気候変動とは?原因や対策、現状の深刻な影響を分かりやすく解説
地球にとって非常に大きな脅威である気候変動。近年増えている豪雨や真夏日をきっかけに、気候変動について意識し始めている人が多くなりつつあります。とは言え、具体的にどんな影響があるのか、原因は何かなど分からないことがあるという人も少なくないはず。
今回は、気候変動とは具体的にどのようなことなのか、気候変動の仕組みや原因は何なのか、今後起こるであろう影響にはどのようなものがあるのかについて解説します。気候変動のメカニズムや影響を理解し、今後の環境行動を決める指針のひとつとしてください。
地球にとって最大の驚異である気候変動とは?現状を解説
気候変動に似たイメージの言葉に「地球温暖化」があります。気候変動というと、地球が温暖化によって暖かくなってしまうものと考える人が多いかもしれませんが、実はそれだけではない多大な悪影響を秘めているのが気候変動です。
まずは、現在世界の気温がどれくらい上昇しているのか、そして今後はどの程度の気温上昇が予想され、それによって何が起こりつつあるのかなど、現状について確認してみましょう。
19世紀以降世界の平均気温は上がり続けている
19世紀以降、世界の平均気温は上がり続けています。19世紀後半以降では、地球全体で100年あたり0.72℃の気温上昇が実際に記録されているのが現状です。主な原因は、人間による工業活動の開始で、産業の活発化によって空気中の二酸化炭素濃度が上昇したことだと考えられています。
このままのスピードで人間が活動を続けて二酸化炭素を排出した場合、21世紀末には平均気温が2.6~4.8℃上昇すると予測されています。
ただし、2015年に合意されたパリ協定の目標が実現されたとすると、上昇の幅は2℃に抑えられると予測されており、更なる努力目標として「1.5℃目標」を掲げているため、その範囲内に収まるよう緩和策を講じていくことが必要です。このまま緩和策を取らなかった場合は、4℃前後の気温上昇が発生し、地球に大きなダメージを与えてしまいます。
参照:気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018|環境省・文部科学省ほか
海面水温が世界的に上昇を続けている
地球温暖化にともなう海面水温の上昇も見逃せない状態です。
世界の海面水温は、1900~2019年の間で100年あたり0.55℃の上昇が記録されています。日本の近海はもっと深刻で、100年あたりの上昇幅は1.14℃です。
海面水温は海域や季節によっても左右され、一般的には大陸に近い位置の海面水温が上昇しやすいことがわかっています。これは暖流が流れていたり、陸地の気温に影響されやすくなったりするためです。日本の場合、亜熱帯からの空気が偏西風に乗って北上する影響で、世界平均よりも大幅な海面水温の上昇が予測されています。
上記を鑑みると、パリ協定の目標を達成したとしても、21世紀末には日本近海の海面水温はさらに1.14℃上昇すると考えられるのです。
北極海の海氷が減少を続けている
北極海の海氷面積も、温暖化にともなって減少が続いています。1979~2019年の観測結果によると、北極域において10年あたり89万平方kmの海氷面積が減少しており、この数値は最小海氷面積(平年値)の14%に相当する割合です。
オホーツク海においても同様で、1956年以降の観測データに基づくと、1980年代以降には流氷も激減しています。
もしパリ協定の目標が達成できず、今までどおりの気温上昇が続くようであれば、北極域の氷は21世紀半ばまでにほとんど融解してしまうとの予想もあるほどです。また、21世紀の間には海氷面積が減少するのみならず、海氷の厚さも薄くなることが予想されています。
気候変動が進むとどうなる?人類の生活にも及ぶ深刻な影響とは
気候変動が進むと、人類の生活にも深刻な影響が出始めます。現時点でどのような影響が予測されているかを、以下で紹介します。
水:飲み水がなくなる、洪水が増えるなど
気候変動の影響として、まず水に関する影響が挙げられます。考えられる影響は複数ありますが、人々の生活に最も影響するのは、飲み水や生活用水が不足することです。ほかにも、豪雨が降り洪水が増え、大きな被害が出ることが考えられます。
気候変動によって干ばつが起こり土地が水を蓄えられなくなると、激しく降った雨が蓄積されず、溢れたあと海へ流れてしまいます。また、温暖化によって高温になることで、土地から水分が蒸発し、また干ばつが進むという悪循環が生じるのです。
近年は、日本でも短時間の豪雨による被害が増えてきていることに加え、夏場を中心にダムの水位低下が見られるようになるなど、水不足の傾向も顕著です。
氷河などの融解や、海水の膨張を要因とする海水面上昇の問題も避けては通れません。海岸の低地に家が建つ島嶼国やベネチアなど海抜の低い地域では、高潮で家屋が浸水する被害が見られるようになっているのが現状です。
自然:動物が絶滅する、砂漠が増え緑がなくなるなど
気候変動によって植物が枯れるなど生態系が変化すると、餌が取れなくなった動物が生きていけなくなってしまいます。餌の分布の変化によって移動したり、悪ければ絶滅したりということも起こりうるでしょう。
砂漠化の問題も、気候変動と関連があります。地表が高温になったり、強風が吹いたりすることで水分が蒸発し、乾燥のために植物が成長できなくなるのが砂漠化です。ほかにも、頻発する豪雨によって栄養分の高い地表の土が流れ出してしまうと、良質な土が薄くなり、これも植物が枯れる原因になってしまいます。
経済活動や農業にともなう過度な伐採や放牧もまた、砂漠化の原因のひとつです。根を張る植物のなくなった土地は水を蓄える力がなくなるため、乾燥しやすいうえに、豪雨が降ったときには洪水の原因にもなってしまいます。
乾燥した土地に水を多く引いて植物を育てようとすると、水中の塩分が土中に残り塩害を引き起こすため、これもまた植物が育たない土地になる原因のひとつです。
生活:食べ物がなくなる、病気が増える、自然災害が増えるなど
干ばつが進んだり、洪水が増えたりすることで、農作物が育たなくなります。結果的に食糧や飼料として生産される植物が減り、市場に出回る野菜はもちろん、肉も減少してしまう未来が避けられません。
気候変動が進むと、病気が増えるとも言われています。生き物が媒介する種類の伝染病は、媒介する生き物の生息地域が広がれば、その分拡大するためです。マラリアやデング熱などは蚊が媒介する伝染病は、気候変動によって蚊の生息地域が拡大するにしたがい、拡がりを見せつつあります。
自然災害の増加も、無視できない気候変動の影響のひとつです。豪雨による水害や土砂災害は、年々増加傾向が続いています。
台風では高潮が起こり、地形によって沿岸部の建造物や道路に影響を与えることが増えているという調査もあります。これは海水面の上昇にともなう現象です。さらに台風では、同じく海水面の上昇によって起こる河川の海水逆流や氾濫による浸水被害も報告されています。
天気:猛暑日が増える、台風やハリケーンが増えるなど
日本でも猛暑日や真夏日が増えているのを実感できるように、世界的に高温になる日が年々増え続けています。本来寒かった地域も寒くなくなりつつあり、日本海側の積雪データを見ると降雪量や積雪量は減少傾向にあるのが現状です。
気候変動が進むと、台風やハリケーンが増える、あるいは大型化するとも言われています。台風やハリケーンは海上で水蒸気を含んだ上昇気流が発生し、上空で冷やされながら周囲の水蒸気を巻き込むことで起こる現象です。
気候変動によって海水温が上がると、水蒸気として蒸発するスピードが上がり、より迅速に周囲の水蒸気を巻き込みながら大きくなると考えられています。理論上は蒸発する水蒸気も増えているため、台風やハリケーンの発生頻度が増える可能性も。
ただしこの台風やハリケーンに対する見解は、まだ気候変動の影響として裏付けられたわけではありません。現時点では、さまざまな見解のうちのひとつとされています。
まとめ
気候変動は、地球温暖化が原因で起こっているさまざまな天候の変化を示すものです。ただし、ただ天気が変わって地球が暖まるというだけではなく、気候が変動することによって水害の増加や砂漠化、食糧や水の減少、病気の媒介など、数々の問題が起こります。気候変動がさらに進めば、状況はますます悪化すると考えられています。
少しでも地球温暖化を食い止め、影響を最小限に抑えるためには、政府や企業だけではなく一人ひとりの努力が大切です。気候変動を自分のこととして捉え、今どのような取り組みができるかを考えてみましょう。
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