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産・官・学・金融連携による先行事例を紹介「地域DX・GX 新インフラ創造プロジェクト」

地域GXの成功事例創出と水平展開による産業化を目指す新プロジェクトがスタート

2023年2月3日、羽田イノベーションシティで産・官・学・金融連携により、新たな地域産業を生み出すことを目指すイベント「地域DX・GX 新インフラ創造プロジェクト」の1回目が開催されました。

本イベントでは、大田区とみらいリレーションズが共催し、大田区長 松原忠義氏をはじめ地域脱炭素の実現に取り組む官・民・金融の有力者が参加し、先行事例を紹介されました。

当日はハイブリッドでの開催となり、企業・金融機関・全国の自治体等から約100名が参加しました。本記事はそのイベントの模様をお届けします。

全国自治体のDX推進担当者、環境事業担当者はもちろん、金融機関、地域企業にとって、今後脱炭素ドミノを起こしていくための参考となりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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「地域DX・GX 新インフラ創造プロジェクト」とは?

「地域DX・GX 新インフラ創造プロジェクト」はカーボンニュートラル時代の新たな地域インフラ作りに向けて、先行した取り組みを行っている地域、企業、金融機関、大学等の事例を紹介することで、全国の自治体への水平展開や、独自の取り組みにチャレンジするきっかけづくりを行うことを目指しています。

プロジェクトが発足した背景には、各企業や各地域が現状の取り組みだけではカーボンニュートラルの達成が困難な一方で、課題を解決するための新たなチャレンジを誘発して脱炭素化を促進するために必要な資金が、ESG投資として大幅に流れ込んでいるという社会潮流があります。

新たな資金調達の動きを踏まえることで、団体の枠を超えたヒト・モノ・カネが集い、レバレッジを効かせることができます。従来は限られた予算内での実験的な事業開発でしたが、今後は持続可能な事業開発、水平展開による事業拡大の見通しを立てることが可能なると考えられます。

また、カーボンニュートラルの達成に向けて革新的な取り組みが開始される一方で、脱炭素化に向けた具体的な取り組みが期待される地域にはそれらの情報が伝わる機会がとても限定されています。

そこで、産官学金融がお互いの経営資源をレバレッジさせている先行事例を地域に広く紹介し、全国レベルでの連鎖反応を起こしていこう、という取り組みとなっています。

主催者挨拶として大田区長 松原忠義氏は、本プロジェクトの1回目の開催に寄せて、
「昨年12月に政府から2050年カーボンニュートラルの目標達成に向けて今後10年間で150兆円の資金が必要との試算結果が発表され、行政、企業、金融の相互連携が不可欠。大田区中小企業の新事業・新技術の取り組みを応援し、また先進事例をHANEDAから発信していくことで、全国各地域が有機的につながり産業形成を推進していくきっかけを作りたい」
と期待を寄せました。

大田区長 松原忠義氏による主催者挨拶の様子

発表内容と会場の様子をご紹介

イベントは2部制で構成されました。第1部は官民ファンドJICN((株)脱炭素化支援機構)、脱炭素化先行地域の北九州市、地銀連携事例として(株)アイ・グリッド・ソリューションズ・(株)栃木銀行より発表を、そして、第2部では脱炭素化促進のための技術する大田区に本社のある中小企業等の活動の紹介が行われました。

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<第1部>

■(株)脱炭素化支援機構 代表取締役 田吉禎彦「経済と環境の好循環の創出が鍵」

田吉氏からは、昨年設立された204億円の官民ファンドについて紹介されました。この官民ファンドでは、温室効果ガスの削減効果が高く、「経済と環境の好循環の実現を目指すあらゆる事業が出資の対象」となり、地域におけるCO2排出量は工場での対策や自動車等のEV化だけでなく、家庭や事務所等の脱炭素化も必要であり、あらゆる企業にビジネスチャンスがあるとのことでした。加えて、地域における課題解決には、自治体・金融機関・中核企業等の主体的な参画が必要との提言がなされました。

■北九州市 環境局 グリーン成長推進部 グリーン成長推進課長 工藤里恵
「民間企業との共創とグリーンbyデジタルが地域脱炭素化のキーワード」

工藤氏からは、北九州市の再生可能エネルギーの導入と併せた新産業創造のための産業集積化の数々の取り組みについての発表がなされました。PPA(第三者所有方式)による、太陽光発電や空調の展開、EVシェアリング、リユースリサイクル、新たなエネルギーマネジメントシステムの構築等の取り組みの全てを公民連携により推進しているのとのことです。加えて「KitaQ Zero Carbonプロジェクト」という市民一人ひとりの脱炭素アクションを促進する取り組みも実施しており、他地域の参考になる事例になったのではないでしょうか。

■(株)アイ・グリッド・ソリューションズ 執行役員 岩崎哲「攻めと守りのGX推進が必要」

岩崎氏からは、アイ・グリッド・ソリューションズグループで展開する屋根上型太陽光発電PPA事業や、その余剰電力を地域内で融通させる事業スキームについての紹介がなされました。近年の電力コスト上昇等のリスクへの対処という「守りのGX」と、カーボンニュートラル時代に持続可能なサプライチェーンを築く「攻めのGX」を地域企業・金融機関・自治体が連携して進めていくことが重要であり、そのための新たな自治体・地銀と連携したエネルギーの地産地消を実現する「GX City」という新たなビジネスモデルについての発表がなされました。

■(株)栃木銀行 経営戦略室 大塚潤「エネルギーの地産地消による地域発展へ」

大塚氏からは、栃木銀行においてSDGsの取り組みを進めて行く中で、社会課題解決を目指す企業を支える地銀の新たな役割について、事例を交えた紹介がなされました。加えて、現在のエネルギー購入資金は地域からの資金の流出をまねいており、アイ・グリッド・ソリューションズ社と連携し、太陽光PPA発電事業を今後推進していくことで、エネルギーの地産地消を実現し、地域産業の発展を目指すとの発表がなされました。

 

<第2部>

■大田区 産業経済部長 山田良司 「地域脱炭素で大田区の町工場の再活性化に期待」

第2部では、大田区企業であるひかり屋根(株)重永社長、(株)シグマエナジー川口社長、(株)VIVIT伊藤社長、及び(株)EnergyColoring高橋社長、(株)バックキャストテクノロジー総合研究所松崎氏と、モデレータとして大田区産業経済部山田部長、(株)みらいリレーションズ齋藤社長が登壇されました。

会計データだけで企業の排出量を可視化する画期的なツール「環進帳」(バックキャストテクノロジー総合研究所)、廃棄されるスマホを活用し電流値を1秒間に4万回以上取得したデータをAIで使用用途を解析するEnergyColoring、光拡散天窓で太陽の光を屋内に効果的に取り込み照明使用量を削減するだけでなく植物の成長まで促してしまうひかり屋根、建物火災があった際に消防員の屋根上太陽光パネルによる感電を抑止するスイッチ技術等を開発する東工大発ベンチャー シグマエナジー、ロックアーティスト等エンタメ業界と連携した水素利用の普及を目指す新規事業を立ち上げたVIVIT等、多種多様な事業についての紹介がなされ、今後の事業拡大に向けて連携先を全国で幅広く募りたいとの強いメッセージが各社から発信されました。

モデレータを務めた大田区産業経済部山田部長は、

「大田区の企業の9割以上が従業員一桁の中小企業。まだアナログの企業も多く、環境に対する認識もこれから。羽田から全国に発信し、各地の金融機関とも連携し、グリーンbyデジタルで日本の中小企業を底上げする活動を今後も積極的に行っていきたい」

と今後のプロジェクトの継続にも意欲を見せました。

本イベントのアーカイブ視聴はこちらから

 

<まとめ>

カーボンニュートラルの達成のため、全国で脱炭素ドミノを引き起こすには、官・民・金融が団体の枠を超えてひと・モノ・カネをレバレッジすることが必要となります。
イベントでは先行して地域脱炭素や新産業のインフラ構築に挑戦する自治体、地方銀行、事業会社を紹介いたしました。
今後、その事例はより多く、より加速して展開すると考えられますので、ご興味のある方は添付のリンク よりアーカイブをご覧いただき一度お問い合わせください。

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