各国の温室効果ガス削減目標とは?2030年・2050年目標をそれぞれ紹介

近年、台風、洪水、あるいは干ばつなど自然災害による被害が世界中で大きくなりつつありますが、これらの原因となっているのが地球温暖化です。これ以上災害を広げないために、温室効果ガス排出量を削減し地球温暖化を食い止めようと、各国が削減目標を持って動いています。

本記事では、温室効果ガスの各国の削減目標とあわせて、削減に対する各国の具体的な施策を解説します。環境問題に関心のある人は、ぜひ参考にしてください。

そもそも温室効果ガス削減目標とは?背景や概要を解説

温室効果ガスの削減目標は、「パリ協定」をもとに定めています。パリ協定は、2015年にCOP21で合意、2016年に採択された協定で、世界の二酸化炭素排出量と気温に関連して世界共通の指針となる目標を定めているものです。

元々は、地球温暖化にともなう気候変動と災害の激化をかんがみて、1997年に京都で開かれたCOP3において「京都議定書」が採択されました。京都議定書では、二酸化炭素排出削減を行うのは先進国のみ、しかもアメリカが合意しないという結果でした。その後世界的に気候変動が大きくなり、パリ協定では世界全体を対象に規制が行われることとなったのです。

各国それぞれの目標は国ごとに任されていますが、世界全体としては「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という大きな目標が掲げられています。各国は温室効果ガスの削減目標を5年ごとに提出し、適宜見直して削減を加速することを義務づけられています。

参考:パリ協定の長期目標に関する考察|国立環境研究所

日本は2050年にカーボンニュートラル/2030年46%削減を目標に

まずは、日本の温室効果ガス削減目標を確認してみましょう。

日本では、2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目標に定めています。この数字は、2021年10月に新たに閣議決定された内容で、2016年にパリ協定の採択にともなって制定されていたものよりもさらに厳しい削減基準が設けられているものです。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を等しくすることで、実質的な排出量をゼロにする状態のこと。2050年に排出量を実質ゼロにするために、2030年の時点では途中経過として、2013年に比べて46%減らす道を模索しているのです。

では、現在の日本では具体的にどのような施策が取られているのでしょうか。以下では、日本における温室効果ガス排出量削減の方法について解説します。

参考:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)|環境省

日本の温室効果ガス削減目標に対する具体的な施策

日本では、温室効果ガスを削減するため、公的にいくつかの施策を掲げています。施策のなかには、脱炭素関連の投資や国際的な金融支援、アジア方面など各国への支援といった方向性のものもありますが、とりわけ大きいのは再生可能エネルギーなどの活用です。

日本では現状、火力発電による温室効果ガス排出量がかなり多い状態です。これを、省エネと再生可能エネルギーの活用とで大幅に減らす道が模索されています。

具体的には、企業や工場はもちろん、個人の住宅レベルでも太陽光発電や水素などの自然エネルギーを積極的に用いていくこと、家庭用家電製品の省エネ家電への切り替え、ガソリン車から電気自動車への切り替えなどが挙げられます。

温室効果ガス削減は大企業だけにではなく、中小企業や家庭、個人といった小さな単位にも求められているものです。家電や自家用車を省エネのものに変えるのはもちろん、生活のなかで無駄をなくし、ペットボトルや服などの廃棄も減らしていくことが、温室効果ガス削減に役立ちます。

参考:地球温暖化対策計画|環境省

世界各国の温室効果ガス削減目標を紹介

各国の温室効果ガス削減目標とは?2030年・2050年目標をそれぞれ紹介

それでは、日本以外の各国において、温室効果ガス削減目標がどのように定められているのかを見てみましょう。

たとえばアメリカでは、2030年までの温室効果ガス排出量を2005年比で50~52%削減、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げました。同じく2050年までの実質ゼロを掲げているのがEUで、2030年には1990年比で55%以上の削減を目標としています。

中国の場合、2030年までの目標はGDP当たりの排出量を基準とし、2005年比でCO2排出量60~65%削減を掲げました。数字は大きいようですが、中国のGDPは2030年に向けて伸びることが予想されているため、全体量として大きく減らないのではないかと言われています。

ただし、同時にCO2排出量のピークを2030年よりも前に想定し、2060年までにCO2排出量ゼロを目指すとも定めているのです。このほかにも、インドが2070年まで、ロシアも2060年までに、排出量実質ゼロを目標としています。

参考:日本の排出削減目標|外務省

目標達成度の高い欧州の取り組み

各国さまざまな目標を立てているなかで、目標達成度が高いのは欧州です。1990年に比較した2018年のCO2排出量データを見ると、中国が+356%、日本が+3%、カナダが+38%と並ぶなか、EU28カ国は-22%、ドイツ-26%、イギリス-36%と、高い目標達成度を実現しています。

欧州ではデンマークの場合、100%再生可能エネルギーだけの村が存在します。ファッションの都と言われるフランスでも、古着市などアパレルを再利用する動きが進んでいるのが現状です。ドイツにおいては、再生可能エネルギーのみを提供する電力会社が複数営業しています。

イギリスは2024年9月までに、石炭火力発電からの完全撤退を表明しており、2040年までにはガソリン車およびディーゼル車の新車販売停止も決定しました。

さらに、洋上風力発電の有効利用なども着々と進めています。イギリスでは直近の30年間で温室効果ガスを42%削減している一方、GDPを67%伸ばしており、環境配慮と経済成長の両立に大きな可能性を示しています。

参考:世界のエネルギー起源CO2排出量(2018年)|環境省

IGSでも脱炭素への取り組みを強化中

地球温暖化による環境問題が大きくなるなか、各国での取り組みが徐々に進んでいます。日本でも最新のテクノロジーを駆使して温室効果ガス削減が進められており、アイ・グリッド・ソリューションズ(IGS)もまた脱炭素社会の実現に向けて動き出している企業のひとつです。

アイ・グリッド・ソリューションズでは、グリーンエネルギーの供給を通して地球温暖化防止に貢献しています。法人向け、家庭向けそれぞれにCO2排出量実質ゼロのエネルギーを提供しているほか、AI技術を駆使してエネルギーマネジメントを行い、エネルギーコストの削減にも寄与している会社です。

とりわけ「CO2 ゼロ アクション プロジェクト」では、再生可能エネルギーの電気ブランド「スマ電CO2ゼロ」のユーザーとともに、脱炭素社会の実現に向けて地球環境問題への取り組みを推進しています。

関連記事:CO2ゼロアクションプロジェクト賛同企業インタビュー

温室効果ガス削減目標は、国だけ、企業だけが取り組みを行っても実現できません。国、自治体、企業と同時に、一人ひとりが自分にできることを一歩ずつ取り組むことで、はじめて目標達成に近づけるのです。

 

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