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【2023年最新】「再エネ賦課金」とは?わかりやすく解説!

電気料金の明細書に小さく「再エネ賦課金」と書いてあるのをご存じでしたか?利用状況にもよりますが、多くの人は毎月1,000円くらいの再エネ賦課金を納めています。残念ながらこの再エネ賦課金は年々上がっており、家計や企業経営を圧迫しています。

何らかの対策をとるには、まず再エネ賦課金とは何かをよく知っておくことが大事です。本記事では再エネ賦課金の概要や仕組み、計算方法、再エネ賦課金をなくす・減らす方法などについて解説しています。

「再エネ賦課金」とは?

再エネ賦課金とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金(はつでんそくしんふかきん)」と呼び、太陽光発電や風力発電などの再エネの買取に必要な費用をまかなうための賦課金(ふかきん)です。賦課は「税金などを割り当てて負担させる」という意味ですから、再エネ賦課金は実質的な税金と言えます。

なぜ国が再エネ賦課金をとるかと言えば、再エネ普及のためです。再エネ発電は今のところ原子力発電や火力発電などより割高ですので、その負担をみんなで負担して再エネを増やそうとしています。具体的には再エネ普及のための「固定価格買取制度(FIT)」を運用するために使われています。

したがって、再エネ賦課金の特徴は次のとおりです。

  • 電気を使う人全員が負担する
  • 全国一律の価格

 

もちろん不平等が出ないように次のような措置もとられています。

  • 電気利用量に比例して徴収する
  • 太陽光発電などの再エネ利用分には再エネ賦課金をかけない

 

ここまでで「FITって何?」「そもそも再エネとは?」などとつまずいた人もいるかもしれません。そこでこれらの基礎知識について、次項から解説します。

そもそも「再エネ」とは?

再エネ(再生可能エネルギー)は、次のような特徴をもったエネルギーです。

      • 化石燃料(石油や石炭、天然ガスなど)以外のエネルギーである
      • 永続的に使える
      • どこでもエネルギーを得られる(太陽光や風など)
      • CO2を排出しない

 

具体的には、次のようなものが再エネです。

          • 太陽光
          • 風力
          • 水力
          • 地熱
          • 太陽熱
          • 大気中の熱やその他の自然界に存在する熱
          • バイオマス(動植物に由来する有機物)

 

実際には他の再エネもありますが、固定価格買取制度(FIT制度)の買取対象となっているのは、上記7種類です。

近年、再エネが非常に重要視されている要因は、主に2つあります。ひとつはCO2の排出を減らして地球環境を守るためです。もうひとつはエネルギーの自給率の向上に有効であるからです。特に海外からの化石燃料に頼っている日本では再エネ普及が欠かせません。

再エネとは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:再生可能エネルギーとは?メリット・デメリットを簡単に解説!|グリラボ


固定価格買取制度(FIT制度)とは?

固定価格買取制度(FIT制度)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間、国が決めた価格で買うことを約束する制度です。

買取価格は毎年変動しますが、一定の利益が出やすいように調整されます。このため設備導入時点でコスト回収の見込みが立ち、再エネ設備を導入しやすくなるわけです。

条件のよい価格で電気を買ってもらえるのは、再エネ賦課金が使われているからです。つまり再エネを創る側は、実は再エネ賦課金を受け取っています。

FITで代表的なのは太陽光発電で、住宅用(10kW未満)は10年間、産業用(10kW以上)は20年間、FIT制度を利用できます。ただし、FIT終了後も電力会社に売電することも可能です。

FITとは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:FIT制度(固定価格買取制度)とは?【みるエネルギー辞典】|グリラボ

再エネ賦課金の最新状況|価格が下がった理由は?

経済産業省は、FIT制度等の電気買取価格と合わせて、2023年度の再エネ賦課金単価を前年度の3.45円/kW(キロワット時)から大幅に低下し、1.40円/kWhにすると決定しました。再エネ賦課金の単価は2013年にFIT制度が開始してから年々上昇を続けていましたが、今回が初めての低下となります。

原因として、化石燃料の価格高騰があげられます。毎年度の再エネ賦課金単価は「(買取費用等-回避可能費用等+広域的運営推進機関費用等)÷販売電力料」の計算式で算出されますが、化石燃料の価格上昇により回避可能費用が大幅に増加したため、結果として再エネ賦課金が大きく減少した形です。

この価格は2023年5月から適用されることとなっており、電気の需要家にとっては朗報といえるでしょう。

再エネ賦課金の仕組み

ここでは再エネ賦課金の仕組みを電気とお金の流れに注目してみてみましょう。

上の図を一連の流れに沿って説明すると以下のとおりです。

1.再エネ発電事業者が再エネで発電した余剰電力を電力会社に売る

2.電力会社は再エネ賦課金を含めた金額で電気を買う

3.電力会社は一般送電網を介して家庭や企業などに電気を提供

4.利用者は電気利用料に応じて再エネ賦課金を含んだ金額を電力会社に支払う

5.利用者からの再エネ賦課金を取りまとめた電力会社が、国に再エネ賦課金を納付

6.国は電力会社へ交付金(再エネ買取に要した費用)を支払う

したがって、再エネによる発電量が増えるほど、必要となる再エネ賦課金も増える仕組みです。

再エネ賦課金の計算方法

再エネ賦課金の合計を求めるには、まず現在の単価を調べる必要があります。過去5年の再エネ賦課金単価は以下のとおりです。

年度 ※5月~翌年4月まで 再エネ賦課金単価
2018年 2.90円/kWh
2019年 2.95円/kWh
2020年 2.98円/kWh
2021年 3.36円/kWh
2022年 3.45円/kWh
2023年 1.40円/kWh

 

ここでは2023年の場合を例にとって、1カ月の再エネ賦課金を計算してみましょう。

1カ月の電気利用量:250kWh

再エネ賦課金:1.40円/kWh

1カ月の再エネ賦課金

=1カ月の電気利用量×再エネ賦課金

=250kWh×3.45円/kWh

=350円(小数点切り捨て)

再エネ賦課金で知っておきたいこと

再エネ賦課金は電気を使ったら利用量に応じて必ず支払いが発生するものです。ですので、水道光熱費などと同じく、なるべく節約したい費用です。

ただし、再エネの自家発電・自家消費を行なっている場合は、負担対象外になります。またPPAモデル(電力事業者が自社・自宅に設置した太陽光発電所で発電した電気を購入する)でも、再エネ賦課金がかかりません。

これらを導入するかどうかは別として、自家発電やPPAモデルのメリットが年々大きくなっていることは知っておくべきでしょう。再エネ賦課金は再エネが普及するほど上がる傾向があり、今後も上昇する可能性があるからです。実際、再エネ賦課金の上昇に備えるために、太陽光発電の導入を検討する企業や個人が増えています。

再エネ賦課金に関する疑問Q&A

ここでは再エネ賦課金についてのよくある質問として「再エネ賦課金はいつまで続くの?」「再エネ賦課金を払わないことはできる?」を取り上げ、回答します。

再エネ賦課金はいつまで続くの?

再エネ賦課金をいつまで続けるかについて、国の公式な発表、見解はありません。

2022年現在でもFIT制度があることから、少なくとも産業用太陽光発電の買取期間である20年先(2042年)までは再エネ賦課金が続くでしょう。

再エネ賦課金は年々上昇傾向にあり、国民の負担となっています。環境省は下のグラフのように2030年のピーク時に再エネ賦課金が2.61になると予想していましたが、2022年時点で3.45円であり、すでに高位の予想を上回っています。

参考:再生可能エネルギーの導入に伴う効果・影響分析|環境庁

電力中央研究所は、2030年時点での再エネ賦課金は約3.5~4.1円/kWhになると予測しています。企業としても個人としても、再エネ賦課金の上昇に備えて、何らかの対策を検討するべきタイミングと言えるでしょう。

出典:2030年における再生可能エネルギー導入量と買取総額の推計|電力中央研究所

再エネ賦課金を払わないことはできる?

再エネ以外の電気を利用した場合は「再エネ賦課金を支払わない」という選択肢はありません。

経済産業省は”電気を使うすべての方にご負担いただくものです”と述べています。現実的に考えても電気料金の未納になって電気を利用できなくなるため、拒否できないでしょう。

引用:固定価格買取制度|経済産業省

しかし、再エネで発電する、あるいは再エネで発電した電気を購入すれば、再エネ賦課金をなくす、減らすことは可能です。例えば、企業や一般家庭に太陽光発電設備を設置する方法があります。

「初期費用が高額で支払えない」という場合は、PPAモデルの活用がおすすめです。PPAモデルでは、電力事業者が太陽光発電設備を無償で設置してくれ、その後のメンテナンス、管理も無償で行ってくれます。そしてこの発電所の電気を購入した分は、再エネ賦課金がかかりません。

まとめ

ほとんどの国民が電気利用量に応じて毎月負担しているのが再エネ賦課金です。CO2排出による地球温暖化を防ぐためには、再エネ普及が必要ですが、なるべく負担は抑えたいものです。

ただ、再エネ賦課金は年々上昇しており、2030年までは上がり続けると予想されています。つまり現在は、再エネ賦課金がかからない太陽光発電システムの導入や、PPAモデルで電気を買うメリットが大きい時期なのです。

太陽光発電には再エネ賦課金のカットだけでなく、脱炭素化や非常用電源としての活用など、ほかのメリットもあります。グリラボでは再エネ、脱炭素、太陽光発電などの情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。

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