ストレージパリティとは?基礎知識〜補助金について解説

太陽光発電設備を導入する際に理解しておきたいキーワードのひとつが、「ストレージパリティ」です。「蓄電池を併せて導入するほうが経済的メリットが生まれる」という状態を指す言葉で、ストレージパリティ達成のための補助金制度もあります。

本記事では、ストレージパリティの概要を解説します。ストレージパリティ達成の方法や補助金制度についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ストレージパリティとは?

ストレージパリティとは、太陽光発電を導入するときに蓄電池を使用するほうが経済的メリットが大きくなる状態のことをいいます。わかりやすく表すと、「太陽光発電+電気代」のコストよりも「太陽光発電+蓄電池+電気代」のコストのほうが安くなる状態です。

蓄電池を導入すれば発電した電気を貯めておけるので、天候によって発電量が不安定になりがちという太陽光発電のデメリットを解消できます。しかし蓄電池の価格は高く、導入コストが高額になるため、普及を後押しするために蓄電池導入の経済的メリットを指すストレージパリティという考え方が生まれました。

具体的には、「導入コストは高いものの、蓄電池の導入によってランニングコストが下がることで、トータルで見たときの費用を下げられる」といった状態をストレージパリティといいます。

ストレージパリティの重要性

ストレージパリティが求められているのは、太陽光発電や蓄電池の普及を後押しするためです。

太陽光発電はクリーンな発電方法で普及を進めたい一方で、太陽光発電の電力買い取り価格が下がっていることや近年の電気料金の高騰によって、導入をためらう人も少なくありません。

蓄電池は、スマートフォンのバッテリーのように電気を貯めておけるものです。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、発電量が少ないときは蓄電池に貯めておいた電気を使用できるようになります。蓄電池によって太陽光発電による電気を無駄なく使えるようになれば、電気の購入量が減って電気代の節約が可能です。

このように「太陽光発電+蓄電池の組み合わせで導入すると経済的メリットがある」という状況を作り出すことで、太陽光発電や蓄電池の普及を加速させる狙いがあるのです。

ストレージパリティを達成するために企業ができること

太陽光発電を導入するなら、蓄電池も併せて導入してストレージパリティを達成したいと考える人も多いでしょう。

ストレージパリティを達成するためのポイントは、以下の2点です。

  • 価格の安い蓄電池を購入する
  • 補助金制度を活用する

上記2点について、以下で解説します。

価格の安い蓄電池を購入する

ストレージパリティを達成しやすくするには、蓄電池の導入費用を安く抑えるのがポイントです。価格が相場より低い蓄電池を探して、なるべく安く購入しましょう。

蓄電池を安く購入するには、まず最新ではなく型落ちのものを探してください。最新の蓄電池は機能性が高い分価格も高く設定されています。

また、容量の大きい蓄電池のほうが容量が小さめのものより安い傾向にあるため、できるだけ容量の大きい蓄電池を選ぶのもポイントです。いくつか候補を絞ったら、相場よりも安いかどうかの確認も忘れず行いましょう。

補助金制度を活用する

国は太陽光発電の普及を進めたいため、ストレージパリティに関する補助金制度も存在します。補助金制度を活用すると蓄電池の導入に関する費用負担が軽減されるので、ストレージパリティ達成への近道です。

例えば国の補助金制度である「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)」を活用すると、蓄電池などを導入する際に補助金が交付されます。そのほか、独自の補助金制度を実施している自治体もあります。

太陽光発電と蓄電池の導入時には、国や自治体のHPをチェックして補助金の有無を調べてみましょう。

国の補助金制度については以下でも詳しく紹介するので、参考にしてください。

【2025年度】ストレージパリティの補助金制度について

ここでは、国が行うストレージパリティに関する補助金制度について解説します。

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金について

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)は、民間企業などが自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池を導入する際に活用できる補助金です。

令和7年度の公募は7月4日に終了しているため、今年度の申請はできません。来年度以降の情報は公式HPなどでこまめにチェックし、最新情報を入手してください。参考として、令和7年度の一次公募の概要を下記に記載しておきます。

導入設備

基準額

太陽光発電

・1kWhあたり4万円

・オンサイトPPAやリースモデルの場合:1kWhあたり5万円

・戸建住宅の場合:1kWhあたり7万円

定置用蓄電池

・産業用蓄電池:1kWhあたり定額3.9万円

・家庭用蓄電池:1kWhあたり定額4.1万円

※間接補助対象経費の3分の1 を上限とする

車載用蓄電池

蓄電池容量 (kWh)の2分の1×4 万円

※最新の CEV 補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」を上限とする

充放電設備

公共施設・災害拠点:機器費2分の1(※最新の CEV 補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」を上限とする)、設置工事費1基あたり95万円の合計

公共施設・災害拠点以外:機器費3分の1(※最新の CEV 補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」を上限とする)、設置工事費1基あたり15万円の合計

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の要件

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)の要件には、以下のようなものがあります。

・太陽光発電設備とともに、定置用蓄電池もしくは車載型蓄電池を導入すること

・本事業で導入する設備によって非常時の電力を供給できること

・本事業による温室効果ガスの削減効果が需要家に帰属すること

・補助対象設備の法定耐用年数が経過しないうちは、本事業により取得した環境価値をカーボンクレジットとして登録しないこと

上記の他にも複数の要件があるため、応募の際はすべての項目に目を通しておきましょう。

参考:【公募のお知らせ】令和6年度(補正予算)および令和7年度予算二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募について

まとめ

ストレージパリティとは、太陽光発電と蓄電池を組み合わせるほうが、蓄電池を使用しない場合よりも経済的メリットがある状態のことです。蓄電池によって太陽光発電による電気を無駄なく利用できるため、太陽光発電を導入する際には蓄電池の導入も併せて検討してください。

ストレージパリティの達成によって太陽光発電や蓄電池の普及が進むとして、国や自治体では蓄電池の購入に対する補助金事業を実施しています。蓄電池の導入時には、自社が補助金の要件に該当するかも確認しておきましょう。

グリラボでは、このようなクリーンエネルギーに関する国の事業やニュース等について発信しています。環境に配慮した経営に取り組む企業担当者の方は、ぜひ他の記事もチェックしてみてください。


▷関連記事

蓄電池とは?種類やメリット・補助金について解説

欧州のEVと充電スタンド普及を支えるカーシェア 【専門家コラム①】

【最新版】日本における発電の割合|今後の普及はどうなる?

▷グリラボSNSのフォローお願いします!!

Twitter @gurilabo

▷アイグリッドグループ

シェア