LNGとLPGの違いは?それぞれの特徴を含めてわかりやすく解説

企業活動や普段の生活を送るうえで欠かせない燃料のひとつに、LNGとLPGがあります。一般家庭においては、ガスの契約の際に聞いたことがあるのではないでしょうか。LNGとLPGは、どちらも暖房などの燃料になりますが、それぞれ特徴が異なります。

本記事では、LNGとLPGについてそれぞれわかりやすく解説するとともに、違いや共通点、メリット・デメリットについても解説します。エネルギーの種類について詳しく知りたい方や、環境負荷の少ないエネルギーをご検討中の方はぜひ役立ててください。

LNGとLPGの違いは?それぞれの特徴を含めてわかりやすく解説

LNGとLPGの違いやそれぞれの概要を解説

まずは、LNGとLPGのそれぞれの概要を把握したうえで、メリット・デメリットについてもみていきましょう。

LNGとは?

LNGの概要や使用用途、メリット・デメリットは以下の通りです。

LNGの概要

LNGとは、Liquefied Natural Gasの略であり、液化天然ガスと訳されます。LNGは名前の通り天然ガスを液体にしたもので、沸点である-162℃以下まで冷却することによって液化します。

液化する前の天然ガスは、地中に埋まっている植物や生物が長い年月をかけて変化した、化石燃料のひとつです。天然ガスは石炭や石油に比べると二酸化炭素の排出が少ないため、クリーンなエネルギーとしても知られています。

天然ガスを液化する理由には、日本が島国であることが関係しています。日本では、他の化石燃料と同様にLNGを海外から輸入していますが、生産国から直接天然ガスのパイプラインを引くことが難しいため、液化して船で運べるようにしているのです。液体にすることによって、天然ガスの堆積が600分の1まで低下するため、効率よく大量のガスを運ぶことができます。

LNGは50%以上が電力発電、30〜40%程度が都市ガス、その他にも船舶用の燃料や温水ボイラーなどに使用されます。

LNGのメリット

LNGは、他の化石燃料と比較して二酸化炭素の排出量が少ないため、環境への負荷も少ないことがメリットです。二酸化炭素だけでなく、窒素酸化物や硫黄酸化物の排出も大幅に抑えられるため、環境にやさしいエネルギーといえるでしょう。

LNGは主にオーストラリアやマレーシアなどから輸入しているため、世界情勢の影響を受けにくいこともメリットです。中東からの輸入に頼っている原油などと比較すると、輸入が困難になるリスクが少なく、安定的に供給できる燃料であるといえます。

また、LNG火力発電は、発電方法の中でもトップレベルの効率の良さを誇っていることが特徴です。資源を無駄なく使える意味でも、LNGの活用は価値のあるものといえるでしょう。さらに、液化することによって大量に輸送できたり、貯蔵がしやすかったりする点もLNGの優れた面のひとつです。

LNGのデメリット

LNGのデメリットには、まずコストが高いことが挙げられます。海外から輸入するコストはもちろん、天然ガスを冷却してLNG にするコスト、貯蔵コスト、LNG専用船の運用コストなどもかかります。LNGは-162℃よりも高い温度になると天然ガスに戻ってしまうため、低温を維持するための設備費が多くかかってしまうことが難点です。

また、LNGは他の化石燃料と比較すると二酸化炭素の排出量が少ないものの、まったく排出しないわけではありません。LNGは石油の6割程度の二酸化炭素を排出してしまうため、100%環境にやさしいとはいえない点がデメリットともいえます。

LNGのデメリットとしてもうひとつ考えられるものに、地震発生のリスクが高まることが挙げられます。LNGを採掘する際に使われる水圧破砕法と呼ばれる方法は、地震を引き起こす可能性があるとされています。正式な発表はないものの、懸念点として覚えておく必要があるでしょう。

LPGとは?

次に、LPGの概要とメリット・デメリットをみていきましょう。

LPGの概要

LPGとはLiquefied Petroleum Gasの略で、液化石油ガスと訳されます。石油ガスを圧縮して液体にしたもので、輸送や貯蔵の際は液体、使用する際には気体になることが特徴です。主成分はプロパンガスもしくはブタンガスであり、このどちらかを原料に作られたガスのことをLPGと呼びます。

LPGは、プロパンが-42℃、ブタンが-0.5℃で液化するため、LNGよりも高い温度で液体になることが特徴です。家庭用や工業用ガスの他、化学原料や車の燃料として消費されます。

また、LPGはアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入が多く、中東への依存度が低い資源です。LNGと同様に地政学的なリスクを受けにくいため、比較的安定した供給を実現できます。

LPGのメリット

LPGはどこでも持ち運びが可能で、利便性が高いことがメリットのひとつです。LPGは液化させてボンベに詰められた状態で使用するため、消費場所に運びさえすればすぐに使うことができます。

また、電力も不要なため、災害時や停電時に利用できる点もポイントです。実際に、東日本大震災が発生した際には、炊き出しやその他の活動を行う際に重宝されました。都市ガスに利用されるLNGのように、ガス管がないと使用できない資源とは異なり、仮設住宅などでもすぐに利用できる利便性の高さはLPG最大のメリットといえるでしょう。

LPGのデメリット

LPGは、LNGと比較して価格が高いことがデメリットです。公共料金として扱われてきたLNGは、2017年まで価格の規制があったことで、現在も価格が低く設定されている傾向にあります。

しかし、LPGはそもそも価格の規制がなかったことから、現在もガス会社が料金を自由に設定できるため、価格が割高になりやすいのが特徴です。都市ガスよりもLPガスが高いといわれる理由には、このような背景があります。また、ガスボンベに詰めて各家庭に配分をする手間や交通費なども、LPGの価格が高くなる理由として挙げられるでしょう。

LNGとLPGの違い

LNG とLPGの違いは、主に重さ、熱量、供給形態の3つです。1つ目の重さについて、空気の重さを1とすると、LNGはその0.6倍であるのに対しLPGは1.5倍です。ガスが漏れたとき、LNGは建物の上部に溜まり、LPGは建物下部に溜まると覚えておくと、万が一の際に役立ちます。

2つ目の熱量について、発熱量はLNGが45MJ/m3、LPGが102MJ/m3とされており、LPGのほうがLNGよりも2倍以上火力が強いことがわかります。

3つ目は、供給形態です。先述したように、LNGは地下にガス管を埋設することで消費場所にガスを届けます。一方、LPGはガスボンベからガスが供給されるため、消費場所にガスボンベを設置することで利用できます。都市ガスといわれるLNGが都市部でしか利用できないのは、このような理由があるためです。

LNGとLPGの共通点

両者の共通点は、主に輸送のしやすさ、輸入に依存していること、二酸化炭素の排出が少ないことの3点です。

まず1つ目は、LNGとLPGはどちらも液化することから、堆積が小さく貯蔵や輸送がしやすい点で共通しています。パイプラインがなくても船や車両で輸送が可能なことから、コストを抑えやすい点が特徴です。

2つ目は、LNGとLPGのどちらも他国からの輸入に頼っている点です。中東ほどではないものの、経済情勢によって価格が変動するリスクがあります。

3つ目は、二酸化炭素の排出量が少ないことです。LNG・LPGのどちらとも、他の化石燃料と比較して二酸化炭素の排出量が少ないため、環境への影響を考える際には優れたエネルギーのひとつといえます。

より環境への負担が少ないエネルギーへのシフトを検討しよう

LNGやLPGは、私たちが普段生活するうえで必要な燃料のひとつです。他の化石燃料と比較すると、環境への負担が少なく、供給も比較的安定していることが特徴といえます。脱炭素社会を実現するためには、できるだけ環境にやさしいエネルギーを選択することが一人ひとりに求められています。

アイ・グリッド・ソリューションズでは、太陽光発電システムの活用や、AI を駆使したエネルギーの最適化によって、脱炭素社会の実現をサポートしています。脱炭素化への取り組みを進めている企業や個人の方は、ぜひ一度アイ・グリッド・ソリューションズにご相談ください。

 

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