日本で今起きている環境問題とは?政府が行っている取り組みも解説

近年では、SDGsの推進や政府の取り組みを通じて、環境問題に関心を寄せている方も多いでしょう。環境問題は私たちの未来に関わるため、どのような問題と解決策があるのかを一人ひとりが知っておくことが大切です。

本記事では、日本で起きている環境問題や、政府が実施している取り組みを解説します。環境保護のために自分にできることはないかと模索している方や、企業の環境関連部署の方はぜひ最後までご覧ください。

日本で今起きている環境問題とは?政府が行っている取り組みも解説

そもそも環境問題とは?

環境問題とは、人間の生活や経済活動によって、地球に悪影響を及ぼしている状態を指します。昨今では地球温暖化をはじめ、空気や土壌の汚染、海洋汚染、生物多様性の喪失、森林破壊などさまざまな環境問題が発生しています。

環境問題は人間が便利で豊かな暮らしを追求するために、自然をかえりみず、地球上の限りある資源を消費し続けてきたことが原因です。すでに地球は、私たちがはっきりと実感できるほどに破壊や汚染が進んでおり、一刻も早く対策を打たなければ手遅れになってしまう状況です。

近年、日本を含む世界の国々では、地球が消失してしまう危機感から、自然を守るためのさまざまな取り組みが進められています。人間の活動による環境への悪影響がこれ以上広まらないよう、国や企業に任せきりにするのではなく、一人ひとりが環境に配慮した生活を営んでいく必要があります。

日本における環境問題の歴史

日本で環境問題が認知されはじめたのは、1880年代後半から徐々に顕在化した「足尾銅山鉱毒問題」がきっかけです。足尾銅山鉱毒問題では、銅の採掘や製錬を行う際に有害ガスや重金属を含む水が河川や土壌に流出したことで、自然や人間の健康にさまざまな被害を引き起こしました。

その後、第二次世界大戦が終わり高度経済成長が始まると、「イタイイタイ病」や「水俣病」「四日市ぜんそく」などの公害が次々と現れます。日本政府は、1964年に厚生省公害課を発足、1967年には公害対策基本法を制定するなど、環境問題対策に取り組みはじめました。

日本で今起きている主な環境問題を知っておこう

上記でも触れたように、日本では水質汚染や土壌汚染をきっかけに環境問題への認知が広まりました。しかし、近年では異常気象や資源の枯渇などの問題も重なり、事態は年々悪化の一途を辿っています。それぞれの環境問題について、概要をみていきましょう。

気候変動

気候変動とは、気温や降水量が変化することで、自然環境や地球上の生物に何かしらの悪影響が及んでいる状態を指します。気候変動は、雨の降らない日が続き干ばつを引き起こしたり、降雨量が多すぎて洪水になったりと、私たちの生活にも悪影響を及ぼしています。

また、世界規模で気温が上昇している地球温暖化も気候変動のひとつです。地球温暖化は猛暑による人への健康被害だけでなく、海面上昇や海洋酸性化によって地球上のさまざまな生態系を破壊する要因となります。

海洋汚染

海洋汚染とは、人が出すゴミや有害物質によって海が汚れてしまうことです。海洋汚染で特に問題となっているのは、レジ袋やペットボトル、ストローなどのプラスチックが海に投棄され、海洋生物を命の危機にさらす「海洋プラスチック」問題です。

その他にも、船の事故によって流出した石油や、工場や家庭から排出される汚水なども、海洋汚染の大きな要因となっています。

水質汚染

日本でも古くから問題視されてきた水質汚染問題は、近年も世界中で大きな問題になっています。海や川の水質が悪化する原因には、工業や農業を営む際に出る排水や、人が日常生活を送るうえで使用する洗剤などの生活排水が挙げられます。

水は、人はもちろん地球上の生物が生きるために欠かせない資源です。海水に含まれた汚染物質をプランクトンや魚が食べると、魚を多く食べる私たち日本人にも健康被害が及ぶリスクが高まります。

大気汚染

大気汚染とは、有害物質によって私たちの周りにある空気が汚れてしまうことです。大気汚染が発生する原因は、車から出る排気ガスや工場から排出される有害物質などが挙げられます。

大気汚染の主な被害には、光化学スモッグによるのどの痛みや目の異常、酸性雨による農作物の不作などが挙げられます。また、PM2.5や黄砂などの粉塵は、人の身体に悪いだけでなく、農業や経済などさまざまな分野に悪影響を及ぼす大気汚染物質です。

土壌汚染

土壌汚染とは、土壌に染み込んだ有害物質が蓄積されている状態のことです。土壌汚染の原因は、工場などで出た化学物質の流出や、地下に存在する天然の物質による汚染など、複数あります。

汚染が進んだ土壌では、農作物がうまく育たなかったり、その作物を人が食べることによって健康被害をもたらしたりする可能性があります。また、土壌に染み込んだ物質が雨によって海や川に流れ込み、見えないところで水質汚染につながっている可能性も否定できません。

生物多様性危機

生物多様性とは、動物や植物、微生物などのすべての生態系の多様性や、それぞれの生物のつながりを意味します。近年、気候変動や森林破壊、開発・乱獲などによって、生物の生息環境が著しく悪化している状況です。

生物多様性が失われると、これまで自然界に生息していた動植物が絶滅の危機にさらされるだけでなく、特定の種や遺伝子が増えすぎて自然界のバランスを崩すことにもつながります。

資源枯渇

資源枯渇とは、人が地球上の有限な資源を浪費することで、生活に不可欠な資源が不足してしまうことを指します。長い年月をかけてつくられた化石燃料や鉱物などの資源を再生させるには、膨大な時間が必要です。

近年、人が資源を消費するスピードは資源が再生するよりも早く、資源枯渇のリスクが高まっています。資源が底をつけば、人の生活や経済活動に大きな影響が出るでしょう。

森林破壊

森林破壊とは、人が森林を過剰に伐採したり、不適切な方法で焼畑農業を行ったりすることで森林が減少してしまうことです。日本でも、森林が次々と伐採されて住宅地や工業地に変換される光景を見ることがあるではないでしょうか。

森林は二酸化炭素を吸収する役割を持つため、森林破壊が進むと温室効果ガスの増加にもつながります。また、野生動物が住処や食料を失い絶滅に追いやられるなど、生態系に悪影響を及ぼすことも問題です。

日本政府によって行われている環境問題に対する取り組み

日本では、パリ協定において2030年までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを掲げています。同時に、2050年には温室効果ガスの排出が実質ゼロになることを指す、カーボンニュートラルの実現も目指しています。

上記の目標を実現するため、日本政府はさまざまな取り組みに着手しています。例えば、 環境省が推進する「デコ活」です。

デコ活の「デコ」とは、脱炭素を意味する「Decarbonization」と、環境にやさしいことを意味する「Eco」を掛け合わせた造語です。内容は、脱炭素という言葉を知ってはいるものの、具体的にどのようなアクションをしたら良いかわからない個人や企業に向け、新しい暮らしを後押しするものです。例えば、断熱住宅やエコグッズの推奨、食べ残しゼロへの取り組みなどが挙げられます。

環境省では、その他にもリサイクルプラスチックの有効活用などを推進する「プラスチック・スマート」や、環境に配慮した行動を行うことで自身の利便性も同時に向上するようなライフスタイルを提案する「ライフスタイルイノベーション」といったプロジェクトも展開しています。

環境問題を悪化させないために個人や企業にできる取り組みとは?

日本の環境問題を改善するためには、政府だけでなく日本国民である私たち一人ひとりが環境を守る行動を心がけなくてはなりません。最後に、個人や企業がすぐにできる身近な取り組み例を紹介します。

節電・節水・ゴミ削減

節電や節水、ごみの削減は、家庭で簡単にできる取り組みのひとつです。電気を多く使用するとその分発電量を増やさなくてはならないため、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の発生につながります。また、水も限りある資源のひとつです。水道水や入浴の際のシャワーの出しっぱなしに注意し、無駄遣いを防ぎましょう。

毎日出るゴミを減らすことも、環境を守ることにつながります。例えば、製品を購入する際は簡易包装のものを選ぶ、生ゴミはコンポストを活用する、食品を残さないよう買い物を工夫する、などです。また、毎月の支払いや新聞・雑誌の購読を、紙ではなくオンラインで行うことも効果的です。

公共交通機関の利用やリモートワークの推進

自家用車の使用は化石燃料の消費や温室効果ガスの排出につながり、地球環境に悪影響を与えます。通勤や通学などの移動の際は、できるだけ公共交通機関や自転車を利用するよう心がけましょう。

日常生活において車が必須である場合は、電気自動車に乗り換えることもひとつの方法です。相乗りで目的地に向かうなど、自動車の使い方を工夫するのも良いでしょう。

また、移動そのものを減らす選択肢もあります。企業においてはリモートワークの推奨など、オンラインを活用することで従業員の移動を減らせるでしょう。

再生可能エネルギーの利用

再生可能エネルギーを活用することも効果的です。日本では火力発電による発電が多くを占めており、その燃料となるのは地球の有限な資源である化石燃料です。また、化石燃料を燃やす際には温室効果ガスが発生するため、環境に負荷を与えてしまいます。

再生可能エネルギーは、太陽光や水、風などの再生可能な資源を活用して発電できるエネルギーです。再生可能エネルギーによる発電を増やすことで、地球の資源を守り、温室効果ガスの発生を大幅に減らすことができます。

太陽光発電であれば、家庭や企業でも比較的簡単に導入できます。屋根上に太陽光パネルを設置して自家発電したり、再生可能エネルギーによる電力を購入したりと、できることからはじめてみましょう。

環境に配慮した製品の開発や利用

企業は、環境に配慮した製品を開発し、消費者に提供するよう心がけましょう。

また、消費者も環境負荷の少ない製品を選択することが重要です。例えば、地元で採れた食材は輸送距離が短いため、温室効果ガスの排出が少ない商品と考えることができます。省エネ性の高い家電を購入すれば温室効果ガスの排出を抑えられることはもちろん、ランニングコストの削減も期待できるでしょう。

ただし、環境に配慮していることを謳う製品のなかには、中身の伴わない過剰広告であるものもあります。エコラベルがついた商品を選ぶなど、本当に環境問題改善に役立つものかを判断することが大切です。

できることから環境問題への取り組みをはじめよう

気候変動や自然破壊は年々悪化し、誰しもが住みにくさを実感できるところまできています。環境問題は人間の生活や経済活動によって引き起こされた問題であることを自覚し、一人ひとりが地球を守る行動を少しずつでも行うことが重要です。

先述したように、個人や企業ができる環境問題の対策として、再生可能エネルギーの活用が挙げられます。再生可能エネルギーは石油や石炭を使わず、温室効果ガスの発生も少ないことから、環境にやさしいエネルギーです。

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