二酸化炭素排出量とは?世界ランキングや日本での推移を紹介
昨今では、地球温暖化の促進を防ぐため、世界中の国々が脱炭素社会の実現を目指しています。環境問題に関心はあっても、そもそも二酸化炭素排出量はどのように計測されているのかがいまいちよくわからないという人は少なくないはずです。
そこで今回は、二酸化炭素排出量について詳しく解説します。最後に日本の二酸化炭素排出量と世界ランキングも併せて解説するので、環境問題に関心のある方は参考にしてみてください。
二酸化炭素排出量とは?
二酸化炭素排出量とは、その名の通り排出された二酸化炭素の量のことです。二酸化炭素は地球温暖化を促進させる温室効果ガスの一種であり、温室効果ガスには二酸化炭素のほか、メタンや一酸化二窒素、代替フロンなどがあります。地球温暖化の促進を止めるためには、温室効果ガスの減少が不可欠です。
中でも、温室効果ガスの排出量は二酸化炭素が大半を占めています。2018年度の内訳は、二酸化炭素が91.7%、次いでハイドロフルオロカーボンが3.8%、メタンが2.4%、一酸化二窒素が1.6%、パーフルオロカーボンが0.3%、六フッ化硫黄が0.2%、三フッ化窒素が0.0%です。
つまり、地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素の排出量をいかに減らせるかがポイントだということがわかります。
2015年のパリ協定では、二酸化炭素排出量を抑える目標が各国に課せられました。先進国では積極的に力を入れており、実際に減少傾向である実績も出ていますが、トルコやインドネシア、インドなどの新興国では増加傾向が見られます。
参照:データで見る温室効果ガス排出量(日本)|全国地球温暖化防止活動推進センター
二酸化炭素排出量が増える原因
二酸化炭素排出量が増えた原因には、主に2つ考えられます。
1つは、生活の中で化石燃料が大量に使われていることです。そもそも化石燃料とは石油や石炭、天然ガスなど地中に埋まっている燃焼資源のことであり、燃やすと二酸化炭素が発生します。
私たちが普段何気なく使っている電気やガソリンなどは、化石燃料を燃やしたエネルギーを活用して動かしています。つまり、エアコンやパソコン、テレビ、洗濯機などの電化製品や車は生活を便利にしますが、化石燃料が使われるため二酸化炭素をたくさん排出することになるのです。
そして2つ目の原因は、森林面積が減少していること。森林は二酸化炭素を吸収して酸素を排出するので、地球温暖化防止に役立ちます。しかし、伐採や火災などにより、森林面積の減少は深刻化している状況です。二酸化炭素を吸収するものがこれ以上なくなれば、地球温暖化はますます加速するでしょう。
二酸化炭素排出量はどうやって測定している?
現在では国別の二酸化炭素排出量を「生産ベースCO2排出」と呼ばれる推計を用いて測定しています。生産ベースCO2排出とは、ガソリンやガス、電気などの「使用量(活動量)」に、「排出係数」をかけ算して求める推計方法です。測定器や機械などを使用して測っているわけではありません。
ただし、生産ベースCO2排出には懸念点も。実際よりも先進国は減少傾向に、新興国は増加傾向に演出している面が見られるので、正確に測れていない恐れがあると言われています。
新興国では、国内のインフラ整備を図るために二酸化炭素の排出量が増えているのは確かです。しかし、生産ベースCO2排出の推計だと、実際よりも数値は過剰に出てしまう側面があります。
このようになる背景には、1つの製品のパーツを分解してさまざまな国で作る「グローバル・バリューチェーン(国際分業)」が関係しています。グローバル・バリューチェーンは、コストを安く抑えるための企業戦略の1つです。
生産ベースCO2排出においては、自国外に輸出されるパーツを作る課程で発生した二酸化炭素は、自国の排出量としてカウントされてしまいます。エネルギー価格が安い国へと工場を移転する企業も増えていることから、工場を撤廃した国の二酸化炭素排出量は下がり、移転先の国の二酸化炭素排出量は増えたという現象が起きているのが現状です。
日本の二酸化炭素排出量や推移
環境庁によると、2020年度の日本の温室効果ガス総排出量は11億4,900万トンとされています。そのうち、二酸化炭素の排出量は10億4,400万トンで、前年度よりも6,370万トン(5.8%)減少しています。 各部門における二酸化炭素排出量は、以下の通りです。
2019年度 排出量 | 2020年度 排出量 | |
合計 | 1,108(100%) | 1,044(100%) |
産業部門(工場等) | 279(25.2%) | 252(24.1%) |
運輸部門(自動車等) | 198(17.9%) | 177(17.0%) |
業務その他部門(商業・サービス・事務所等) | 63.7(5.7%) | 60.3(5.8%) |
家庭部門 | 53.4(4.8%) | 55.8(5.3%) |
エネルギー転換部門(発電所・製油所等) | 434(39.2%) | 422(40.4%) |
工業プロセス及び製品の使用 | 45.0(4.1%) | 42.7(4.1%) |
廃棄物(焼却等) | 30.8(2.8%) | 31.0(3.0%) |
その他(間接CO2) | 3.0(0.3%) | 2.9(0.3%) |
単位:百万トン
ちなみに、2020年度の二酸化炭素排出量は2005年度比で249.6(19.3%)減、2013年度比で273.6(20.8%)減とされています。排出量を抑える取り組みが結果として出ているのは明らかです。
参照:2020 年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(速報値1)について|環境庁
世界の二酸化炭素排出量ランキング
最後に、世界でどの国がどれくらい二酸化炭素を排出しているのか見ておきましょう。二酸化炭素の排出量の多い国をランキング形式で発表します。
順位 | 国名 | 2018年度の二酸化炭素排出量 |
1 | 中華人民共和国(中国) | 9,570.8 |
2 | アメリカ合衆国(米国) | 4,921.1 |
3 | インド | 2,307.8 |
4 | ロシア | 1,587 |
5 | 日本 | 1,080.7 |
6 | ドイツ | 696.1 |
7 | 大韓民国(韓国) | 605.8 |
8 | イラン | 579.6 |
9 | カナダ | 565.2 |
10 | インドネシア | 542.9 |
単位:百万トン
ちなみに、2020年度の二酸化炭素排出量は2005年度比で249.6(19.3%)減、2013年度比で273.6(20.8%)減とされています。排出量を抑える取り組みが結果として出ているのは明らかです。
参照:データで見る温室効果ガス排出量(世界)|全国地球温暖化防止活動推進センター
まとめ
二酸化炭素は、地球温暖化の原因である温室効果ガスの一種です。いかに二酸化炭素を排出せずに暮らしていけるかが、今後の暮らしに大きく影響すると言えます。このまま対策を講じなかった場合は、ふつうに生活することすらままならなくなり、地球に住めなくなる事態にもなりかねません。
日本の二酸化炭素排出量は減少傾向にありますが、2050年脱炭素社会の実現に向けて企業や地域、国民一人ひとりが主体的に気候変動対策へ取り組まなければ、人類が生活できなくなくなる日も決して遠くはないでしょう。
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