循環型社会とは?取り組み事例と個人でできることをわかりやすく解説!
SDGsへの注目が集まるとともに、社会の“持続可能性”が重視されるようになっています。そんな中「循環型社会」という言葉を耳にすることも増えているのではないでしょうか。
循環型社会を実現するためには、私たち一人ひとりが資源利用に対して責任感を持ち、日常における行動を変えていくことが大切です。
この記事では、循環型社会の概要や事例、私たちが日常生活でできる取り組みなどを紹介します。
循環型社会とは?
循環型社会とは、再利用・再生することで資源を循環させ、環境への負荷が低減された社会のことです。
現代社会では、長らく「大量生産・大量消費・大量廃棄」が前提とされてきたことから、限りある天然資源の枯渇やゴミを処理するための敷地不足、不法投棄といった題が浮かび上がっています。消費を抑制して、環境への負荷を低減しなければ、持続的な社会成長を維持することはできません。
これらの環境問題と資源問題を総合的に対策し、使い捨て社会から脱却して循環型社会を実現する取り組みが世界中で行われているのです。
循環型社会の日本の取り組み事例
循環型社会の実現に向けて、国内でも様々な取り組みが行われています。その中でも代表的な事例を紹介します。
循環型社会形成推進基本法
これまでは、廃掃法の改正や家電リサイクル法、容器包装リサイクル法の拡充・整備により廃棄物やリサイクル対策が図られてきました。
しかし、ゴミ処理場所の不足や不法投棄の問題が顕在化したことから、ゴミ処理と資源化の2つの軸を総合的に捉える取り組みが必要となっています。
そのような背景のもと制定されたのが、「循環型社会形成推進基本法」です。
この法律では、循環型社会を「①廃棄物等の発生抑制、②循環資源の循環的な利用、③適正な処分が確保されることで、環境負荷が可能な限り低減される社会」と定義。
さらに国民・事業者・行政を「排出責任者」と明示し、それぞれの責務と役割を示しています。
この循環基本法に基づいて基いて、廃掃法と資源有効利用促進法が制定・改正されました。
それにより、資源の特性に応じた6つの規制(容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法、小型家電リサイクル法)がスタートしています。
【参考】
循環経済パートナーシップ
循環経済パートナーシップ(略称:J4CE)は、循環経済への流れが世界的に加速する中で、国内の企業を含めた幅広い関係者に対し、循環経済へのさらなる理解促進と取り組み強化を目的として官民連携でスタートしたパートナーシップです。
2021年に環境省と経済産業省、経団連が意見交換を行い、合意の上で創設しました。世界経済フォーラムと共催した「循環経済ラウンドテーブルの会合」にて、官民連携で行う本取り組みについて発信したことから、世界的にも注目を集めています。
具体的な取り組みとしては、日本の先進的な取り組み事例を収集し、国内外に向けて発信・共有を行っています。国内一般企業も参加することが可能で、124社と16団体が参加・賛同を表明しています(2022年4月時点)。
【参考】
循環型社会の世界の取り組み事例
循環型社会の実現は世界的な課題であり、各国や地域で様々な取り組みが行われています。
アジア太平洋3R推進フォーラム
3Rは「廃棄物の発生抑制(リデュース:Reduce)、再使用(リユース:Reuse)、再生利用(リサイクル:Recycle)」のことを指します。
アジア太平洋3R推進フォーラムは、アジアにおいて、環境と経済の両立を図り、循環型社会を実現することを目指す取り組みです。
2008年のベトナム・ハノイで開催された東アジア環境大臣会合において、アジア各国の政府、国際機関、研究機関、民間セクターなど幅広い関係者との協力基盤になるものとして、日本の提案によって設立されました。
設立から現在までで10回のフォーラムが開催されており、その中では10年間における3R推進の目標、達成状況のモニタリング指標をまとめた「ハノイ3R宣言」が採択されています。
また参加各国における政策対話の促進、3Rプロジェクト実施の支援、3Rに関する情報共有、関係者のネットワーク構築などが進められています。
日本以外に、中国や韓国、オーストラリア、シンガポールなど、39か国が参加しています。
【参考】
使い捨てプラスチック流通禁止指令(EU)
環境意識の高いヨーロッパでは、プラスチック製品の利用に関するガイドラインが制定されました。
EU理事会は、2019年に使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案を採択。
EU加盟国は指令に対応した国内法案を整備し、2021年より適応が開始されています。
適用開始を前に発表されたガイドラインでは「プラスチック」や「使い捨て」の定義と、流通が禁止される9種の製品が例示されています。
<流通が禁止される製品>
- 綿棒の軸
- カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン、箸)
- 皿
- ストロー
- マドラー
- 風船の棒
- 発泡スチロール製食品容器
- 発泡スチロール製飲料容器(キャップ・ふたを含む)
- 発砲スチロール製飲料用カップ(カバー・ふたを含む)
「3R」と「5R」から見る循環型社会へ向けてわたしたちにできること
5R | 3R | Reduce(リデュース) | ゴミが発生しないように生産・販売し、廃棄物を抑制する |
Reuse(リユース) | 使えるものは再利用し、廃棄物にしない | ||
Recycle(リサイクル) | 廃棄物を再制限をして活用する | ||
Refuse(リフューズ) | ゴミになるものを買わない・もらわない | ||
Repair(リペア) | 修理して長く使用する |
3Rは「Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)」の頭文字を取ったものです。
これまで循環型社会の実現に向けた様々な議論では、3Rを軸に対策が講じられてきました。近年では、さらに廃棄物を抑制する仕組みとして、3Rに「Refuse(リフューズ)、Repair(リペア)」を加えた、5Rが登場しています。
5R は、私たちが普段の生活において気軽に取り組める内容になっています。
循環型社会を実現するためには、国民一人ひとりが資源利用について責任を負っている自覚を持ち、日常の行動を少しでも変えていくことが大切です。
以下では、生活の中でできる取り組みの具体例を紹介します。
Reduce(リデュース)
リデュースは、使用した物がゴミにならないよう、工夫して製造・加工・販売することで、廃棄物の発生そのものを抑制します。
ポイントは、ゴミになるものを選ばないこと、そしてゴミにならないように工夫することです。
<具体例>
- 使い切れない食料品は買わない
- 外食では、食べきれる分だけ注文する
- シャンプーなど、詰め替えが可能な製品はそちらを利用する
- 簡易包装の商品を選ぶ
- 調理の際、野菜の皮や茎の部分まで美味しく食べられるレシピを採用する
- 生ごみは水気をよく切ることで、量と重さを減らす
- 紙タオルではなく、持参したハンカチを使う
- たまにしか使わないものは、レンタルやシェアで済ませる
Reuse(リユース)
リユースは、使用済みの物でもすぐにゴミとして廃棄せず、再利用することです。自分にとっては不要でも、他に使う人がいないか探してみるといいでしょう。
<具体例>
- 着なくなった洋服や制服は人に譲る
- 不用品はリサイクルショップやフリーマーケットに出す
- 新品でなくてもいい場合は、中古品を探してみる
- ペットボトルや瓶を、ペン立て・花瓶として利用するなど、別の使い方を考えてみる
- 使い捨て容器ではなく、ビール瓶や酒瓶、牛乳瓶のように繰り返し使える容器に入っているものを選ぶ
Recycle(リサイクル)
再利用ができない物や再利用後に廃棄された物のうち、再生資源になる物はリサイクルが可能です。
自分でゴミを資源化することは難しいので、リサイクルルートに正しく乗せることが重要です。
住んでいる自治体のルールに従ってゴミを正しく分別し、資源が有効活用されるよう配慮しましょう。
<具体例>
- 再生利用が可能なビン、缶、ペットボトル、古紙などは、ルールに沿って分別する
- スーパーなどで実施している店頭回収を利用する
- 生ごみ処理機やコンポスト容器などで、生ごみを自家処理し、堆肥にする
- 再生資源は、よく洗って汚れを落としてからゴミに出す
- 再生資源を使っている製品を選ぶ
- 家電リサイクルの対象であるエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、廃棄せずリサイクルに出す
- PCリサイクルマークが付いたパソコンは、メーカーに回収してもらう
Refuse(リフューズ)
リフューズは、ゴミになる物を買わない・もらわないことでゴミの発生を阻止する取り組みです。5Rの中で最も始めやすい項目といえますので、まずこちらから実践してみるといいでしょう。
<具体例> コンビニのレジ袋や本屋のブックカバーは、必要なければ断る
- お弁当や飲み物に付いてくる使い捨ての割り箸やストロー、スプーンなどは受け取らない
- マイバッグやマイボトルを活用する
- 必要ないチラシやダイレクトメッセージは、受け取りを拒否する
Repair(リペア)
壊れた物は修理することで、ゴミにせず長く使うことができます。
壊れたり汚れたりしてもすぐに捨ててしまうのではなく、直すことはできないか考える癖をつけましょう。
<具体例>
- 物が壊れても、すぐ捨てずに修理できないか考える
- 自分で補修が難しい場合は、専門店に依頼してみる
アイ・グリッド・ソリューションズの取り組みについて
一般企業においても、循環型社会に向けた取り組みを行っている例があります。
アイ・グリッド・ソリューションズは、太陽光発電の余剰電力を地域内の店舗や家庭で巡らせる「太陽光発電の地域循環型ビジネスモデル」の実証実験を行っています。
スーパーマーケットの屋根に太陽光発電設備を設置して蓄電池や電気自動車を充電し、AI制御によって余剰電力を地域に巡らせ、効率利用を図るものです。
環境負荷の低い電力をさらに効率利用して循環型社会を目指しているだけでなく、地域住民の意識向上にも繋がっています。
まとめ
循環型社会を実現するためには「大量生産・大量消費・大量廃棄」が当たり前だった過去の社会構造から脱却し、私たちの生活様式を変化させる必要があります。
大きな取り組みでなくても、日常のちょっとした行動を変えるだけでも十分です。
マイバッグやマイボトルを利用する、不要な付属品をもらわないといった身近な取り組みから始めてみるといいでしょう。
「グリラボ」では、循環型社会をはじめ、環境問題やSDGsに関する情報を発信しています。
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