屋上に太陽光発電を設置するメリット・デメリットは?PPAモデルも解説
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、国内の企業はさまざまな対策に追われています。再生可能エネルギーへの転換は、その最たるものといえるでしょう。
しかし、太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーの普及に努めたいと考えている企業の中には、どのように始めたら良いのか、費用はどのくらいかかるのかなどの疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、太陽光発電設備を自社施設の屋上に設置する場合のメリット・デメリットや、運用コストについて解説します。ぜひ脱炭素への取り組みに役立ててください。
屋上に太陽光パネルを設置するメリットは?
自社施設の屋上に太陽光を設置するメリットは多岐にわたります。代表的な5つのメリットをみていきましょう。
1. 電気代が削減できる
太陽光発電を設置することで、電気代の削減につながります。太陽光発電は、日中は太陽光発電設備で作られた電気を使い、夜は電力会社から購入した電気を使うことが一般的な仕組みです。日中に使用する電気が発電量を下回っていれば、日中の電気は太陽光発電でまかなえて電気代が抑えられます。
また、余った電気は売ることもできるため、電気代の削減に加えて利益を得られる可能性もあります。夜に電力を買うことになるとしても、太陽光発電を設置すれば、購入する電力の総量を大きく減らせることに違いはありません。
あるいは、大型蓄電池を導入すれば、そこに電気を充電し、必要に応じて放電することもできます。とくに企業は電気の使用量も多いため、太陽光を設置すればするほど経費を大きく減らせるでしょう。
2. 遮熱効果により屋内の温度環境が良くなる
太陽光パネルを屋上に設置すると、パネルと屋上の間に空気の層ができ、遮熱効果が期待できます。太陽光パネルは面積が大きいため、夏は強い日差しをシャットダウンして気温の上昇を防ぎ、冬は室内の温度低下を防ぐことが可能です。とくに、空調設備のない工場や倉庫、大型の物流施設での温度管理対策に効果的です。
また、空調設備がある建物であっても、冷房や暖房の使用頻度を抑えたり温度設定を控えめにしたりできるため、電気料金の削減が期待できます。空調の利用頻度を下げることは、環境への配慮にもつながります。
3. 無駄なく環境施設の割合を増やせる
太陽光発電を設置すると、「環境施設」として認定してもらうことができます。工場立地法では、一定規模以上の工場において緑地や環境施設の面積を確保しなくてはならないと決められています。原則、緑地を20%以上、緑地を含む環境施設を25%以上確保することが義務付けられており、違反すると罰則が課されることもあるため注意が必要です。
太陽光発電はそのうちの環境施設に該当します。屋上に太陽光発電を設置する場合、広い敷地がなくてもパネルを置けるためスペースを有効活用できることがメリットです。
4. 非常用の電源としても活用できる
蓄電池と合わせて太陽光発電を屋根上に設置しておけば、非常時に電源として活用できることもメリットです。例えば、地震や台風などで停電が発生した際も、パソコンやスマホを充電できれば連絡を取ることが可能です。また、真夏や真冬に停電した際も非常用電源があれば、空調設備を利用するなどして命に関わる事態を防げる確率も高まります。
太陽光発電だと、災害時に日中は電気が使用できなかったり、使えない設備があったりもしますが、まったく電気が使えない状態より良いことは確かです。大規模災害になると1週間以上停電が続くこともあるため、最低限の活動ができるようにしておくためにも、太陽光発電を自社に設置しておくことは望ましい選択といえるでしょう。
5. 企業価値が向上する
太陽光発電を屋上に設置しておくことは、企業全体の価値向上にもつながります。世界的な目標である2050年のカーボンニュートラル実現に向け、国では企業が積極的に脱炭素への取り組みを行うよう求めています。脱炭素や環境対策に取り組む企業は、一般消費者や取引先企業、投資家などから高い評価を得ることができるでしょう。
また、省エネ法や温暖化法などによる規制も年々厳しくなってきており、再生可能エネルギーを活用していない企業に規制が設けられるリスクも発生しています。屋上に太陽光パネルを設置して公式HPなどで公表することにより、企業イメージ向上や次の事業へのステップにつなげることが可能です。
屋上に太陽光発電を設置するデメリットや注意点も要確認
太陽光発電を設置することには、デメリットや懸念点も存在します。代表的なものを5つ紹介します。
1. 設置する設備の容量に合わせて屋上に一定の面積が必要
太陽光発電を施設の屋上に設置するには、大量のパネルを設置するための面積が必要です。面積が小さければ必要な電力をまかなうことができず、設置するメリットも小さくなる懸念があります。以下に、太陽光発電の容量ごとに必要な面積の目安を紹介します。
・10kW:150㎡
・30kW:450㎡
・50kW:750㎡
・100kW:1500㎡
水平な場所に太陽光パネルを設置する場合、傾斜のついた屋根に設置するパターンと比較して1.5倍程度の広さが必要となります。太陽光パネルは傾斜をつけたほうが発電効率が良いため傾斜をつけて設置しますが、その際に影ができないようパネル1枚ごとに間隔をあける必要があるからです。
2. 立地条件によっては発電効率が悪くなる可能性がある
太陽光発電を設置する場所によっては、天候や周辺環境などの理由で発電効率が低下してしまう場合もあります。発電量は日照時間の多さや日光の強さに比例するため、日がよく当たる場所に設置することが重要です。また、パネルを多く置けばその分発電量も増えるため、できるだけ広い土地を確保することも大切なポイントといえるでしょう。
太陽光発電は安い設備ではないことから、発電効率が悪ければ費用の損失につながります。事前に発電率をシミュレーションをしておき、設置してから慌てないように準備しておくのもひとつの方法です。シミュレーションソフトを使えば、天候などのデータを自分で集める手間なしに発電量を確認できます。
3. 専用の架台を購入しなければならない場合がある
太陽光発電を屋上に設置する際には、専用の架台(土台)を購入しなければならないケースもあります。
屋上の場合、アンカーを打ち込んで架台を固定するアンカー工法と、アンカーを使わずに接着材で直接太陽光パネルを固定する接着工法の2つが一般的です。しかし、現場の状態によっては一般的な方法で取り付けられないこともあります。
別の工法を選択することになると、専用の架台を設計してもらうなど通常よりも費用が高くなることがあるため注意が必要です。その他、旧耐震基準施設では設置できない可能性もあるため、設置に問題がないかを事前に太陽光発電業者に確認しておきましょう。
4. マンションオーナーの場合は入居者の承諾が必要
マンションの屋上に太陽光パネルを設置する場合は、事前に入居者全員の許可が必要です。太陽光発電の設置工事には騒音や大型車両の出入りがつきものであるため、入居者が反対することも少なくありません。太陽光パネルを設置するメリットを具体的に提示したうえで、入居者に納得してもらう努力が必要です。
例えば、「太陽光発電を設置すれば電気代が◯%安くなる」「管理費が◯%安くなる」など、入居者のメリットになる提案をすれば意見を聞き入れてもらえるかもしれません。難しい場合は、大規模改修を行うタイミングに合わせて太陽光発電の設置を提案するのがおすすめです。
まだ入居者がいないマンションであれば太陽光発電の設置許可がいらないため、設置を迷っている場合は入居者が入る前に決断しましょう。
5. 屋上の防水工事が必要な場合がある
太陽光パネルを設置する際、漏水リスクがあると判断されると防水工事が別途必要となり、追加で費用がかかります。とくにアンカー工法で設置する場合は、アンカーを打ち込む際に少なからず穴が開くため、そこから水が侵入するリスクが発生します。他にも、もともと防水リスクが高い建物であることも考えられるでしょう。
漏水リスクがあるにも関わらず防水工事を怠ると、雨水が入り込んで建物が腐食したり、カビが発生したりすることにつながります。防水工事は専門家に判断を任せ、必要であれば工事をお願いするようにしましょう。防水工事の価格は工法にも寄りますが、100㎡あたり100万円程度が目安です。
オンサイトPPAモデルなら太陽光発電システム設備を初期費用ゼロで導入可能
太陽光発電を導入するには、設備費用や工事代金などさまざまな費用がかかります。高額な費用がかかることを懸念して太陽光発電の設置を迷っているのであれば、初期費用のかからない「オンサイトPPAモデル」を選択するのも1つの方法です。
PPAモデルとは、PPA事業者が企業や個人の土地・屋上などに無償で太陽光パネルを設置し、維持管理・運用・保守・廃棄まで一貫して行うモデルを指します。太陽光発電の所有者はPPA事業者となり、企業や個人は使った電気の料金をPPA事業者に支払う仕組みです。
さらに、PPAモデルでは再エネ賦課金の支払いが不要なため、その分電気代が安くなることがメリットです。また、契約期間終了後は太陽光発電設備が譲渡されるため、実質無料で太陽光発電設備を所有できることになります。
アイ・グリッドならオンサイトPPAモデル国内No.1の実績でサポート
アイ・グリッド・ソリューションズでは、初期費用無料で太陽光発電設備の提供から設置、管理、保守サービスなどを一貫して提供するオンサイトPPAモデルを実施しています。2022年には累計契約数が1,215施設に到達し、国内シェアNo.1を実現しました。
また、アイ・グリッド・ソリューションズの「R.E.A.L. New Energy PlatformⓇ」なら、余剰電力をネットワークによって分散させ、他の施設や蓄電池に回すことが可能です。自社だけでなく地域全体で余った電力を活用できるため、より多くの電力を無駄なく発電できるメリットもあります。
世界的に脱炭素への動きが強まる中、企業には再生可能エネルギーへの取り組みを積極的に進めていくことが求められています。太陽光発電の導入を検討している企業の方は、まずは安心のサポートを受けられる、アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトPPAモデルを検討してみてはいかがでしょうか。
▷関連記事
・【比較】「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の違いは?それぞれのメリットを紹介
・【5分でわかる】自家消費型太陽光発電とは?メリットやデメリットについて紹介
・中小企業の脱炭素化に向けた取り組みについてわかりやすく解説
▷グリラボSNSのフォローお願いします!!
Twitter @gurilabo
▷アイグリッドグループ