
電力逼迫(ひっ迫)はなぜ起きる?原因や伴う現象について解説
2022年6月、「電力逼迫(ひっ迫)注意報」が初めて発令されました。4日間続いた警報は6月30日に解除されましたが、オフィスの照明を落としたり、エレベーターの稼働を止めたりなど、街中でも節電モードが漂う異例の事態となりました。このまま電力逼迫常態が続くと、大規模停電やブラックアウトが起こり、生活に大きな影響が出る可能性があります。
この記事では、電力逼迫に関する基礎知識や考えられるリスク、私たちができる節電対策などを紹介します。
電力逼迫(ひっ迫)とは?ひっ迫すると何が起きる?
電力逼迫とは、電力の需要量が供給量の上限に迫っており、余裕がない状態です。
需要が供給量を上回るということは、これまでのように安定して電力が供給されなくなるということです。そうなると、突然の大規模停電やブラックアウトを起こすリスクが高まります。
経済産業省の発表によると、電力供給の余力を示す「予備率」は、2022年7月時点で3.7%でした。安定供給に最低限必要とされる3%は上回っているものの、主力となる発電所でトラブルがあればすぐに危険な水準になる数値が続いているのです。
これを受け、政府は休止中の火力発電所の再稼働や天然ガスの追加調達、再生エネルギーの最大限活用といった対策を進めています。しかし、政府の取り組みに任せず、私たちも日頃から節電に務める必要があるのです。
電力逼迫(ひっ迫)の3つの警報について
政府と東京電力等の一般送配電事業者は、電力逼迫が危険な水準に達するのを避けるため、国民に節電の必要性を呼びかける警報や注意報を設けています。電力供給の余力を示す「予備率」の水準にあわせて、段階的に3つの警報や注意報があります。
電力需給逼迫準備情報 | ピーク時の電力需要に対する予備率が5%を下回ると予想された場合に、前々日の午後6時を目途に経済産業省のホームページなどで注意を呼びかける。 |
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電力需給逼迫注意報 | 前日の段階でも予備率が5%を下回ると予想された場合に、午後4時を目途に発令される。 |
電力需給逼迫警報 | さらに、予備率が3%を下回ると予想された場合に発令され、対策を強化するために一層の節電を呼びかける。 |
※逼迫の心配が無くなったと判断されたら解除されます。
電力逼迫(ひっ迫)の原因は?
近年、どうして電力逼迫が続くようになったのでしょうか。中には「足りなくなることがわかっているなら、貯めておけばいいのでは?」と考えた人もいるかもしれません。
実は、電力は貯めることが難しいエネルギーなのです。電力システムは、発電量と需要量を同時同量でバランスさせる「同時同量の原則」があり、これが乱れてしまうと電力の周波数が乱れ、大規模停電を引き起こしてしまうことにもなりかねません。
需要が増大する最も代表的な原因が、気候の急な変動です。例えば、2022年3月に初めて電力需給逼迫警報が発令されたときは、季節外れの寒波により暖房の需要増が見込まれたことが原因のひとつでした。他にも、地震による主力発電所の停止や火力発電所の老朽化なども一因となっています。
電力逼迫(ひっ迫)を防ぐために私たちにできること
安定したエネルギー供給を守るために、政府や企業は様々な取り組みを行っています。しかし、それ以上に私たちが日頃の生活で節電を意識することが大切です。
資源エネルギー庁のホームページでは、家庭でできる省エネアクションを紹介しています。家庭でできる取り組みとしては、電力消費が多い家電の使い方を工夫することが効果的です。特に電力消費量の多い「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の上手な使い方を紹介しましょう。
【参考画像】
引用:経済産業省 資源エネルギー庁『省エネルギー政策について』
エアコン
エアコンは、家庭の中で最も電力消費が多い家電で、夏季には1日に家庭で消費する電力の34.2%を占めています。エアコンの使い方を見直すと、大きな節電効果が期待できるのです。
<使い方のポイント>
- ドアや窓の開閉を少なくする
- 扇風機を併用して部屋の空気を循環させる
- 冷房使用時は、カーテンやすだれを使用して日差しを遮る
- 夏場は、外出時にカーテンを閉めて日差しが入らないようにする
- 室外機のまわりに物を置かない
- フィルターを月1、2回は清掃する
- 設定温度をこまめに調整する
特に、設定温度の調整は重要です。例えば、冷房の設定温度を27度から28度に1度上げるだけで、年間の電気代を約820円の節約できます。
関連記事:エアコンの電気代の計算方法と節約&省エネのコツをチェック!
冷蔵庫
冷蔵庫は、庫内の熱効率を考慮した使い方をし、物を詰込みすぎないことがポイントです。
<使い方のポイント>
- カレーやシチューなどを保存するときは、冷ましてから入れる
- 無駄に開閉せず、できる限り回数を少なくする
- 壁から適切な間隔で設置する
- 庫内の設定温度を適切に調整する
- 物を詰込みすぎず、庫内は整理しておく
盲点となりやすいのは、設定温度の調整でしょう。購入時のまま一度も調整したことがない方も多いのではないでしょうか。設定温度を「強」から「中」に変えるだけでも、年間約1,670円の節約になります。食品の痛みに気を付けつつ、冬期は設定温度を1つ下げるなど工夫してみましょう。
関連記事:冷蔵庫の電気代や計算方法、7つの省エネポイントを紹介!
照明
照明の使い方は、次の通りです。
<使い方のポイント>
- 使わない照明はこまめに消し、点灯時間を短くする
- 消費電力の大きい白熱電球を、蛍光ランプやLEDランプに取り替える
節電効果を求めるなら、LEDランプを取り入れることがおすすめです。電球型蛍光ランプの消費電力は白熱電球の約4分の1、電球型LEDランプは蛍光ランプの約4分の3といわれています。
例えば、54Wの白熱電球から9Wの電球形LEDランプに交換すると、年間約2,430円の節約になります。LEDランプは購入費用が高いものの、耐久年数が非常に長くほぼ交換不要なため、トータルではLEDランプの方がコスト削減にもなるのです。
関連記事:照明の電気代はいくらぐらい?仕組みや電気代削減のための省エネ方法までご紹介!
まとめ
地球温暖化の影響から例年のように猛暑が続くようになり、今後も電力逼迫のリスクは継続するものと予想されます。大規模停電やブラックアウトを避けるには、私たちが日常の中で節電に取り組むことが大切です。できる範囲から、少しずつ節電アクションを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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