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地球温暖化の影響とは?現在身近で起きていることや日本の状況を解説

地球温暖化は、私たちの生活にさまざまな影響を及ぼしています。しかし、どのような影響が出ているのか具体的に把握できていない人は意外と多いものです。

そこで今回は、環境問題の原点ともいえる地球温暖化について詳しく解説します。身近で起きている地球温暖化による影響、さらに今できることを紹介するので、基本的なところから学びたい方は参考にしてみてください。

10年20年、さらにその先も安心して暮らすためには何ができるのか、1人1人意識をもって取り組めるようにしましょう。

そもそも地球温暖化とはどういう現象?

地球温暖化とは、地球全体の平均気温が上昇している現象のことです。現在の地球は、過去1400年の中で最も暖かくなっており、海面の上昇や異常気象など、さまざまな影響が出始めています。有効な温暖化対策をとらなければ、21世紀末にはさらに2.4~4.8℃上昇するといわれているのです。

そもそも地球温暖化の原因は、人間によって排出される温室効果ガスの増加です。温室効果ガスには二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素などがあります。なかでも二酸化炭素は排出量が多いことから、地球温暖化への影響が大きいのが特徴です。

もともと二酸化炭素自体は自然界に存在するものですが、物を燃やしたり乗り物に乗ったりすることで、大量の二酸化炭素が排出されます。さらに、森林伐採により二酸化炭素を吸収する森林が減少していることもまた、温室効果ガスが増える原因の1つです。

私たち人間の暮らしが温室効果を強め、その結果、地球全体の気温を上昇させています。地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスを減らす取り組みが不可欠なのです。

では、地球温暖化によって私たちの生活にどのような影響が出るのか、詳しく見てみましょう。

地球温暖化の影響とは?身近に分かる影響を解説

最初に挙げる影響は、海面の上昇です。地球温暖化により気温が上がると、南極や北極の氷、高い山にある雪が溶け出し、海の水が増えます。次第に土地面積は少なくなり、国によっては全土が沈んでしまう恐れもあります。実際、南太平洋にあるキリバスやツバルなどの小さな島国では浸水が進んでおり、近い将来海に沈むことが危惧されているのです。

さらに、氷が溶けることで、南極や北極で暮らす動物の絶滅も危ぶまれます。ホッキョクグマはすでに住む場所もエサも少ない状況になっており、数が減っているといわれています。もちろん、海面の上昇が進み陸地が減れば、森に生息する動物たちや草花の生活環境が失われ、生態系は大きく変化するでしょう。

私たち人間にとっても、地球温暖化がもたらす影響は深刻なものです。台風や豪雨などの異常気象の増加、それに伴った沿岸洪水や地滑りなどの自然災害の被害も拡大しています。

自然環境が変われば、農作物は育ちにくくなり、食料不足に陥ることも予測されます。今後気温がさらに上昇し、亜熱帯気候のようになれば、ウイルスをもつデング熱などの生物の分布域が広がり、伝染病も広がるでしょう。

地球温暖化や気候変動が及ぼしている日本への影響

地球温暖化による気候変動などの影響が身近なものであることをさらに強く感じられるよう、日本への影響にも目を向けてみましょう。平均気温と平均海面水位がどのように変化しているのか、それに伴いどのような影響が出るのか、詳しく解説します。

平均気温:4.8℃上昇し真夏日や豪雨の日が増える

2003~2012年の世界の平均地上気温は、1850~1900年と比べ、0.78℃上昇しています。このまま温暖化対策を行わなければ、21世紀末時点での平均気温は、20世紀末頃よりも2.6〜4.8℃上昇すると考えられているのが現状です。

また日本においては、最高気温が30℃以上の真夏日になる日数が増えることが予測されています。現時点での東京の真夏日は年間約46日です。温暖化のまま21世紀末になれば、年間約103日が真夏日になるといわれています。1年のうち3ヶ月以上が真夏日になる未来が訪れるのも、そう遠くないかもしれません。

さらに気象庁は、温室効果ガスの排出量が抑えられなければ、短時間強雨の発生が現在の2倍以上に増加する可能性があるとしています。平成27年の関東・東北豪雨、平成28年に北海道・東北地方を襲った一連の台風、平成29年7月の九州北部豪雨など、この数年の間だけで水害が頻発しているのも事実です。

このような気候変動は、農作物にも影響を及ぼします。秋が旬のりんごは、気温が低くならない影響により、色付きが悪く収穫時期が遅れています。今後、平均気温が上昇すれば、他の農作物にも影響が出るでしょう。

参照:気候変動の影響について|国土交通省

参照:地球温暖化の現状|環境省

平均海面水位:82cm上昇し浸水被害が深刻化する

1850年以降、平均海面水位はこれまでに少なくとも20cm上昇しているといわれています。2000年以降は水位上昇の加速スピードがさらに高まっている状況です。

温暖化対策を行わなかった場合、21世紀末の時点で平均海面水位は26〜82cm上昇する可能性が高いと考えられています。特に、沿岸部や中国・インドなどの大きな河が流れている国は影響を受けやすいでしょう。

そして、日本もまた島国であり、海に囲まれた国です。2020年の日本沿岸の海面水位は、過去30年間の平均海面水位に比べ8.7cmも高くなっており、過去最高を記録しました。気象庁では1980年以降、日本の海面水位は上昇傾向にあるとし、高潮の影響を懸念しています。さらに、人々は住む場所を失い、多くの避難民が発生するでしょう。

加えて、陸地が浸水すれば、農業用地や地下水に海水が流れ込み「塩害」が起きます。農作物が育てられなくなったり、飲み水を確保できなくなったりするため、十分な食料を確保することも難しくなるでしょう。

参照:気候変動で起きる海面上昇について知っておきたい7つのこと|国際環境NGOグリーンピース

参照:気候変動の影響について|国土交通省

地球温暖化や気候変動が及ぼしている世界的な影響

続いて、日本から世界へと視野を広げてみましょう。世界的にどのような影響が出ているのか、詳しく解説します。

砂漠化が進み植物が枯れ果てる

サハラ砂漠やアラビア砂漠などは、年間雨量が少なく、もともと植物が育ちにくい地域でした。しかし、このような砂漠とは異なり、近年では地球温暖化や気候変動による影響で、これまで森林や農耕地だった土地が「砂漠化」する現象が起きています。多くの植物は育つ環境を失い、枯れ果てているのが現状です。

UNCCD(砂漠化対処条約事務局)によると、毎年264万ヘクタールの土地が砂漠化していると報告されています。砂漠化がこれ以上進行すれば、動植物は生息地を失い、人々は食料危機や水不足に陥ることでしょう。

貧困が加速したり難民が急増したり、新たな問題も発生することが予測されます。

台風やハリケーンが増え街が大きな被害を受ける

地球温暖化の影響は、強い熱帯低気圧をも増やすものです。気温や海水温が上がることで、台風やハリケーンが強大化し、街に深刻な被害をもたらします。

2004年に南大西洋で史上初のハリケーンが発生し、2005年の北大西洋では、27個のハリケーンが確認されています。IPCC第5次評価報告書によると、最大風速や降水強度は、今後さらに増加する可能性が高いとされているのも特徴です。

しかし、現在の計算機資源では、地球温暖化に伴う強い熱帯低気圧がどの程度増えるのか、どこまで発達するのかを細かく調べることはできません。そのため、必ずしも台風やハリケーンの発生に地球温暖化が関係しているのか断言するのは困難です。

ただし、台風やハリケーンの最大風速・降水強度が増加する可能性がある以上は、普段から防災意識をもつことが大切になるでしょう。

参照:気候変動の影響について|国土交通省

地球温暖化による影響を最小限にとどめるためにできることは?

地球温暖化による影響を最小限にとどめるためには、温室効果ガスを削減することが重要です。温室効果ガスの削減は、1人1人が意識をもって取り組むことで、より効果的なものになります。今回は、個人でもできる以下4つの取り組みを紹介します。

・省エネを意識して生活をする

・ゴミを増やさないようにする

・水を大切に使う

・車を使わず公共交通機関を利用する

身近にできることが多いので、何から始めればよいか分からない人は参考にしてみてください。

省エネを意識して生活をする

私たちは生活のなかで、日々大量のエネルギーを使用しています。資源エネルギー庁によると、2017年の世帯あたりの電気使用量は約4,322kWh/年。その内訳は、電気冷蔵庫が最も高い傾向にあり、次いで照明器具やテレビ、エアコンや電気便座などが続きます。

家電の省エネ化は進んでおり、最新型へ買い換えることで、大きな省エネ効果が期待できます。「まだ使えるから」「もったいないから」と理由で古い家電を使い続けるのではなく、省エネ家電に買い換えたほうが消費電力が抑えられ、同時に電気代の節約にもつながるのです。

また、使わない電気はこまめに消す、エアコンの温度を適切(夏は28℃・冬は20℃)に設定する、使わない電化製品はコンセントからプラグを抜くなど、使い方も改めましょう。

参照:2017年度の家庭のエネルギー事情を知る|環境省

ゴミを増やさないようにする

ビニール袋や紙、生ゴミなど、家庭から出たゴミは自治体によって回収され、清掃センターで燃やされます。たくさんのゴミを燃やせば大量の二酸化炭素が発生するので、いかにゴミを減らせるかが課題です。

具体的にできることとしては、食品トレーは洗ってスーパーの回収ボックスに入れる、まだ使える家電や衣類などはリサイクルショップに持っていく、などが挙げられます。また、マイバッグやマイ箸、マイストローなども積極的に活用するべきです。

加えて、毎日出る生ゴミは、水分をよく切ってから出すことを意識してください。生ゴミの含水率は約80%といわれています。生ゴミを燃やすためには、生ゴミに含まれる水分を蒸発させなければいけないので、多くのエネルギーが必要です。

家庭で生ゴミを出すときは、水分をよく切ることで、化石燃料の使用を減らし、温室効果ガスの削減につなげられます。

身近なところでできることはたくさんあるので、ゴミを増やさない生活を意識しましょう。

水を大切に使う

節水を心がけることも、地球温暖化の防止につながります。蛇口から出る水は、洗浄場できれいにされたものです。家庭に届くまでの間、多くのエネルギーを使用しています。節水を心がけることで使用量が減れば、エネルギーの消費を抑えられるのです。

お風呂のシャワーや歯磨きをするときは水を出しっぱなしにしない、皿を洗う前にキッチンペーパーで汚れを拭き取るなど、毎日の暮らしの中でできることはないか見直してみましょう。

また、世界では水不足が深刻な問題となりつつあります。人口増加や産業発展により、生活に必要な水の量が増えたことで、地域によってはすでに需要に追いつけていません。ほかにも、水不足の原因には、地球温暖化による気候変動や排水による資源の汚染などが挙げられます。使用量が増え続ければ、水不足はますます深刻になるでしょう。

車を使わず公共交通機関を利用する

買い物や病院、銀行などに出かけるときは、バスや電車などの公共交通機関を積極的に利用しましょう。たくさんの人数を乗せられるので、1人1人が車で移動するよりも二酸化炭素の排出量が抑えられます。

また、移動手段を自転車や徒歩にすれば、温室効果ガスを排出せずに済むので、地球にやさしくエコです。適度に体を動かせるので、ストレスや運動不足解消にもつながるでしょう。

とはいえ、地方に住んでいる人の場合は交通の便が悪く、車が欠かせない方もいるはずです。そのような場合は、電気自動車(EV)や燃費のよい小型車に乗り換えたり、エコドライブを意識したりすることで、二酸化炭素の削減につなげられます。

まとめ

地球温暖化

地球温暖化が進めば、平均気温はさらに上昇し、南極や北極の氷が溶けて海面水位が上がります。それに伴い、異常気象や感染症の増加、食物・水の不足、生態系のバランスが崩れます。すでに地球温暖化による影響を感じている人も多いかもしれませんが、この先もずっと安心して暮らすには、地球温暖化の進行を防げるかどうかが重要なポイントです。

地球温暖化対策は1人1人が意識して取り組むことで、効果的なものとなります。身近なところでは、省エネ家電への買い換えやゴミを減らすこと、節水、車の使い方の見直しなどがあります。いずれも意識をもてばできることばかりなので、他人任せにせず、身近なところから温暖化対策をはじめましょう。

 

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