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【2024年】容量拠出金や容量市場とは?概要をわかりやすく解説

容量市場で確保された将来の安定的な電力供給力に対して支払う報酬のことを、容量拠出金と呼びます。容量拠出金を理解するためには、2020年にスタートした容量市場の知識があることが大前提です。

本記事では、そもそも容量市場とは何なのかに加え、制度ができた背景や取引の流れを紹介します。そのうえで、容量拠出金の概要や企業にもたらす影響などを解説します。また、容量拠出金を削減する方法も併せて説明しているので、電気代の高騰に頭を悩ませている経営者や企業の担当者はぜひ参考にしてください。

容量拠出金を知るためにまずは容量市場について知ろう

容量拠出金を理解するためには、2020年にスタートした容量市場について知っておく必要があります。まずは、容量市場とは何を指すのか、制度が始まった背景や取引の流れを解説します。

容量市場とは?

容量市場とは、将来的な電力をきちんと確保することを目的にしたものです。現時点での価格で電気を取引するのではなく、将来見込まれる需要量の試算を元に、必要な供給量に合わせて電気の取引を行う仕組みを指します。

ここでいう将来とは4年後の電力のことであり、4年後に想定される必要な電力を元に価格が設定され、その価格で電気の取引を行います。

容量市場はすでに海外では導入されており、日本でも2020年に制度がスタートしました。この仕組みによって、発電能力の維持や電力供給の安定化が見込まれ、発電所や小売電気事業者などが安心して電気を取引できるようになります。また、電力不足や停電なども防げることから、一般消費者にもメリットのある仕組みといえます。

容量市場ができた背景

容量市場ができた背景には、主に2つの要素が絡んでいます。それぞれ詳しく解説します。

電力の自由化や再エネ拡大による電力供給力不足の懸念

容量市場ができた背景には、再生可能エネルギーの拡大と、電力の小売自由化が関係しています。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって電気料金や供給量が変動するため、不安定さを解消することが課題の1つでした。

また、電力の小売自由化によって一般消費者の電力調達方法が多様化し、電力の売買が活発になった一方で、市場価格の低下が発生しやすい時間帯にすべての電源の売電収入が減少する可能性があることも問題です。

売電収入の減少によって、発電事業者が建物や設備を建設したり維持したりすることが困難になると、発電そのものができない事態に陥りかねません。

そこで、火力発電所をはじめとした高い発電能力を持つ発電所が、今後も建物や設備を維持しながら安定した電力供給ができるようにと、容量市場が導入されました。

世界各国ですでに取り組みが進んでいる

諸外国では、再生可能エネルギーを主力電源としながらも電力を安定的に供給するため、すでに容量市場が取り入れられていることも背景の1つです。

EU諸国では、再生可能エネルギーの増加にともない、需要量が最大を迎える時間帯でも安定して電力を供給できることを目的として容量市場を採用しています。アメリカにおいても、各州によってアプローチ方法は異なるものの、容量市場を導入して電力供給の安定化を図っています。

諸外国の動きから、日本でも容量市場の取り組みをはじめることにつながりました。

容量市場での取引の流れ

容量市場では、まず市場管理者(広域機関)が4年後の電力の最大需要量を試算し、その需要を満たすための電力供給量を算定します。次に、必要な供給量を確保するために4年後に供給できる電力を、発電事業者からオークション形式で募集します。

入札した発電事業者は、発電所の設備の維持管理などを行い、広域機関から対価(容量確保契約金額)を受け取ります。広域機関は、電気の小売電気事業者や送配電事業者などから、将来の電力を確実に供給する対価(容量拠出金)を受け取ります。これが容量市場における取引の流れです。

容量市場に参加が可能な発電源

容量市場に参加できる電源の条件は、需要ピーク時の電力をまかなえることと、安定した発電能力を持っていることです。主に以下のような電源が容量市場に参加できるとされています。

・火力発電

日本では火力発電による電力が多くを占めていることからもわかる通り、発電能力が比較的安定しているため需要ピーク時にも対応できる電源です。

・原子力発電

原子力発電は連続的な発電が可能なため、一定の需要に対して安定的に供給することができます。

・水力発電

水資源に恵まれた日本では、再生可能エネルギーの1つである水力発電も安定した発電方法のひとつです。

・地熱発電

地中の熱を利用する地熱発電も、安定的に連続して発電できるため容量市場への参加が可能とされています。

容量拠出金とは?どんな影響がある?

容量拠出金とは、電力供給の安定化を確保することの対価として、小売電気事業者等が広域機関に対し支払うものであることは先ほど説明しました。では、一般消費者への影響はどのようなものがあるでしょうか。負担金額の計算方法と併せて紹介します。

容量拠出金は容量市場で確保された供給力への報酬

容量拠出金は、容量市場によって約束された将来の電力量に対して支払うものです。小売電気事業者や送配電事業者などが容量拠出金を広域機関に支払うためには、電力を利用するすべての国民がこの費用を負担する必要があります。

容量市場がスタートした2020年から4年後である2024年の4月より、容量拠出金の負担が開始されます。費用は電気料金に上乗せされるため、それにともない一般消費者に対する電気料金の見直しも行われる見込みです。

容量拠出金は各小売電気事業者によって異なる

容量拠出金の負担金額は、各小売電気事業者によって異なります。入札によって割り振られた各社のシェアに応じて、負担金額を按分する仕組みを採用しているからです。

また、一般消費者に求める容量拠出金の負担率も小売電気事業者によって計算方法が異なるため、すべての消費者が一律で同じ金額を負担するものではありません。ここでは、例としてA社における計算方法を紹介します。

・消費者の容量拠出金相当負担額(月額)=該当エリアのA社の1年間の負担総額÷12 ×(その家庭の年間ピーク時におけるkW実績÷該当エリアのA社の年間ピーク時におけるkW実績)

電気代負担を減らすには自社で電力を賄うのも1つの手

2024年4月より、容量拠出金の負担が開始されることになります。負担額はどの小売電気事業者と契約しているかによっても異なりますが、これまでより企業の電気代負担が上がることは確かです。

また、2024年は容量市場のほか、レベニューキャップ制度や電力調整市場の全面解禁などの制度変更も予定されており、今後も電気代の負担が上がり続けることが予想されます。電気代の負担を減らすには、自社で電力をまかなうことを検討してみるのもひとつの方法です。

アイ・グリッド・ソリューションズでは、サプライチェーン企業を中心とした施設の屋根上に太陽光発電所を導入する「オンサイト太陽光PPA」サービスを提供しています。オンサイトPPAモデルでは、電力会社から電気を購入する場合と比較して、送配電コストを抑えられることはもちろん容量拠出金の負担も削減することが可能です。

電気代の負担を抑えたいと考えている企業の方は、一度アイ・グリッド・ソリューションズに相談してみてはいかがでしょうか。

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