非化石証書をわかりやすく解説!企業が取り入れるべき理由と方法
環境に配慮した電力に関連する仕組みとして「非化石証書」があります。
少し複雑な仕組みなので、いまいち理解できていないという人もいるかもしれません。
本記事では非化石証書について詳しく解説するので、非化石証書を理解して環境問題への理解をより深めましょう。
企業が非化石証書を取り入れる方法や、非化石証書と似た仕組みについても紹介しているので、企業や家庭での取り組みの参考にしてください。
非化石証書とは?
非化石証書は、再生可能エネルギーなど非化石電源の環境的な価値を証書にしたものです。
非化石電源の特徴である「発電時に二酸化炭素を排出しない」という価値を証書化し、取引するために使用されます。 非化石電源に対して、化石電源と呼ばれるものがあります。
化石電源は天然ガスや石油などの化石燃料を使った発電方法で、発電時に二酸化炭素を排出するのが特徴です。化石電源による電気には電気そのものとしての価値しかありませんが、非化石電源による電気は電気としての価値以外に「二酸化炭素を排出しない」という価値があります。
この価値を電気自体の価値と切り離して取引できるように証書化したものが、非化石証書です。
証書化して取引する目的や仕組みについて、次章で詳しくみていきましょう。
非化石証書の役割と仕組み
非化石証書の役割は、二酸化炭素を排出しない方式で発電された電気であると証明することです。
非化石証書は電力会社が購入するもので、1Kwhあたりの金額が設定されています。
電力会社が電力取引市場などから電気を購入する際、発電方式を指定することはできません。
そのため、電気を購入して供給している電力会社は「再生可能エネルギー由来の電気を供給している」とアピールすることはできませんでした。
しかし、2018年から非化石証書の取引が国の制度として認められて以降は、非化石証書の購入分をクリーンエネルギーであるとみなせます。
この制度によって、例えばすべての電気を化石電源で賄っている電力会社でも、総供給量の20%にあたる非化石証書を購入すれば「当社が供給する電気の20%は再生可能エネルギー由来です」とアピールできるようになりました。
再生可能エネルギーは化石電源よりも発電量が少なく、コストが高いなどの事情から調達しにくく、非化石証書を購入することで「クリーンエネルギーを供給している」とするケースもあります。
非化石証書を企業が取り入れる方法
先述のとおり、非化石証書は電力会社が購入するもので、一般企業が購入することはできません。
一般企業や家庭で再生可能エネルギー由来の電気を使用したい場合は、非化石証書を購入した電力会社を利用するのがひとつの方法です。
非化石証書を購入している電力会社は、非化石証書による環境価値を組み込んだ電気料金プランを提供しています。
このようなプランに乗り換えることで、企業や家庭で使用する電気が実質的に再生可能エネルギー由来のものになるため、二酸化炭素の排出量削減に貢献できます。
非化石証書を通じて知っておきたいこと
非化石証書は実際に一般企業や個人では購入することがないので、いまいち理解しにくい部分もあるかもしれません。
ここでは、非化石証書への理解を進めるうえでさらに知っておきたいことを詳しく紹介するので、こちらもチェックしてみてください。
非化石証書に種類はある?
非化石証書には、「FIT非化石証書」「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」の3種類に分類されます。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
証書名 | 概要 | 例 | 再エネ指定の有無 |
FIT非化石証書 | 再生可能エネルギーのうち、FIT電気の非化石証書 | 太陽光、小水力、バイオマス、風力など | 有 |
非FIT非化石証書 | FIT電気でない再生可能エネルギーの非化石証書 | 大型水力など | 有 |
非FIT非化石証書 | FIT電気でない非化石電源の非化石証書 | 原子力など | 無 |
FIT電気とは、再生可能エネルギー由来の電気のうち、固定価格買取制度(FIT制度)によって電力会社に買い取られた電気のことです。
再生可能エネルギーに指定される電力かどうかによっても、非化石証書の種類が変わります。
原子力発電は二酸化炭素を排出しませんが、ウランを燃料とする点や放射性廃棄物が発生することなどが理由で再生可能エネルギーには当てはまりません。
より環境に配慮した電気を使用したい場合は、FIT非化石証書もしくは非FIT非化石証書(再エネ指定あり)を購入している電力会社を選びましょう。
非化石証書とグリーン電力証書、Jクレジットの違いについて
非化石証書と同じように、環境的な価値を取引できるようにする制度に「グリーン電力証書」と「Jクレジット」があります。
グリーン電力証書は、再生可能エネルギーの環境価値を取引するための証書です。非化石証書は原子力など再生可能エネルギーでない非化石電源も含みますが、グリーン電力証書は再生可能エネルギーだけを対象とした仕組みです。
また、グリーン電力証書は企業や自治体も保有できます。 Jクレジットは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証し、企業や自治体で売買できる制度です。
非化石証書は電力会社しか取引できませんが、Jクレジットは一般企業も購入や転売ができます。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
非化石証書 | グリーン電力証書 | Jクレジット | |
転売 | × | × | ○ |
購入 | 電力会社のみ | 企業や自治体も購入可能 | 企業や自治体も購入可能 |
再生可能エネルギー由来 | 再生可能エネルギー由来以外の非化石電源も含む(原子力など) | 再生可能エネルギー由来の電気のみ | 電力ではなく温室効果ガスの削減・吸収量が対象 |
再生可能エネルギーとFIT電気の違いについて
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力といった常に存在する自然界のエネルギーのことです。
一方FIT電気とは、再生可能エネルギーで発電した電気のうち、FIT制度によって買い取られた電気のことです。
FIT制度で買い取られた電気には、環境価値がないのが特徴です。再生可能エネルギー由来の電気には本来なら環境価値がありますが、FIT制度で買い取られた時点で環境価値が切り離されます。
これは、FIT制度で買い取る際の費用の一部を消費者が負担しているためです。
毎月支払っている電気料金には「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」が含まれており、電気を使うすべての人がFIT電気の買取費用を一部負担していることになります。
消費者が購入費用を一部負担した電気を、電力会社が「クリーンな電力である」とアピールして販売すべきでないという考えから、FIT制度で購入された時点でその電気には電気としての価値だけが残ります。
国民負担をかけないNon-FIT再エネ電力「スマ電CO2ゼロ」
法人向け電力供給サービスを提供しているアイ・グリッド・ソリューションズには、「スマ電CO2ゼロ」というプランがあります。
アイグリッドは全国各地に屋根上太陽光発電所を建設し、そこで生み出されたNon-FITの再生可能エネルギー電気と再生可能エネルギー指定の非化石証書を組み合わせることで、再エネ100%かつ二酸化炭素排出量ゼロとなる電気を供給しているのが特徴です。
全国各地の太陽光発電所で発電した電気の余剰電力を活用しているため、太陽光の発電量が増える昼間の料金が割安に設定されています。
基本料金は0円で、エリアごとの電力量料金は以下のとおりです。
エリア | 1kWhあたりの電力量料金(税込) | |
昼間時間(9〜15時) | その他時間 | |
東北電力エリア | 28.80円 | 31.90円 |
東京電力エリア | 28.00円 | 31.00円 |
中部電力エリア | 28.00円 | 31.00円 |
北陸電力エリア | 24.00円 | 26.60円 |
関西電力エリア | 24.00円 | 26.60円 |
中国電力エリア | 25.00円 | 27.70円 |
四国電力エリア | 25.50円 | 28.30円 |
九州電力エリア | 26.20円 | 29.00円 |
※CO2ゼロ ショッププラン+の場合
スマ電CO2ゼロについて詳しくはこちら をご確認ください。
まとめ
非化石証書は電気の環境価値を可視化できるものです。
非化石証書は電力会社しか購入できませんが、同じような取り組みのグリーン電力証書やJクレジットは一般企業や自治体も購入できるため、再生可能エネルギー由来の電力を取り入れたいと考えている企業は各制度をチェックしてみましょう。
これまでは料金を比較し電気プランを選択してきた方も多いかもしれませんが、自分たちが使っている電気がどのようにして作られ、提供されているのか。その過程を知ることで選択するプランが変わるかもしれません。
▷関連記事
・「追加性」の高い再エネとは?再生可能エネルギーを選ぶ重要指標について解説!
・太陽光発電とはどんな発電システム?仕組みや歴史など基本情報を紹介!
▷グリラボSNSのフォローお願いします!!
Twitter @gurilabo
▷アイグリッドグループ