CO2排出量の計算方法について解説!【簡単にできる】
自社がどのくらいのCO2を排出しているのかを知ることは、環境経営や脱炭素社会を目指すための第一歩です。事業活動による温室効果ガスを削減するために、CO2排出量の計算方法について知っておきましょう。
本記事では、CO2排出量の計算方法を詳しく解説します。CO2の排出量を計算すべき理由についても紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
CO2の排出量を計算すべき理由
はじめに、なぜCO2排出量を計算しなければならないのかを知っておきましょう。自社のCO2排出量を計算すべき理由として、以下の3点が挙げられます。
・脱炭素に向けた排出量削減の取り組みのため
・省エネ法によってエネルギー使用状況報告が義務化されているため
・温対法によって排出量報告が義務化したため
それぞれの理由について、以下で解説します。
脱炭素に向けた排出量削減の取り組みのため
脱炭素とは温室効果ガスの実質ゼロを目指すことで、世界全体で脱炭素への取り組みが重要視されています。日本政府は2020年に、「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。
省エネ法や温対法では「一定規模以上の事業者」など報告義務が課される事業者に条件がありますが、CO2排出量の報告が義務づけられていない企業も、脱炭素を目指すために自社のCO2排出量を把握しておくことは大切です。
関連記事:【図解あり】脱炭素とは何か?どこよりもわかりやすく簡単に解説!
省エネ法によってエネルギー使用状況報告が義務化したため
省エネ法とは正式名称「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」で、オイルショックが契機となり昭和54年に制定されました。省エネ法では、工場や輸送事業者など対象事業者のうち、一定規模以上の事業者に対してエネルギー使用状況などの報告義務や、再生可能エネルギーへの取り組みを促すといった内容が定められています。
省エネ法の対象となるエネルギーは、燃料・熱・電気の3つです。廃棄物からの回収エネルギーや再生可能エネルギーは、報告義務の対象外となっています。
参考:資源エネルギー庁「省エネ法の概要」
温対法によって排出量報告が義務化したため
温対法では、温室効果ガスの排出量が多い者(特定排出者)に対して温室効果ガスの排出量を計算し、国に報告することを義務づけています。温対法は正式名称「地球温暖化対策の推進に関する法律」で、平成9年に地球温暖化対策に取り組むために制定されました。
温室効果ガスの排出量が多い事業者は、事業内容に関わらず温室効果ガス排出量を算定して報告しなければならないと温対法で定められています。また、国は各事業者から報告された情報を集計して公開することとされています。
参考:環境省「地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画」
CO2排出量の計算方法
ここからは、実際にCO2排出量を計算する方法をチェックしていきましょう。
以下で、CO2排出量の計算式や、「活動量」「排出係数」といったCO2排出量の計算に必要な数値について解説します。
CO2排出量の計算式
CO2の排出量は、以下の式で算出します。
- CO2換算排出量=活動量×排出係数×地球温暖化係数(GWP)
上記の計算方法は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によって定められています。「活動量×排出係数」の式で温室効果ガス排出量が求められ、それに地球温暖化係数をかけることでCO2の排出量が求められます。
地球温暖化係数とは、CO2を基準として、ほかの温室効果ガスの温暖化能力がどの程度あるかを表したものです。
活動量や排出係数について
CO2排出量の算出には、活動量や排出係数が必要です。活動量とは事業者の活動の規模に関する数値で、電気の使用量や貨物の輸送量、廃棄物の処理量などがこれに当たります。具体的な数値は、社内の各種データや業界平均データなどから求めます。
排出係数とは、活動量あたりのCO2排出量です。例えば、電気を1kWh使用したときのCO2排出量や、貨物の輸送量1トンあたりのCO2排出量などが該当します。基本的には、すでに公表されているデータベースから選択して計算に用います。
関連記事:CO2排出係数とは?計算方法や企業が知っておくべきことを解説
サプライチェーン排出量の計算方法
CO2排出量を求める際、「サプライチェーン排出量」を考えることが重要とされています。サプライチェーン排出量とは、自社が排出するCO2の量だけでなく、材料の購入や輸送、販売した製品の使用や廃棄に関わるCO2排出量を合わせたものです。
サプライチェーン排出量は、以下の計算式で求めます。
- サプライチェーン排出量=Scope1+Scope2+Scope3
それぞれのスコープの概要と求め方について、以下で解説します。
Scope1の計算方法
Scope1は、事業者が直接排出した温室効果ガスの量のことです。燃料の燃焼や製品の製造過程で発生させた温室効果ガスがScope1に該当し、「直接排出」ともいわれています。Scope1は、以下の計算式で算出します。
- Scope1排出量=燃料の消費量×燃料ごとの排出係数
ガソリンや軽油といった燃料を燃やすボイラーや車両などを使用している企業や、製造過程で温室効果ガスが発生する化学製品の製造企業などは、Scope1の量に注意が必要です。
Scope2の計算方法
Scope2は、エネルギー使用に伴う間接的な温室効果ガス排出量のことです。事業活動にほかの事業者から供給された電気や熱、蒸気などを使用する場合、Scope2の排出量を求める必要があります。
Scope2は、以下の計算式で求められます。
- Scope2排出量=電気使用量(kWh)×電力会社ごとの排出係数
Scope2は世界の温室効果ガス排出量の多くを占めていて、Scope2の削減が温室効果ガス削減のための重要な取り組みとされています。
Scope3の計算方法
Scope3はScope1とScpe2以外の、自社の事業活動に関連する他社の温室効果ガス排出量のことです。原材料の調達や通勤、製品の使用や廃棄など、間接的に排出している温室効果ガスを指します。
Scope3は、以下の計算式で算出します。
- Scope3排出量=活動量×排出原単位
活動量は電気の使用量や貨物の輸送量、廃棄物の処理量などから収集できるデータです。排出原単位とは、電気1kWhあたりや輸送1トンあたりなど、活動量に応じたCO2排出量のことです。
まとめ
CO2排出量を求めるための計算方法が定義されていて、法律で定められた基準に該当する企業は自社のCO2排出量を算定して国に報告しなければなりません。また、それ以外の企業でも、脱炭素社会を目指すために自社のCO2排出量を把握しておくことは重要です。本記事で紹介した計算式を参考に、自社のCO2排出量を計算してみてください。
アイ・グリッド・ソリューションズでは、温室効果ガス排出量の測定などを行っているので、環境に配慮した経営を目指す企業はぜひご相談ください。
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