CO2排出係数とは?計算方法や企業が知っておくべきことを解説
CO2排出係数は、各企業が自社のCO2排出量を算出するために必要となる数値です。CO2排出量を把握して削減を目指すことは、日本だけでなく世界中で重要なテーマとされていて、日本企業も積極的な取り組みが求められています。
本記事では、CO2排出係数について詳しく紹介しています。CO2排出係数の概要や計算方法、CO2排出係数について企業が知っておくべき理由を解説しているので、環境問題について取り組みを進める際の参考にしてください。
CO2排出係数とは?
CO2排出係数は、1kWhの電気を供給するためにどのくらいのCO2を排出しているかを示す指標です。CO2排出量が少ないほどCO2排出係数も低くなり、CO2を排出しない再生可能エネルギーによる発電のCO2排出係数はゼロです。火力発電の燃料の違いや地域ごとの電力需要によって、CO2排出係数は変わってきます。
国が定める「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」によって、平成18年から温室効果ガスを多く排出する事業者はその排出量を算定して国に報告することが義務づけられました。環境省のホームページでは電気事業者ごとのCO2排出係数を毎年公開しているので、チェックしてみましょう。
参考:電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
CO2排出係数の計算方法
各電気事業者のCO2排出係数は、以下の計算式で求めます。
CO2排出係数(kg-CO2/kWh)=CO2排出量÷販売電力量
環境省のホームページに公開されている主要な電気事業者のCO2排出係数は、以下のとおりです。(令和2年度実績)
電気事業者名 | 基礎排出係数(kg-CO2/kWh) |
---|---|
北海道電力 | 0.601 |
東北電力 | 0.476 |
東京電力エナジーパートナー | 0.447 |
中部電力ミライズ | 0.406 |
北陸電力 | 0.469 |
関西電力 | 0.362 |
中国電力 | 0.531 |
四国電力 | 0.55 |
九州電力 | 0.365 |
沖縄電力 | 0.737 |
参考:電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
CO2排出係数は「基礎排出係数」と「調整後排出係数」の2種類があります。基礎排出係数は先ほど紹介した「CO2排出量÷販売電力量」の計算式で求められる値で、調整後排出係数は非化石証書などの環境価値で調整したものです。電力事業者が提供するメニューによっては、調整後排出係数がゼロのものもあります。
一般企業が自社のCO2排出量を算出するときは、使用している電気事業者のCO2排出係数を用いて以下の計算式で求めます。
CO2排出量=電力使用量(kWh)×CO2排出係数(kg-CO2/kWh)
電力使用量が同じ場合、CO2排出係数が低いほどCO2排出量が少なくなるため、企業がCO2排出量を抑えるにはCO2排出係数の低い電気事業者を選択すると効果的です。
CO2排出係数を企業が知っておくべき理由
CO2排出係数については、電気事業者だけでなく一般企業も知っておくべきです。その理由として、以下の3つが挙げられます。
- 脱炭素社会への取り組み
- 省エネ法による「エネルギー使用状況報告」の義務化
- 温対法による「排出量報告」の義務化
上記3つの理由について、以下で詳しくみていきましょう。
脱炭素社会への取り組み
国際社会では脱炭素社会への取り組みが進められていて、2020年には日本政府も「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と宣言しました。CO2は温室効果ガスのひとつであり、地球温暖化対策としてCO2の削減は急務です。
企業としてCO2の削減に取り組むためには、まず自社のCO2排出量を把握しておかなければなりません。CO2排出量の計算にはCO2排出係数を用いるため、脱炭素社会の実現に向けて各企業がCO2排出係数について理解しておく必要があります。
また、先述のとおりCO2排出係数の低い電気事業者を選ぶと自社のCO2排出量の削減につながるため、電気事業者を選ぶときにCO2排出係数を参考にすることも大切です。
省エネ法による「エネルギー使用状況報告」の義務化
エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)によって、工場等の設置者や輸送事業者のうち一定規模以上の事業者については、エネルギーの使用状況の報告が義務づけられています。省エネ法の対象となるエネルギーは燃料・熱・電気の3つで、電気については太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー由来の電気は対象外です。
工場や運送業界以外には、自動車や家電製品などの特定エネルギー消費機器の製造事業者に対して、機器のエネルギー消費効率の目標設定とその達成が求められます。このように、省エネ法では電気を含むエネルギーの使用量の削減を目標としていて、各企業はエネルギー使用量を意識して企業活動に取り組まなければなりません。
温対法による「排出量報告」の義務化
先進国の温室効果ガス排出量削減のための国際的な取り決めである京都議定書の採択を受け、1998年に地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)が制定されました。温対法では温室効果ガス排出量の削減や報告について定められていて、各企業は温室効果ガスの排出量に関するデータの公表が求められます。自社の温室効果ガス排出量の算出のために、CO2排出係数を知っておくことが大切です。
まとめ
CO2排出係数は、1kWhの電気を供給するために排出されるCO2量の指標で、各電気事業者のCO2排出係数は環境省のホームページで公開されています。CO2排出係数は電気事業者だけが意識しておけばよいわけではなく、一般企業も自社のCO2排出量を算出するために知っておかなければなりません。脱炭素社会の実現のために、法律でCO2排出量の報告が求められている業種もあります。社会全体でCO2排出量の削減について理解を深め、取り組みを進めましょう。
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