知識

ソーラーパネルは導入するべき?産業用ソーラーパネルによる太陽光発電のメリット・デメリット

環境問題や相次ぐ災害、あるいはコストカットなど、目的は違えども、近年、企業・家庭問わずに注目を集めているソーラーパネルによる太陽光発電。すでに多くの企業・家庭でソーラーパネルが導入されています。しかし、ソーラーパネルが実際にどんなもので、どんなメリットがあるのか、よくわかっていない方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はソーラーパネルの仕組みから、メリット・デメリットまで、ソーラーパネルによる太陽光発電のアレコレをご紹介します。

光を集めて発電!?ソーラーパネルの仕組みとは

ソーラーパネルとは、太陽光を集め、発電を行うための設備のことで、言葉の通りパネルの形状をしています。このパネルの中には、太陽電池が無数につながっていて、太陽電池に太陽光が当たることで、発電ができます。
発電の要となる太陽電池ですが、電池という名前ではあるものの電気を蓄える機能はなく、機能的には発電機と言えるでしょう。この太陽電池に光が当たると、電池内の電子が動き、電気が発生する仕組みになっています。

家庭用のソーラーパネルも、産業用のソーラーパネルも基本的な仕組みは一緒です。では、何が違うかと言うと、その発電能力です。この発電能力のことをシステム容量と言い、一般的に家庭用ソーラーパネルは10kW未満、産業用ソーラーパネルは10kW以上のシステム容量となっています。システム容量が大きければ大きいほど、発電量も大きくなりますが、その分、ソーラーパネルの設置面積も大きくなります。
例えば、10kWのシステム容量のソーラーパネルを設置するためには、250Wの発電能力を持つパネルが40枚、30畳ほどの面積が必要になってきます。家庭用でも10kW以上のシステム容量のソーラーパネルを設置することは可能ですが、設置面積や設置費用の面からも、3~5kWのソーラーパネルが一般的です。

また、産業用の場合、大規模な設置となることが多いため、低コストの多結晶パネルが使われることが多くなります。

ソーラーパネルの発電量は?

ソーラーパネルは太陽が当たる角度や時間など自然の影響や、光をどれだけ電力に変えられるかを表す「変換効率」など、ソーラーパネル自体の性能の影響もあり、正確にどれだけ発電できるかを断言することはできません。
多くの場合、システム容量が1kWあたりで年間1,000kWhの発電が可能とされることが多いです。ちなみに1,000kWhは一般家庭が年間で消費する電力のおよそ3分の1になります。単純に考えればシステム容量が大きければ大きいほど、より多く発電ができます。より詳しく発電量を知りたいという方は、設置前にシミュレーションを行うと良いでしょう。

また、ソーラーパネルによる太陽光発電を売電する場合は、「固定価格買取制度(FIT)」によって定められており、2021年9月時点の売電価格は以下のようになっています。

住宅用ソーラーパネルによる太陽光発電:19円/kWh(10kW未満)
産業用ソーラーパネルによる太陽光発電:12円/kWh(10kW以上50kW未満)

家庭用であれば、1,000kWhの売電で年間19,000円ほどの収入が入る計算です。

ソーラーパネル設置にデメリットはある?

電力を自分で作り、販売することもできるソーラーパネルによる太陽光発電ですが、デメリットはないのでしょうか?特に大規模な設置となることが多い産業用ソーラーパネルの場合、住宅用とはまた違ったデメリットが出てきます。

■導入コストがかかる
住宅の屋根など設置場所が狭い住宅用に比べ、産業用のソーラーパネルは設置規模が大きくなり、パネルの数も増えていきます。そのため、どうしても住宅用に比べると、導入コストが大きくなりがちです。

■設置するための土地が必要
売電による利益を見込むためには、なるべく規模の大きなソーラーパネル(メガソーラー)が必要になりますが、同時にそのソーラーパネルを設置できるだけの土地が必要不可欠です。土地まで用意するとなると、導入コストはさらにふくらみます。さらに、メガソーラー設置のために山を切り崩すといった環境破壊につながるケースもあります。

■運用コストがかかる
パネル面の状態はソーラーパネルの発電量に影響します。そのため、定期的な掃除や、低地に置いている場合は日光を遮る雑草処理など、メンテナンスが必要です。また、使い続けていくうちに災害や経年劣化などで故障してしまった場合、その修理代もかかります。

■発電量が天候に左右される
ソーラーパネル自体が天候の影響を大きく受けることになるため、発電量の予測を立てて設置に踏み切っても、想定通りの発電量を担保することは難しいことも。

■売電価格が年々下がっている
FITによる売電価格は、制度が始まってから年々下落傾向にあります。そのため、売電による利益を上げることが年々厳しくなってきています。また、FIT制度自体がいつまで続くのか、疑問視する声もあります。

ソーラーパネルのメリットは?自家消費型太陽光発電という選択肢も

ここまでデメリットをご紹介してきましたが、もちろん良い面もあります。ここでは、産業用ソーラーパネルによる太陽光発電のメリットをご紹介していきます。

■企業イメージの向上につながる
近年、世界的に環境問題への取り組みが重要視されており、CSR活動、SDGsへの取り組みとして環境問題に取り組む企業が増加しています。一般消費者も企業の取り組みとして、環境問題への対応を重要視している傾向にあります。その点では、太陽光発電は企業イメージの向上に非常に効果的な施策と言えます。

■売電期間が長い
FITによる電力の買取は、住宅用に比べ、産業用は20年間と長くなっており、それだけ利益を享受できる期間が長くなります。売電価格は減少傾向にあるものの、安定的に利益を生み出せるという点では、効果的な施策となっています。

■遮熱効果が高い
自社の工場などの屋根に設置する場合、ソーラーパネルがあることで、建物の遮熱効果が高まります。夏の時期などは冷房効率が上がり、運用コストを引き下げることにつながります。

■自家消費型太陽光発電でBCP対策
「自家消費型太陽光発電」は、発電した電気を自社で消費することを目的にソーラーパネルを設置します。この場合、先のメリットに加え、税制優遇措置が受けられる、非常時の電源を確保できる、というメリットも加わってきます。しかし、この場合でも当然ながら前述のデメリットには注意しなければなりません。

ソーラーパネル設置はよく検討してから!

ソーラーパネルについてここまで紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?産業用ソーラーパネルには投資用と自家消費用があり、どちらも大きなメリットをもたらしてくれます。しかし、同時にデメリットもあるため、発電量や売電価格などを念頭に、コストやメリット等を考え、よく検討してから導入しましょう。

もし、なるべくコストをかけずにソーラーパネルを導入してみたいとお考えの場合は、VPP JAPANの「オフグリッド電力供給サービス」を利用してみるという手段もあります。
オフグリッド電力供給サービスは、投資負担なしにソーラーパネルを設置できるサービスです。施設の屋根をVPP JAPANが借り上げ、太陽光パネルを設置し、発電した電気を供給します。
既存施設の屋根を利用するため、広大な土地は必要なく、森林伐採等の環境破壊をすることもありません。
自己負担なしで太陽光発電設備を導入することができるため、興味のある方や導入に不安がある方はぜひご相談ください。

▷関連記事
太陽光発電余剰の地域循環ビジネスモデルを実現する「R.E.A.L. New Energy Platform™」の実証実験を開始

卒FITで注目!初期投資ゼロの自家消費型太陽光発電「PPAモデル」【みるエネルギー辞典】

▷グリラボSNSのフォローお願いします!!

Twitter @gurilabo

▷アイグリッドグループ

【記事監修】
岩崎 哲
株式会社アイ・グリッド・ラボ
取締役 CTO
博士(環境学)/人間情報学会理事

【略歴】
東京大学大学院(博士課程)にて、環境学とウェアラブルコンピューティング・センサネットワークを研究。その後15年間AIベンチャーにて経営に従事し、ビッグデータ・AI・DXの研究開発・事業開発を担当。事業の立上げ・組織運営やAIの技術開発・顧客プロジェクトのマネジメントを担う。2020年、アイ・グリッド・ラボ 取締役CTO就任。AI・DXの経験・知見を活かし、エネルギーの新しいプラットフォーム構築事業を立ち上げている。

シェア