太陽光発電の発電効率が悪いと言われる理由|他の再エネと比較した発電効率も
太陽光発電は、環境負荷の低い再生可能エネルギーとして注目を集める一方、発電効率が悪いとの意見も少なくありません。どうして発電効率が悪いといわれているのでしょうか。また、太陽光発電を導入している方は、発電効率を高める方法も知りたいところですよね。
この記事では、太陽光発電と他の再生可能エネルギーの発電効率比較や、発電効率が悪くなる原因、発電効率をアップさせる方法をご紹介します。
太陽光発電と他の再エネの発電効率を比較
発電効率とは、元となるエネルギーをどのくらい電気に変換できたかを示す数値です。元のエネルギーを全て電気に変換できれば発電効率100%となりますし、3割しか変換できなければ発電効率30%となります。
まずは、太陽光発電の発電効率がどのくらいなのか、他の再生可能エネルギーと比較してみましょう。
発電方法 | 発電効率 |
太陽光発電 | 最大20%程度 |
風力発電 | 20~40% |
水力発電 | 約80% |
木質バイオマス発電 | 約20% |
地熱発電 | 10~20% |
太陽光発電
太陽発電は太陽の光が持つ光エネルギーを、太陽光パネルによって電気エネルギーに変換する発電方法です。
太陽光発電の効率は、パネルの性能や使用年数によって変化します。一般的なシリコン系単結晶タイプのパネルだと、発電効率は最大で20%程度です。人工衛星などで使用される化合物系セルのパネルでも、最大38%程度とされています。
また、日照時しか発電できないため、気候や時間帯によっても効率が変化する点も考慮しないといけません。そのため、豪雪地帯などでは発電効率が落ちてしまいます。
風力発電
風力発電は、風の力で風車を回し、タービンを回して発電する方法です。
理論上の発電効率は最大約60%といわれています。ただし、風車が回る際の摩擦などで発電効率が下がるため、実際には20~40%程度です。再生可能エネルギーの中では発電効率のいい部類といえるでしょう。
一方で、大規模な設備設置が必要であることから、風車を設置する周辺地域の景観や騒音問題についても考慮しなくてはいけません。
水力発電
水力発電は、水が上部から下部に落ちる位置エネルギーを利用する発電です。水が設備を流れる際の摩擦が少なく、エネルギーを効率よく電気に変換できるといわれています。発電効率は約80%と、再生可能エネルギーで最も効率のいい発電方法です。
ダムなどに大量の水を溜める必要があるため、雨が降らない期間が続いて水量が少なくなると、発電ができなくなる可能性があります。
木質バイオマス発電
バイオマス発電とは、動植物などから生まれた生物資源を燃焼したりガス化したりして発電に利用する方法です。木質バイオマス発電では、その中でも廃材や残材などを使用します。化石燃料よりも燃焼温度が低いため、発電効率はあまり高いとはいえず、平均で20%程度です。
また、燃料の価格が高いため、電力コストが高くなってしまうことも懸念点です。
地熱発電
地熱発電は、マグマの熱によって発生した水蒸気を利用してタービンを回す方法です。
仕組みとしては火力発電や原子力発電と同様ですが、水蒸気の温度が他の発電方法と比べて低いため、発電効率も10~20%程度と、あまり効率のいい発電方法とはいえません。
ただし、水蒸気は安定して供給されるため設備稼働率が非常に高く、コストを抑えられる点が魅力といえます。
参考:NEDO再生可能エネルギー技術白書|国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
太陽光発電の発電効率が悪い理由
実際に太陽光発電を利用していると「使っているうちに、発電効率が悪くなってきた」と感じることがあるかもしれません。太陽光発電の効率が悪くなる代表的な原因を解説します。
経年劣化の影響
太陽光パネルは、経年劣化によって発電効率が低下してしまいます。太陽光発電協会が公表したデータでは1年間で0.27%、水産省のデータでは1年間で0.5%発電量が低下すると示されました。太陽光発電が普及してまだ10年ほどですので、データが十分に蓄積されていない面はありますが、1年間で0.3~0.5%程度発電効率が低下するものと考えられます。
また、劣化率は太陽光パネルの素材でも異なります。一般的な太陽光パネルに使用されるシリコン系単結晶パネルだと、5年間で3.2~3.9%の劣化率とされています。
ただし、太陽光パネルの寿命は20年以上といわれており、その間に劣化率がどのように推移するのかのデータはまだありません。長期的なデータの蓄積が待たれるところです。
参考:太陽光発電システムの調達価格、期間への要望|一般社団法人 太陽光発電協会
: 漁港のエコ化方針(再エネ)ガイドライン 事業性検討シートの利用法(太陽光発電、風力発電)|水産庁
外気温の影響
太陽光パネルには、パネル表面の温度が高くなりすぎると発電効率が下がるという特性があります。電力は、電流×電圧によって求められますが、温度が高いと電流が強くなる一方で、電圧が著しく低下するため、結果として電力も低下してしまうのです。
発電に最適なパネルの温度は25℃ですが、気温が高いとパネル温度も上昇し、日射量が多い日でも発電量が落ちてしまいます。日射時間の長い真夏でも、外気温が高い日はパネル温度が70~80℃まで上がるため、発電効率も低下するのです。
日の当たる場所にパネルを置くことは重要ですが、温度が高くなりやすい場所にパネルを設置しているために、発電効率が下がっている可能性があります。
メンテナンス不良による影響
太陽光パネルは外に設置するため、定期的に清掃などのメンテナンスが必要です。パネルは常に風雨にさらされているため、砂やほこりが付いたり、鳥のフンや落ち葉が蓄積したりします。汚れをそのままにしていると太陽光を吸収できず、発電量が下がってしまうのです。
毎日清掃をする必要がありませんが、定期的にメンテナンスを依頼することがおすすめです。発電量50kW以上2000kW未満の発電設備だと、年2回以上のメンテナンスの実施が定められています。
「掃除するだけなら」と考える人もいるかもしれませんが、パネルを自力で清掃することはおすすめできません。高所作業のため危険なだけでなく、自力で清掃するとかえって発電効率を下げてしまうリスクがありますので、必ずプロに依頼してください。
太陽光発電設備太陽電池の発電効率をアップするためにできること
太陽光発電の効率が低下していると感じた場合、どのような対策ができるのでしょうか。太陽光の発電効率をアップさせる方法を紹介します。
太陽光パネルの設置場所を見直す
太陽光発電は、一日の日射量によって発電効率が変化します。発電効率をアップさせるには、太陽光パネルの設置場所や角度を見直してみるといいでしょう。
太陽光パネルは、1日のどの時間帯でも日影ができず、日射量の多い場所に設置することがおすすめです。周辺に高い建物があると、時間帯によっては影ができている可能性があります。夕方などの影が伸びる時間帯でもパネルに影が重ならないかチェックしてみましょう。
また、最も日射量が多く、発電効率がよくなる方角は真南です。南からずれるほどに発電効率が下がりますが、南東や南西であれば誤差は4%以内ですので、設置場所としては十分でしょう。
太陽光パネルに関する知識や設置経験が豊富で、効率を考えた設置ができる信頼性の高い業者に依頼することが重要です。
発電量データを記録しておく
発電システムの計測モニターを活用して、日々の発電量をチェックすることも大切です。
定期的にデータをとっておくと、前年度と比較して発電量に変化がないか確認し、パネルの劣化を早急に把握できます。
これまで説明した通り、発電量は外部環境によって変動するため、チェックする際は同条件化のデータを比較するようにしてください。日付や時間、天候といったデータとともに発電量を記録しておくと、適正値と正確に比較できます。
計測モニターの設置は必須ではありませんが、多くのメーカーでオプションとして用意されているはずです。より発電効率を高めたい場合は、設置を検討するといいでしょう。
まとめ
太陽光発電は、気候やパネルの経年劣化などの要因で発電効率が変動しやすい発電方法です。そのため、他の再生可能エネルギーと比べると、発電効率が低いといわれています。
ただし、パネルの設置場所を見直したり、発電量データの記録をとったりといった対策をとれば、発電効率をアップ・維持すること発電量をアップすることが可能です。太陽光発電の効率を見直すと、電力コストの削減にもつながります。運用方法の見直しを図り、太陽光発電を最大限活用するよう心がけましょう。
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