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再生可能エネルギーの種類を一覧で紹介!特徴やメリット・デメリットも

火力発電や原子力発電に疑問の声が上がる中、環境や人への配慮のために再生可能エネルギーへの注目が高まっています。ここでは、再生可能エネルギーは一体どんなものなのか、そしてどんな種類があるのかを、一覧で解説します。それぞれの特徴やメリット・デメリットも挙げているので、環境問題に関心がある人はぜひ参考にしてください。

そもそも再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギー 再生可能エネルギーとは、火力発電や原子力発電のように燃料を使わず、自然を活用したエネルギーのことです。代表的なものとして、太陽光発電や風力発電などが挙げられます。 石油や石炭などの化石燃料を燃やして発電する火力発電は、二酸化炭素を大量に排出したり、近い将来燃料が枯渇する可能性が高かったりする問題から、使い続けることが難しいとされています。 また、核分裂によって発電する原子力発電は、大事故が起こった際に人や環境に甚大な影響を及ぼすのが問題です。一方で、自然の力を利用した再生可能エネルギーは、二酸化炭素などの有害物質を排出せず、資源がなくても発電できるなどのメリットがあります。 世界では、地球温暖化をはじめとしたさまざまな問題が発生しているのが現状です。今後、脱炭素社会の実現を進めていくうえで、再生可能エネルギーへの切り替えはさらに必要性を増していくと考えられます。

再生可能エネルギーを活用するメリット

再生可能エネルギーを活用するメリットを大きく2つ紹介します。

地球温暖化の原因である温室効果ガスを排出しない

自然の力で発電する再生可能エネルギーは、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させないことが一番のメリットです。2015年に開かれたCOP21で合意されたパリ協定では、各国が温室効果ガス削減に向けた具体的な目標を決定しました。その中で、再生可能エネルギーの導入を積極的に進める国もあり、欧州を中心に再生可能エネルギーによる発電が中心となりつつあります。 日本における二酸化炭素排出の原因の約4割は、化石燃料を使用した発電によるものだとされています。再生可能エネルギーの開発が進めば、火力発電の割合を減少させることができ、結果として二酸化炭素の排出も少なくなると期待できるでしょう。

参照:Kidsエネルギア|中国電力

国内で生産ができるためエネルギー自給率が向上する

火力発電で使用する化石燃料や、原子力発電で使用するウランのほとんどは、外国からの輸入に頼っています。国際情勢によって輸入が難しくなったり、いちじるしく価格が上昇したりと原料の確保が不安定なことが問題です。 資源エネルギー庁の資料によると、日本のエネルギー自給率は2019年度時点で12.1%、化石燃料依存率は84.8%とされており、いかにエネルギー自給率が低いかを示しています。再生可能エネルギーは水や風、太陽光などの資源を活用するため、国内で生産が可能です。エネルギー自給率を上げるには、いかに再生可能エネルギーの比率を上げるかが今後の鍵となってくるでしょう。

参照:日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|資源エネルギー庁

再生可能エネルギーのデメリットや課題

メリットも多い再生可能エネルギーですが、日本であまり普及していないのには理由があります。以下では、再生可能エネルギーのデメリットを3つ紹介します。

天候に左右される

太陽光発電や風力発電は、天候によって発電量が左右されてしまうことがデメリットです。地球温暖化による気候変動が大きくなりつつある昨今では、気候の予測が難しくなってきており、発電量が予測しにくいという問題も新たに発生しています。 悪天候が続き電気が発電できなくなると、需要と供給のバランスが崩れ、停電につながるリスクもあるのが特徴です。安定的な供給という意味で、再生可能エネルギーに特化するにはまだ不安が残ります。

発電コストが高い

再生可能エネルギーは、他の発電方法と比べ発電コストが高いこともネックです。例えば、日本の再生可能エネルギーの代表ともいえる太陽光発電は、欧州と比較すると2倍近くの価格差があります。太陽光発電の場合は、設備の設置に消費者の負担が大きいことも、導入が進みにくい要因となっているでしょう。 欧州では2022年現在、火力発電よりも再生可能エネルギーによる発電のほうが多いとされています。政府主導で環境アセスメントを行うなど、事業者の開発リスクを軽減することで、低コスト化につなげているようです。 資源エネルギー庁の資料によると、日本の太陽光発電の発電コストは2019年時点で13.1円/kWhです。しかし、世界では1kWhあたり3円という国もあり(アラブ首長国連邦・2016年)、日本は世界的に見るとコストが高い国といえるでしょう。 とはいえ、2012年にFIT法が施行されたことで、日本全体の再生可能エネルギーの導入は加速しています。今後再生可能エネルギーの導入が進んでいく中で、低コスト化を実現できる可能性は大いにあると考えられています。

参照:再エネのコストを考える|資源エネルギー庁

参照:国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案|資源エネルギー庁

エネルギーの変換効率が低い

エネルギー変換効率とは、つくったエネルギーをどれだけ電力に変換できるかを示す割合のことです。数値が高いほど、無駄なく効率的に発電できていることになります。再生可能エネルギーの変換効率は、水力発電が約80%あることを除き、それ以外は10〜30%とかなり低いことが特徴です。 ちなみに、火力発電は約55%であり、太陽光発電や風力発電に比べると高いという特徴があります。エネルギー変換効率を考えると、再生可能エネルギーには課題が多く残っていると考えられるでしょう。

再生可能エネルギーの種類を特徴とともに一覧で紹介

再生可能エネルギー一覧

再生可能エネルギーには、どのくらい種類があるのでしょうか。特徴とともに一覧で紹介します。

太陽光発電

日本で最も馴染みのある再生可能エネルギーともいえる、太陽光発電。企業だけでなく一般住宅にも広く普及しており、2012年のFIT法によって更なる普及が進んでいます。太陽光発電だけで見ると、日本は2017年時点で中国やアメリカと並び導入実績が多いことも特徴です。 太陽光発電は、太陽の光を太陽光パネルと呼ばれる半導体素子に当て、電気に変換するシステムです。太陽光はどこにいても得られるため、設置場所に制限がなく、導入しやすいことが特徴といえます。また、パネルを設置するだけのため広い場所を必要とせず、災害時の非常用電源としても大きな役目を果たすことができます。 太陽光発電のエネルギー変換効率は住宅用・産業用で異なりますが、14%〜20%程度が平均的です。気候条件によって発電量が左右されやすいため、地域によっても若干発電量に違いがあります。

参照:国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案|資源エネルギー庁

風力発電

風車を設置し、風をブレード(羽)にぶつけることで電気エネルギーを生み出すのが風力発電です。日本では山間部などの陸上風力発電がメジャーですが、設置箇所に制限があるため、2022年現在では洋上風力発電の開発も積極的に進められています。 2019年に「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が施行されたことで、洋上風力発電設備が導入しやすくなりました。 風力発電は、再生可能エネルギーの中ではエネルギー変換効率が30%〜40%と高いことも特徴です。今後規模が大きくなれば、発電コストの低下も期待でき、経済面でもメリットを享受できるとされています。また、太陽光発電と異なり、夜間に発電できることもメリットの一つです。

水力発電

降水量が多く水資源に恵まれた日本では、水力発電による発電も盛んに行われています。水力発電はエネルギー変換効率が約80%と、再生可能エネルギーの中でもっとも高いことが特徴です。太陽光発電や風力発電と異なり、自然条件に左右されないため、安定的に電力を供給できることもポイントです。 水力発電は大きなダムだけでなく、河川の流水を利用したり、上下水道や農業用水を利用したりするものもあります。こういった規模の小さな中小水力発電は広い土地がなくても建設できるため、今後日本各地に更なる建設が進んでいく見込みです。

バイオマス発電

家畜の排泄物や稲わら、生ゴミなど、動植物から生まれた資源を燃焼したり、ガス化したりして発電するのが、バイオマス発電です。本来であれば廃棄物として扱われるものを燃料として扱うバイオマス発電は、循環型社会に広く貢献することが特徴です。 また、バイオマス発電は燃料を必要としますが、燃料となるものは二酸化炭素を吸収する植物などであることから、京都議定書では「カーボンニュートラル(二酸化炭素を排出しない)」な発電方法として位置付けられています。

地熱発電

地下のマグマの熱エネルギーを利用して発電するのが、地熱発電です。井戸などを掘り高温の蒸気を地下から取り出し、その蒸気でタービンを回す仕組みです。火山帯である日本では、昔から地熱エネルギーは少なからず活用されてきました。発電効率は10%〜20%と高くありませんが、地球内部のマグマを利用するため、エネルギー源が枯渇する心配はなく、季節や時間帯を問わず安定した発電量を確保できることがメリットです。 地熱発電は発電設備をつくるのに膨大なコストと調査が必要になることから、なかなか普及が進んでいないのが現状です。また、地熱発電に適した場所が温泉や国立公園と重なってしまうことも、導入が進まない理由の一つとされています。

太陽熱利用

太陽の光エネルギーを熱に変換し蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回すことで発電する方法です。燃料が必要なく、太陽光発電のような高額な設備が必要ないため、導入コストが安いことが特徴です。日本では、給油利用の多い介護施設や温水プールなどで一部導入されています。

雪氷熱利用

氷や冬に降った雪を保管しておき、冷熱が必要になった際に利用する発電方法です。寒冷地では除雪や融雪などに毎年膨大な費用がかかるため、あえてこれを利用することで、冷房費節約などのメリットにつなげています。 日本では、マンションや日本酒の貯蔵施設などの冷房に一部利用されています。雪や氷を利用するため地域は限定されますが、雪という自然のエネルギー源を活用するエコな発電方法です。

温度差熱利用

年間を通じて温度変化の少ない、海水、河川水、地下水、下水などの水源エネルギーを活用した発電方法です。水と外気の温度差を利用し、ヒートポンプの原理などを用いて、冷暖房や給油などに使われます。 ヒートポンプとは、冷媒を圧縮して高温にしたり、膨張させて低温にしたりして、その熱を移動させることで、冷やしたり温めたりできる仕組みです。給湯器の「エコキュート」や各種エアコンなど、身近な家電製品にもこの温度差熱が利用されています。

地中熱利用

地下10m〜15mの深さの地中は、年間を通して一定の温度という特徴があります。夏は外気よりも冷たく、冬は外気よりも温かいことから、この温度差を活用しています。 天候に左右されたり、利用できる時間帯に制限がなかったりすることから、安定的な利用が可能です。ただし、導入コストが高く初期費用を回収するまでに長い年月がかかるため、地中熱を利用している企業は限定的です。

核エネルギー(原子力)とは?メリットやデメリットを紹介

核エネルギー(原子力)とは、原料であるウランを核分裂させることで熱エネルギーを生み出し、水を沸騰させ、発生した蒸気の力でタービンを回して発電させる方法のこと。蒸気を発生させてタービンを回す仕組みは、火力発電と同じです。 火力発電は化石燃料を燃やして水を沸かしますが、原子力発電はウランという鉱石を使用します。二酸化炭素を排出せず、少ない燃料で多くの電気をつくれることからクリーンエネルギーとして注目されていましたが、2011年の東日本大震災で問題点も浮き彫りになりました。 2014年に国内の原子力発電所の稼働率は0%になりましたが、その後さまざまな理由により、少しづつ原子力発電所の再稼働が行われています。

核エネルギー(原子力)のメリット

核エネルギーは、発電コストが安いことと、二酸化炭素を排出しないことの2点が大きなメリットです。発電コストが安い理由として、ウランは石油などの化石燃料を輸入している地域よりも情勢が安定した国から輸入するため、燃料費にかける割合が少ないことが挙げられます。 また、使い終わった燃料を再利用することができる点も、コストがかからない理由の一つです。発電コストはそのまま電気料金に反映されるため、結果的に電気代が安くなり、各家庭への負担も少なく済むことがメリットです。 また、原子力発電はウランの核分裂のエネルギーを利用するため、二酸化炭素を発生させないことも特徴です。地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素を発生させないことは、環境問題への貢献度が高いという見方もできます。

核エネルギー(原子力)のデメリット

核エネルギーはメリットも存在する一方で、多くのデメリットも存在します。第一に、原子力発電は二酸化炭素こそ排出しないものの、ウランを核分裂させることで高レベルな放射性物質を生成してしまうことです。 安全に運転していれば放射性物質の外への放出はわずかですが、津波や地震、噴火などで大規模な事故が起こった場合、大量の放射性物質が外へ漏れてしまいます。一度大きな事故が起これば近づくことも危険なため、収束までに膨大な時間がかかってしまうことも大きな問題です。 放射性物質は、生物のDNAを傷つけることや、自然環境に悪影響を及ぼすことが知られています。また、燃料を作る工程や輸送時に二酸化炭素を排出することから、クリーンエネルギーといえるのかにも疑問が残ります。 さらに、使用済み燃料が高レベル放射性廃棄物として残り続けることも問題です。2022年現在、最終処分場はまだ決定されていません。一時的に各原子力発電所の貯蔵プールに保管されていますが、その保管場所も数年で満杯になってしまうといわれています。

IGSでは太陽光エネルギーの普及に向けて余剰電力の再利用に取り組み中!

再生可能エネルギー一覧と、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介しました。日本では再生可能エネルギーの導入コストがまだまだ高く、欧州などと比べて普及が進んでいないのが現状です。火力発電や原子力発電の問題点を考えると、今度も再生可能エネルギーの積極的な開発・導入は不可欠といえるでしょう。 アイグリッドソリューションズでは、オンサイトPPA モデルにより、使いきれない太陽光余剰電力を他電力利用者に供給するサービスを行っています。導入施設では再生可能エネルギー100%で運営できる時間帯も発生しており、余剰電力を無駄なく活用することに貢献しています。FIT(固定価格買取制度)に頼らない再生可能エネルギーを普及することで、災害に強い地域づくりのサポートを行っています。

 

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