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RE100とは?初心者にもわかりやすく解説

カーボンニュートラルに向けた世界的な取り組みのひとつに、RE100があります。RE100は、企業が事業で使う電力を100%再生可能エネルギー由来の電力でまかなうことを目指す、国際的イニシアチブです。

本記事では、RE100の概要や加盟要件、企業が取り組むメリットなどを解説します。自社で再生可能エネルギーの導入を検討している企業や、環境問題に関してできることはないかと考えている方はぜひ参考にしてください。

RE100とは?初心者にもわかりやすく解説

Colleagues in formal suits meet at desk to brainstorm environmental management strategies. discuss carbon emissions, renewable energy, sustainable business practices to reduce corporate footprint.

RE100とは?

RE100とはRenewable Energy 100%の略で、企業が事業活動において使用する電力をすべて再生可能エネルギー由来の電力にすることを目指す国際的なイニシアチブです。

RE100は世界的に注目を集めており、2023年時点で日本からも81社の企業が参画しています。再生可能エネルギーで電力をまかなうことは、企業が温室効果ガス削減の目標達成に貢献し、世界全体の脱炭素を進めることにもつながります。

また、RE100への参画は、企業の資金調達の面でも大きなメリットを持ちます。近年では、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮した経営を行う企業が投資の対象として優遇される「ESG投資」が主流です。環境問題をはじめとした社会的課題に取り組む企業ほど評価され、投資家から投資してもらいやすくなります。

RE100は比較的大きな取り組みのため、加盟している企業は環境問題に貢献している企業として、投資家をはじめとするステークホルダーから信頼を得やすいでしょう。

RE100にはどんな企業が加盟している?

RE100には日本企業が81社、世界の企業が400社以上(2023年時点)と、世界的な影響の大きい企業が続々と加盟しています。世界ではAppleやMicrosoft、Googleなどが、日本では建設業や電子機器製造業、小売業などを中心とした以下のような企業がRE100に加盟しています。

・積水ハウス

・ソニー

・第一生命保険

・TOTO

・イオン

・リコー

・カシオ

・エーザイ

・キリンホールディングス

日本はアメリカに次いで加盟企業数が世界第2位と、世界的にみても多くの企業が参加している状況です。

RE100が設立された意図

RE100は、世界中で起きている気候変動に対応するため、気候変動対策の一環として設立されました。再生可能エネルギーによる発電の割合を増やすことで、温室効果ガスの排出を減らし、脱炭素を促進できるからです。

2015年に採択されたパリ協定では、産業革命後の気温上昇を2℃より十分低く保つために、気温上昇を1.5℃に抑える努力をするという目標が掲げられました。この世界的な長期目標を達成するためには、企業が積極的に脱炭素に取り組むことが不可欠です。世界的な影響の大きい企業やエネルギー使用量が多い企業を対象とし、脱炭素を目指そうという意図によって、RE100が設立されました。

RE100の特徴は、電力の需要側が、再生可能エネルギーの必要性を電力供給側に対して訴えることで、好循環を生み出そうとすることです。需要側が供給側に再生可能エネルギーの必要性を訴えることで、供給側が再生可能エネルギーの開発を進め、その開発に応じて政府や関係機関が新たな法令を作る構造です。

RE100に加盟するための要件

RE100はすべての企業が参加できるわけではなく、以下を含むいくつかの要件をクリアした企業のみ参加可能となります。

・年間の消費電力が100GWh(日本企業は50GWh)であること

・すべての企業活動で再生可能エネルギーの使用を100%にする意思があること

・遅くても2050年までに達成するための戦略を持つこと

・毎年、第三者監修のもとCDP気候変動の質問表フォーマットで報告書を制作し、事務局に進捗を報告すること

ただし、年間の消費電力が100GWh(日本企業は50GWh)より少なくても、以下の要件を1つ以上満たす場合は加盟できることもあります。

・RE100事務局が重視する地域や業種の主要事業者である

・RE100事務局が重視する地域で政策提言に参加する意思がある

・フォーチュン1000などに相当する主要な多国籍企業である

・国際的もしくは国内で信頼度や認知度の高い企業である

加盟要件を満たさない中小企業や自治体などで、RE100に参加する意思のある団体に関しては、「再エネ100宣言 RE Action」に加盟することで、再生可能エネルギー100%達成に向けた支援を受けることが可能です。

RE100の達成条件は?

RE100に加盟した場合、目標達成に向けて取り組みを行う必要があります。RE100の目標設定のルールは、2050年に再生可能エネルギー100%を実現すること、また中間目標として2030年までに60%、2040年までに90%をそれぞれ達成することです。

なお、再生可能エネルギーに転換するエネルギーの対象となるのは、GHGプロトコルでいうscope1とscope2、すなわち直接排出量と間接排出量を指します。

企業がRE100に取り組むメリットとは?

企業がRE100に取り組むことによって得られるメリットを2つ解説します。

気候変動による悪影響から事業を守ることができる

RE100に取り組むことは、気候変動の要因である温室効果ガスを削減して環境を守ることはもちろん、結果として自社のビジネスを守ることにもつながります。RE100が設立された背景にもあるように、地球は日々気候変動の危機にさらされ、人間や動物、自然環境にとってあらゆる弊害が起きています。

気候変動による災害やさまざまな問題は、企業活動に悪影響を及ぼす可能性が高いものです。例えば、原料の調達が難しくなったり、燃料費が高騰したり、輸送ができなくなったりすることが考えられます。事業を継続していくためにも、RE100への取り組みを行い、環境の悪化による事業への悪影響を軽減する必要があります。

資金調達がしやすくなる

RE100に参加すると、環境活動に積極的に取り組む企業であることを示せることから、投資対象に選ばれやすくなります。

先述したように、昨今では環境や社会の課題に配慮し、適切な企業統治が行われている企業を評価するESG投資に関心が集まっています。ここでいう環境とは、気候変動対策や生物多様性を守ることなどを指し、社会とは働き方改善や多様性の推進などを指します。

また、法令を遵守した透明性の高い経営を行っているかどうかが、企業統治の要素です。このような問題に配慮し、積極的な対策を行う企業こそが中長期的に成長していける企業であるという考えから、ESG投資が行われています。

企業がRE100に取り組む際の注意点

RE100に取り組む際の注意点として、コストが高いことが挙げられます。再生可能エネルギーの発電設備の建設などには、膨大な費用がかかります。RE100への参画は、長期的な見通しを持って取り組むことが大切です。

RE100に取り組む前に、自社の電気代をあらかじめ削減しておくことも大切です。先述した通り、再エネへの取り組みは、かえってエネルギー調達のためのコスト負担が大きくなるケースもあります。省エネ対策をせずに再生可能エネルギーを導入すると、コストの急激な上昇に後悔してしまう可能性もあるため注意しましょう。

日本企業におけるRE100への取り組み事例

日本でRE100に参画している企業の取り組み事例を2つ紹介します。

イオン

ショッピングモールや総合スーパーを全国展開するイオンでは、2025年までにイオンモール全店の使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指しています。

具体的には、92店舗のモールで太陽光システムを導入していることや、発電事業者が需要家の敷地に太陽光パネルを設置し、そこで発電された電力を需要家が購入する「PPAモデル」を、複数の店舗で導入しているなどの取り組みです。

また、愛知県の3店舗では、中部電力の協力のもと各家庭から出た余剰電力を集め、そのエネルギーを店舗で利用する取り組みも実施しています。同店舗では、2019年より再生可能エネルギーによる電力の受電も開始しました。4月から12月までの9カ月で、約6,700トンの二酸化炭素を削減することに成功しています。

埼玉県では、すでに再生可能エネルギー100%で運営される店舗も存在しています。

積水ハウス

積水ハウスは、2017年に国内の建設業界で初のRE100加盟企業となりました。2030年までに事業用電力の50%を再生可能エネルギーに、2040年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標としています。

目標達成のための具体的な取り組みは、積水ハウスのオーナーから太陽光発電で発電した余剰電力を買い取り、グループ内の事業用電力として利用するものです。この「積水ハウスオーナーズでんき」は、RE100達成に向けた取り組みである一方で、FIT買取制度終了にともなうオーナーの不安解消や、満足度の向上にも貢献しています。

再生可能エネルギーの導入を検討している企業はアイ・グリッドへご相談を

脱炭素への取り組みの一環として設けられた世界的なイニシアチブ、RE100について解説しました。RE100に取り組むことは、環境問題に貢献できることはもちろん、気候変動による影響を受けにくくなったり、投資の対象になりやすかったりするため、自社の事業を守ることにつながります。参加要件を満たす企業であれば、RE100に加盟して事業用の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指しましょう。

中小企業などRE100への加盟要件を満たさない企業に関しては、まずは省エネ対策に取り組み、そのうえで再生可能エネルギーを導入することをおすすめします。アイ・グリッド・ソリューションズでは、企業や地域の再生可能エネルギー自給率を最大化するためのサポートを行っています。環境課題に取り組みたい企業の方は、当社HPもぜひご覧ください。

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