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2023年日本のSDGs達成度ランキングは?重要課題や今後の取り組みも解説

持続可能な社会や世界平和を実現するための国際的な取り組み、SDGs。環境問題に関心のある方は、SDGsの日本の進捗やランキングはどうなっているのか気になりますよね。

本記事では、2023年のSDGs達成度ランキングにおける日本の順位や、今後重点的に取り組むべき課題を解説します。

2023年日本のSDGs達成度ランキングは?

まずは、国連機関である「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が発表した、SDGs達成度ランキングにおける日本の順位を紹介します。2023年に日本が達成できた目標や、SDGs達成度の高い上位国も併せて紹介するので参考にしてください。

日本は初の20位台に転落して21位

2023年における日本のSDGs達成度は79.4%で、21位でした。達成度ランキングが発表されるようになった2016年以来初の20位台への転落となり、過去最低の結果に終わっています。参考として、これまでの8年間の結果を見てみましょう。

2016年:18位

2017年:11位

2018年:15位

2019年:15位

2020年:17位

2021年:18位

2022年:19位

2023年:21位

日本の達成済み目標はわずか2項目のみ。重要かつ深刻な課題が多い

同レポートによると、日本が「達成済み」と評価されている項目は17項目のうち2項目のみです。その他の15項目については、「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」がそれぞれ5項目ずつあり、決してSDGsの取り組みが進んでいるとはいえない評価を受けています。

・達成済み

目標4:質の高い教育をみんなに

目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう

・課題が残る

目標1:貧困をなくそう

目標3:すべての人に健康と福祉を

目標6:安全な水とトイレを世界中に

目標11:住み続けられるまちづくりを

目標16:平和と公正をすべての人に

・重要な課題がある

目標2:飢餓をゼロに

目標7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

目標8:働きがいも経済成長も

目標10:人や国の不平等をなくそう

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

・深刻な課題がある

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

目標12:つくる責任、つかう責任

目標13:気候変動に具体的な対策を

目標14:海の豊かさを守ろう

目標15:陸の豊かさも守ろう

上位は例年通りヨーロッパ諸国が名を連ねる

日本以外の国の順位を見てみると、1位が3年連続でフィンランド、2位がスウェーデン、3位がデンマークと、北欧諸国がトップ3に名を連ねています。4位以降もドイツ、オーストリア、フランスとヨーロッパ諸国が続いており、ヨーロッパにおける環境問題への関心の高さがうかがえます。

一方、日本よりもランキング順位が低かった国には、二酸化炭素排出量が例年多いとされているアメリカ(39位)、中国(63位)、インド(112位)などがありました。

結果から見る日本のSDGsにおける課題とは?深刻な課題を解説

2023年の結果から、日本のSDGにおける進捗が良いとは決していえないことがわかります。その中でも「深刻な課題がある」と評価された5つの項目について、詳しく見ていきましょう。

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

世界経済フォーラムが発表している、男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」では、2023年の日本の総合スコアは世界146 カ国中125位です。2022年が116位であったことを踏まえると、ジェンダー平等に関しては前年度よりも悪化したと捉えられるでしょう。

とくに政治分野は138位、経済分野は123位と世界でも最低レベルの評価を受けており、管理職や国会議員に女性が極端に少ないことが理由のひとつとなっているようです。また、理系学部への進学者に女性が少ないことも、男性の方が理系に向いているという固定概念から来るものといわれています。

ジェンダーギャップ指数の総合スコアで1位になったアイスランドでは、子どもが生まれてから3ヶ月は男女関係なく育児休暇を取得する権利があり、取得率はおよそ9割にのぼります。

また、2008年からは全教育課程において男女で異なる教育を行わないことや、性差別の記述がある教材の使用を禁止するなど、子どもの頃から男女平等の価値観を学んでいることも特徴です。

目標12:つくる責任つかう責任

「つくる責任つかう責任」とは、生産者はもちろん、消費者側も地球環境や人々の健康を守れるよう、責任ある行動をしようという目標です。日本では、年間約4,000トンものごみが排出されており、地球や人々の生活にとって良い環境をつくり出せているとはいえません。

とくにプラスチックごみの廃棄量は世界2位と多く、2021年には年間で824万トンものプラスチックごみが発生しています。プラスチックの問題点は、海に流れ込むことによる海洋汚染や生態系への悪影響、原料が石油であることによる地球温暖化の促進などです。また、ごみになったプラスチックを燃やす過程でも温室効果ガスが発生します。

さらに、プラスチックごみをリサイクルする前処理を国内で行うと人件費がかさむため、昨今では海外にごみを輸出するケースも増えています。プラスチックだけでなく、家電や電子機器などの電子ごみ、飲食店や家庭から出る食品ロスなども問題です。食品ロスに関しては、2021年に523万トンもの食品が捨てられている事実があります。

目標13:気候変動に具体的な対策を

日本では、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年比で46%削減する目標を定めていますが、2023年現在も化石燃料に依存する状況が続いています。化石燃料に依存する日本の現状が、エネルギー自給率向上への取り組みが遅れていると評価され、「深刻な課題がある」と断定された結果につながっています。

実際に、日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多く、国民1人あたりの排出量も高い状態です。人々の便利な生活と引き換えに、環境や自然界の生物に大きな負担をかけていることを忘れてはいけません。

目標14:海の豊かさを守ろう

島国である日本は海との関わりが深く、さまざまな海洋問題が発生しています。例えば、空気中の二酸化炭素濃度が高くなることによって、アルカリ性だった海水が酸性に傾きつつある「海洋酸性化」という現象が起こっています。

海はもともと大気中の二酸化炭素を吸収する働きがありますが、海洋酸性化が進めば二酸化炭素を吸収する能力が低下し、気候変動に拍車をかけることにつながります。また、生態系のバランスが崩れて海の生物が生きられなくなると、私たちの生活に多くの問題を引き起こすでしょう。

プラスチックごみによる海洋汚染や、地球温暖化による海水温度の上昇なども課題の1つです。また、水産物の消費量が増加する中、乱獲による水産資源の枯渇も起こっています。持続可能な範囲で漁獲を続けるために、水産資源はより厳重に管理する必要があります。

目標15:陸の豊かさも守ろう

日本では国土の66%を森林が占めており、そのうちの約40%は杉やひのきが植えられた人工林です。建材として木材の需要が高かった昭和20年代に大量の木が植えられたものの、昨今では安い輸入木材の需要が高まり、人工林を管理する必要がなくなってしまいました。

苗を植えたままの状態から間伐が行われない人工林は、木が密集して1本1本の木が根を張りにくく、土砂災害の発生や土壌保全の機能損失につながっています。日本の国土を守るためには、林業を再び活性化させることに解決策がありそうです。

最新版SDGsアクションプラン2023から見る今後の取り組み

日本政府は2015年より、SDGs達成に向けての具体的な施策「SDGsアクションプラン」を作成しています。SDGsアクションプランの概要や2023年に行う重点的な取り組み、2022年版との違いなどを、それぞれ見ていきましょう。

8つの優先課題

日本では、SDGs達成に向けた中長期的な取り組みとして、国内で特に注力すべきものを以下の「8つの優先課題」として掲げています。

①あらゆる人が活躍できるジェンダー平等社会の実現

女性の権利尊重や能力発揮のための基盤整理、政治・経済分野でのリーダーシップ向上など

を重視する戦略です。

②健康と長寿の達成

将来への健康危機に対する要望や備えの強化を目的としたグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築や、新型コロナウィルスの感染対策・早期沈静化を推進します。

③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション

SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている29都市を、SDGs未来都市に選出し、成功事例の普及を通して社会問題の解決を目指すものです。

④持続可能な国土とインフラ整備

気候変動や近年で予想される地震や台風など災害への対策を推進し、災害に強い国づくりを推進します。

⑤再エネや省エネの推進による循環型社会の実現

次世代型太陽電池の開発、地方や民間事業者へ再生可能エネルギー導入費用の一部補助などを進め、2050年のカーボンニュートラル実現を目指します。

⑥森林・海洋・生物多様性などの環境保全

海洋プラスチックごみの削減や国立公園の保護などの活動を通じて、国土の環境保全や生き物の多様性を守る取り組みです。

⑦平和で安全な社会の実現

エネルギー価格の高騰や人道支援が必要な世界情勢を踏まえ、平和構築や復興支援を今後も継続していくための取り組みです。

⑧SDGs推進体制や手段

SDGsの認知度を高めるためにメディアや地方自治体と連携し、最終的に1人1人が行動を起こすことを目指します。

優先課題に対応した5つのP

SDGsの8つの優先課題は、SDGsが目指す世界を達成するための目標である「5つのP」にそれぞれ対応しています。

・People:人間

①あらゆる人が活躍できるジェンダー平等社会の実現

②健康と長寿の達成

・Prosperity:繁栄

③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション

④持続可能な国土とインフラ整備

・Planet:地球

⑤再エネや省エネの推進による循環型社会の実現

⑥森林・海洋・生物多様性などの環境保全

・Peace:平和

⑦平和で安全な社会の実現

・Partnership:パートナーシップ

⑧SDGs推進体制や手段

2022年版と比較すると内容がより具体化されている

2023年のSDGsアクションプランは、8つの項目すべてで2022年よりも具体的な内容が追加されています。例えば、優先課題①ではビジネスと人権に関する行動計画、優先課題②ではグローバルヘルス・アーキテクチャの構築や新たなヘルスイノベーションの促進などが追加されました。

2022年からの大きな変更点として、日本単独で行う計画はもちろん、世界における日本の役割についても盛り込まれていることが挙げられます。SDGsアクションプラン2023では、SDGs達成のために世界各国や国連と連携し、協力していく姿勢が必要であると改めて強調しているといえるでしょう。

SDGs達成度を上げるには国をあげて課題に取り組むべき

2023年は日本のSDGsの進捗が悪く、世界的に見ても21位と、決して良い結果とはいえませんでした。深刻な課題も5つあり、SDGsを達成するには中長期的な戦略が不可欠といえるでしょう。

環境や人々の生活を守るために、今後日本ではSDGsが目指す世界に対して一層国をあげて取り組んでいくことが望まれます。

 

 

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