することも、身近な環境問題対策として役立ちます。再生可能エネルギーとは、太陽光発電・水力発電・地熱発電・風力発電など、自然界から得られるエネルギーです。自然から得られるエネルギーで発電することで、化石燃料を採掘したり燃やしたりする必要がないため、資源の保護や地球温暖化を抑制することにつながります。

再生可能エネルギーは費用がかかるイメージがあるかもしれませんが、実は一般家庭でも取り入れることが可能です。例えば、太陽光パネルを屋根に設置して自宅で発電できれば、環境問題への対策として役立つだけでなく、電気代を削減できるメリットも得られます。

環境保護のために、できることから始めよう

地球環境は年々悪化しており、動物や海洋生物が減少して生態系が壊れたり、空気が汚されたりしています。私たちが当たり前のように便利で快適な生活を送れている裏で、環境に負荷を与え続けていることを忘れてはなりません。地球が限界を迎えれば、結局は自分たちが住みにくい世の中になってしまうでしょう。

すでに、世界のさまざまな場所で大規模な災害が起きています。地球で生活できていることに感謝しながら、地球と私たちができるだけ長く共存していけるよう、節電やゴミを減らすなど、できることからはじめていきましょう。

▷関連記事

潮力発電とは?仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説

温室効果ガスを減らすには?企業や個人がすぐに始められることを紹介

気候危機とは?現状や原因、私たちにできることを解説

 

▷アイ・グリッド・ソリューションズ関連はこちらをチェック

 

 

シェア