GXとカーボンニュートラルの違いとは?それぞれの概要もわかりやすく解説

地球温暖化によって自然災害が世界で頻発する今、環境問題に興味を持ち始めている人は多いでしょう。環境問題について調べていると、GX(グリーントランスフォーメーション)とカーボンニュートラルという言葉をよく目にします。それぞれの意味や違いがわからないと、日本の取り組みを理解するのは困難です。

本記事では、GXとカーボンニュートラルについてわかりやすく解説します。2つの違いや関係性を理解できれば、日本の環境問題への取り組みや現状を把握できるようになります。企業がGXに取り組むメリットも解説するので、環境問題に関心のある経営者や担当者はぜひ参考にしてください。

GXとカーボンニュートラルの違いは?

GXは、脱炭素社会を目指す取り組みを通じ、産業構造や社会システムに変革をもたらそうとする「概念」であり、カーボンニュートラルはGXのなかに存在する脱炭素社会を目指す施策の1つです。つまり、2つはまったくの別物ではなく、GXが基軸とする施策の1つにカーボンニュートラルがあります。

GXとカーボンニュートラル、それぞれの特徴について次の見出しで詳しく解説します。

GXとカーボンニュートラルの概要や関係性を解説

GXとカーボンニュートラルの違いをより明確にするため、それぞれの概要と関係性について解説します。順を追って見ていきましょう。

GXは化石燃料からクリーンエネルギーに移行して変革を目指すもの

GXとは、グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)の略称です。脱炭素社会を目指す取り組みを通じ、経済社会システム全体を変革して持続可能な経済成長へとつなげることを目的としています。

私たちが不自由なく生活できているのは、さまざまな活動にエネルギー源として石油や石炭などの化石燃料が使われているからです。しかし、化石燃料は消費する際にたくさんの二酸化炭素を排出します。二酸化炭素は、地球温暖化の最大の原因である温室効果ガスの1つなので、2030年の温室効果ガス削減目標を達成するために見過ごすわけにはいきません。

そこで、化石燃料に依存する産業構造を、再生可能エネルギーや水素などのクリーンエネルギー中心へと転換し、二酸化炭素の排出量を減らそうとする活動が広がっています。また、こうした活動を経済成長や雇用、所得の拡大につなげていく機会にしたいのが政府の考えです。

温室効果ガス削減や再生可能エネルギーへの転換を経済的にネガティブなものとしてとらえず、環境保全と経済成長を同時に実現させたい意図があります。

GXが求められる背景には地球温暖化の悪化が主に挙げられる

GXが求められる理由は、主に地球温暖化による影響の深刻化です。近年地球温暖化が進んだことで、世界中で豪雨や干ばつ、大規模な山火事が頻発しています。

IPCCによると、このまま何の対策もしなければ、世界の平均気温は2100年までに2.2〜3.5℃上昇すると報告されています。地球温暖化が進めば環境問題はさらに悪化し、食糧不足や物流機能の遮断など生活にもさまざまな支障をきたすことになりかねません。

パリ協定では、産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を2℃以下に、できる限り1.5℃に抑える目標を掲げています。この目標を達成するためには、温室効果ガス削減に向けた脱炭素の取り組みが必須であり、社会の仕組みそのものを変えなければいけません。

参照:IPCC

GXの取り組みの1つにカーボンニュートラルがある

GXの取り組みの1つに、カーボンニュートラルが存在しています。カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量が全体としてゼロになっている状態のことです。脱炭素社会を目指すための施策の1つでもあります。

全体としてゼロになっている状態とは、温室効果ガスの排出量を森林などによる吸収や除去で差し引き、合計を実質ゼロにした状態です。

人類が生活していくうえで、温室効果ガスをまったく排出しない社会を実現するのは難しいですが、温室効果ガスの排出量を減らすことはできます。温室効果ガスの排出量と吸収量がほぼ同じになれば全体として排出量をゼロにできるため、脱炭素社会の実現に近付けます。

カーボンニュートラル宣言は世界中で表明されている

地球温暖化による環境問題が年々深刻化している今、カーボンニュートラル宣言は世界中で表明されています。2050年カーボンニュートラルを宣言した国は日本をはじめ多くあり、2021年4月時点では125ヶ国1地域が表明しています。表明内容は、各国によってさまざまです。

例えばEUでは、具体的なエネルギーミックスは決定せず、どのような対策を実施するのか複数の前提を置き、3つの削減目標とそれぞれに対応した8つのシナリオを分析しています。

アメリカでは2021年1月にバイデン大統領が就任したことで、トランプ前政権で離脱したパリ協定に復帰しました。気候変動対策はアメリカにとって最重要課題の1つであり、洋上風力による再エネ生産量の倍増や、国土と海洋の保全など具体的な目標を掲げています。

世界の二酸化炭素排出量の約3割を占める中国でも、2060年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げています。電気自動車の導入を促進する取り組みが実施されており、2030年までに二酸化炭素の排出量を減少に転じさせることが目標です。

日本ではカーボンニュートラルに向けてグリーン成長戦略を策定

日本では、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指すために、グリーン成長戦略を策定しました。

グリーン成長戦略とは、気候変動への対応をビジネスチャンスと捉えて、企業の前向きな挑戦を支援する政策です。洋上風力・太陽光・地熱産業、自動車・蓄電池産業など、今後の成長が期待される14の産業分野において国として高い目標を掲げ、具体的な見通しを示しています。

目標達成に向けて積極的に取り組む民間企業を後押しするため、グリーンイノベーション基金の創設(2兆円・最長10年間)や金融市場の整備、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制などの政策を実施しています。

GXは企業の協力が必須。企業が取り組むメリットとは?

GXを実現するためには企業の協力が必須であり、企業にとってもGXに取り組むことでメリットが得られます。それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。

企業のブランディングや評価向上につながる

企業がGXに取り組むことは、ブランディングや評価向上につながります。カーボンニュートラルを実現しようと真剣に取り組む姿勢は好感をもてるため、企業に対する評価を高めるきっかけになります。

ブランディングが向上すれば、商品やサービスを利用する消費者や取引してくれる企業が増え、業績アップにもつながるでしょう。また、投資家や金融機関からの評価も上がるため、資金調達しやすくなることもメリットの1つです。GXへの取り組みは、事業継続を有利にしてくれます。

とはいえ、事業を継続するためには人材確保も必須です。少子化が進む日本では人材不足が深刻化していますが、それもまたGXへの取り組みで解決できる可能性を高められます。就活生や転職を考えている人にとっても、GXに取り組む企業は人気が高いといえるためです。

エネルギーコストの削減が可能

企業がGXに取り組むメリットには、エネルギーコストの削減が可能になることも挙げられます。

自社の生産活動に必要なエネルギーを、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーでまかなえるようになると、光熱費や燃料費の削減につながります。自社で生産した再生可能エネルギーは、他社に売って利益にすることも可能です。導入コストはかかるものの、長い目で見れば経済的といえるでしょう。

また、再生可能エネルギーの普及によって浮いたコストは、新規事業などへの投資にあてられます。企業が事業を発展させられる環境を作りやすいところも、GXに取り組むメリットです。

アイ・グリッド・ソリューションズではGXソリューション事業も展開中

地球温暖化がすでに深刻な今、世界では自然災害が頻発しています。日本でも、集中豪雨などによる被害が毎年のように起きている状況です。クリーンエネルギーへと転換したくても、発電量が天候に左右されやすいデメリットが気になり、ためらっている企業は多いでしょう。

アイ・グリッド・ソリューションズでは、「安価・安定・100%クリーン」な電力供給に取り組み、国内のクリーンエネルギーへの転換を推進しています。

将来的には蓄電ソリューションやEV充電などを普及させ、災害にも強い持続可能な分散型エネルギープラットフォームの構築を目指しています。クリーンエネルギーのデメリットが気になっている企業にとって、アイ・グリッド・ソリューションズの事業はGXへの取り組みを加速するきっかけにできるでしょう。

 

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