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化石燃料とは?特徴やリスクをわかりやすく簡単に解説!

環境問題に関するニュースでは、「化石燃料」という言葉をよく耳にします。環境によくないものだとは分かっていても、なぜよくないのか、そもそも化石燃料とは何なのかなど、分からないことが多いという人もいるはずです。 そこで今回は、今注目されている化石燃料について、そもそも化石燃料とは何なのかや、どのような影響を及ぼすのかなどについて詳しく解説します。また、自分でできる対策も紹介するので、今後の取り組みの参考にしてみてください。

化石燃料とは?

化石燃料とは、石油や天然ガス、石炭といった地下に埋まっている燃料資源のことです。そもそも「燃料」とは、熱や光、動力などのエネルギーを得るために燃焼させる材料のこと。自動車を走らせるためのガソリン、エアコンで風を送るための電気なども、すべて燃料です。 燃料にはさまざまなものがありますが、石油や天然ガス、石炭が化石燃料と呼ばれるのには、燃料になるまでの過程が関係しています。 化石燃料は、もともと数百万年以上も前に存在していた植物や生物、プランクトンなどの死骸でした。これらが海底に溜まり、微生物によって分解された後、土や水などの強い力で押さえつけられ、地熱で温められているうちに燃えやすい成分に変化したのです。長い年月をかけ、植物は石炭に、生物やプランクトンなどの死骸は石油や天然ガスになりました。 アンモナイトや恐竜などの化石もまた、同じ過程を経ていることから、地下に埋まっている燃料資源を化石燃料と呼ぶようになりました。化石燃料は火力発電所や家庭用ガスエネルギーの燃料、さらにガソリンや灯油を作る原料になるので、私たちの生活に欠かせない資源です。

 

化石燃料を使うことによるリスクや問題点

非化石証書

化石燃料を使うことには、さまざまなリスクや問題点があります。このまま化石燃料に頼り続けるとどうなるのか、具体的にどのようなリスクを伴うのか、詳しく解説するのでチェックしてみてください。

燃料を輸入に頼っているため価格変動が激しい

日本国内で化石燃料は採取できないため、中東やアメリカ、ロシア、中国など多く取れる地域からの輸入に頼らざるを得ません。国際情勢によっては価格が激しく変動するので、なにか問題が発生したとき、家庭に安定して電力を供給できなくなる恐れがあります。 現在問題視されているのは、2022年4月時点で発生しているロシアのウクライナ侵攻による化石燃料への影響です。ロシアは天然ガスを多く保有しており、アメリカに次いで第2位の生産量を誇っています。日本の天然ガス輸入量の約1割はロシア産ですが、EU諸国は約4割をロシアに依存しているのが現状です。 ウクライナ侵攻を行うロシアへの経済制裁として、ロシアの大きな収入源である化石燃料の輸入を各国が次々と停止したことで、ロシア以外の天然ガスの需要が高まり、激しい獲得競争が起こると懸念されています。 日本でも天然ガスの確保が難しくなれば、電気・ガス料金は値上がりし、食品やガソリンの価格も高騰するでしょう。

参照:都市ガス料金さらに値上げ~ロシア影響で加速|一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会

 

燃料資源が有限なため枯渇の恐れがある

化石燃料は私たちの生活に欠かせない資源ですが、無限に存在するわけではありません。化石燃料は、もともと大昔に存在していた植物やプランクトンなどが、長い年月を経て変化したものです。すぐに作ることはできないので、このまま使い続けるといずれは無くなってしまいます。 2017年末時点で確認されている石油の埋蔵量は、可採年数にすると50.2年分になるといわれているのが現状です。つまり、何の対策も行わないまま使い続ければ、2070年頃には石油や天然ガスが枯渇する恐れがあります。 そこで、新たに注目されているのが「再生可能エネルギー」です。太陽や風、地熱などの自然の力を利用する再生可能エネルギーは、無くなる心配がありません。地球温暖化対策としても有効的なので、日本では再生可能エネルギーを利用する取り組みが行われています。  

参照:第2節 一次エネルギーの動向|経済産業省 資源エネルギー庁

地球温暖化を促進させる二酸化炭素を大量に排出する

化石燃料を燃やすと大量の二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素は、地球温暖化を促進させる温室効果ガスの一種です。 このまま何の対策も行わず二酸化炭素を排出し続ければ、地球温暖化が加速し、陸地が減ったり気候変動が起きたり、さまざまな影響を及ぼします。地球温暖化を防ぐためには、いかに化石燃料の使用を抑えられるかがポイントです。 また、パリ協定において日本が掲げた温室効果ガス削減・抑制目標は、「2050年カーボンニュートラル」です。2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにし、脱炭素社会の実現を目指すことを意味しますが、このまま火力発電に依存し続けるとこの目標を達成するのも難しくなるでしょう。  

参照:結果概要 【2021年12月分】|経済産業省 資源エネルギー庁

日本の化石燃料に関する現状や課題

日本はエネルギー資源が少ない国です。2019年度の日本の一次エネルギー(※)自給率は、わずか12.1%。各家庭や事業者に電力を安定して供給するためには、他国からの輸入に頼らざるを得ない状況です。 中でも依存度が高いのは、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料です。日本国内で使用される電気のほとんどは、火力発電によって生み出されています。火力発電は化石燃料を燃やし、そのエネルギーを電力へと変換したものです。つまり、日本にとって化石燃料は不可欠な存在だといえます。 とくに、東日本大震災以降は原子力発電所の稼働が停止し、火力発電量が増えたことによって、化石燃料への依存度がさらに高まりました。現在、日本の化石燃料輸入先は中東地域が全体の約90%を占めています。 しかし、中東地域は情勢が不安定なことから、いつ何が起こるか分かりません。場合によっては、家庭や事業者などに電力が届けられなくなる可能性もあります。さらに、化石燃料は地球環境においても悪影響をもたらす存在です。 化石燃料を燃やすと二酸化炭素が発生します。車を動かすためのガソリン、電化製品を使用するときに作られる電気などのエネルギーには、化石燃料が多く使われています。使用頻度が多くなるほどたくさんの二酸化炭素が排出され、地球温暖化を促進させてしまうのです。 ※一次エネルギー:自然界にあるエネルギー(石油、天然ガス、石炭、原子力、太陽光、風力など)  

参照:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|経済産業省 資源エネルギー庁

化石燃料に頼りすぎず安心な暮らしをするためにできること

化石燃料に頼りすぎると、生活に影響が出たり、地球温暖化を深刻化させたりする恐れがあります。今の暮らしを守るために自分たちができることや、個人でもできる身近な対策を2つ紹介します。

自然エネルギー(再生可能エネルギー)を利用する

太陽光や風力、水力など再生可能な自然エネルギーを利用しましょう。自然エネルギーは、自然界にあるものを利用して作られているので、有限の化石燃料とは違い、枯渇することがありません。また、エネルギー資源が乏しい日本でも生産が可能なので、海外からの輸入に頼らずに済みます。他国の情勢によって価格変動が起こるリスクが少ないというメリットがあります。 さらに、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量が少なく、環境にやさしいところも自然エネルギーを利用するメリットのひとつ。地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスをいかに減らせるかが鍵であるため、自然エネルギーは地球温暖化対策に有効的な方法といえるでしょう。 家庭でできる自然エネルギーの利用法としては、太陽光パネルの設置や省エネ家電への買換え、電気自動車への乗換えなどがあります。いずれも初期コストはかかりますが、導入した後は電気代が安くなったり貯まった電気が売れたりと、家計への恩恵も期待できます。

エネルギー消費を抑えることも重要

化石燃料は、いずれ無くなる資源です。枯渇しつつある資源を大切に、有効的に使う意識をもつことも重要です。日々の生活でできる取り組みには、以下のようなものがあります。

・エアコンの設定温度を夏は28℃、冬は20℃に設定する

・使わない電気は小まめに消す

・ペットボトルや古紙などはリサイクルする

・水は出しっぱなしにしない

・車よりも電車やバスを利用する

・近場への移動は徒歩、または自転車を利用する

また、マイバッグやマイ箸などの持参も有効的です。レジ袋や割り箸などのゴミを減らせるので、ゴミを運ぶときや燃やすときに発生する温室効果ガスの減少につながります。普段からゴミを出さないように意識することも大切です。 一人ひとりがエネルギーを大切に使うことを心がけると、地球温暖化の加速をストップさせられる可能性が高まります。

まとめ

化石燃料は、私たちの生活には欠かせない資源です。とくに、日本で使用される電気の大半は、化石燃料を燃やしてエネルギー源とする火力発電で占めており、不足すればさまざまな影響を及ぼします。 しかし、化石燃料に依存し続けると、いずれは無くなったり地球温暖化を促進させたり、場合によっては生きていくことすら困難な状況になりかねません。 今の安定した暮らしを維持するためには、一人ひとりが意識して生活することが大切です。自然エネルギーを積極的に活用し、エネルギー消費を抑える工夫をすれば、恐れている状況を回避できる可能性が高まります。個人でできる対策はたくさんあるので、積極的に取り入れて化石燃料に依存する社会を変えていきましょう。

 

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