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ウォルマートのギガトンPPAとは?概要やプログラム詳細を紹介

脱炭素社会に向けて世界的に再生可能エネルギーへの注目が集まりつつある中、PPAを導入する企業が増えています。PPAとは太陽光発電を導入する方法の一つで、初期費用をかけずに再生可能エネルギーを導入できるのが最大のメリットです。

本記事では、そんなPPAの中でもウォルマートが行っている取り組み「ギガトンPPA」について、概要やプログラムの詳細を紹介します。再生可能エネルギーやクリーンエネルギーに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

そもそもPPAとは?

PPA

PPAとはPower Purchase Agreementの略で、日本語では電力購入契約と呼ばれます。PPAは太陽光発電を導入する方法の一つで、企業や一般住宅が太陽光発電設備の設置場所を提供する代わりに、初期費用無料で設備を設置してもらえる仕組みです。

契約期間中は太陽光発電の開発事業者が設備を所有しているため、設備の購入費やメンテナンス代がかからない分リスクの低い投資といえます。

PPAは基本的に10〜20年単位の長期契約となりますが、その間電気料金に変動がなく経済的であることが特徴です。また、クリーンエネルギーの使用により温室効果ガスの排出削減に貢献できるだけでなく、企業のイメージアップや投資家からの資金を確保しやすくなるなどのメリットも得られます。

ここ数年の化石燃料高騰により火力発電や原子力発電のコストが高くなっている一方で、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーのコストは下がりつつあります。再生可能エネルギーに切り替える際にPPAを選ぶことは、企業にとってリスクの少ない方法といえるでしょう。

ただし、低リスクな投資とはいえ一般的な企業が大規模なPPAに参加するのはなかなか難しい一面もあります。自社の事業所の移転や建て替えの際に設備を簡単に移動できないことや、設置場所の条件や経営状況などの審査があるからです。

そこで、アメリカの大手スーパーマーケットチェーンであるウォルマートがリーダーシップを取り、サプライヤー企業がPPAに参加できる機会を提供しているのがギガトンPPAです。

ウォルマートのギガトンPPAとは?

ギガトンPPAとは、ウォルマートが実施する温室効果ガスを削減する取り組み「ギガトン・プロジェクト」の代表的なプログラムです。ギガトン・プロジェクトはウォルマートのサプライヤーならどの企業も参加することができ、エネルギーの他に農業や廃棄物、森林保全などによって地球環境問題への取り組みを行っています。

ギガトンPPAはウォルマートのサプライチェーン全体で二酸化炭素の削減を目指すものであり、2030年までに1ギガトン(10億トン)の削減を目指すものです。同時に、2025年までに自社事業における再エネ化50%、2035年までに100%という目標も掲げています。

ギガトンPPAはSchneider Electricと協業して実施

ギガトンPPAのプログラム設計や調整、実施は、エネルギーマネジメントなどを行うフランスの企業Schneider Electricが行っています。Schneider Electricは「あらゆる人がエネルギーや資源を最大限活用することを可能にし、世界の進歩と持続可能性を同時に実現すること」を目的とした企業です。

再生可能エネルギーの供給元を確保することはもちろん、プログラムに参加している企業への教育など統括的なプロデュースを行っています。

またSchneider Electricは、再生可能エネルギーやクリーンテクノロジーソリューションを開発する世界中の組織が集まる、NEO(New Energy Opportunities)ネットワークというコミュニティも手がけているのが特徴です。

NEOネットワークは費用対効果が高く質のいい再生可能エネルギーを世界中から確保している団体であり、NEOネットワークメンバーになることで、信頼できる専門家の紹介や技術の提供等をしてもらえます。ウォルマートのサプライヤーなら、希望すれば誰でも加入することが可能です。

ウォルマートを通じて他社もPPAを購入できる

先述したように、一般企業がPPAに参加するのは容易なことではありません。そこで、ウォルマートを通じて再生可能エネルギーを購入できるギガトンPPAを活用することで、どの企業も小口で再生可能エネルギーを購入できるようになり、温室効果ガス削減に向けた取り組みが行えるようになります。

ギガトンPPAに登録をしたサプライヤー全員が参加可能

ギガトンPPAはギガトン・プロジェクトに登録しているサプライヤーなら誰でも参加が可能です。現時点ではアメリカ国内のサプライヤーのみを対象としていますが、将来的には他地域のサプライヤーも参加できるようになる可能性があります。

登録の際は、まずギガトンPPAの公式HPにある登録ボタンをクリックし、ギガトン・プロジェクトのポータルサイトからサプライヤーの認証情報と登録フォームへの記入を行います。登録が完了すると、ギガトンPPAエデュケーション・ポータルにアクセスできるようになり、さまざまな資料を閲覧することが可能に。

その後、電力負荷の大きさなど事業に関する情報を提供することで、プロジェクト参加への適合が判断されます。PPAカリキュラムが終了し、ギガトンPPAへの参加が適切と判断されれば、PPAの購入を検討できるようになるという流れです。

目標は2030年までに10億トンの温室効果ガスを削減すること

ギガトンPPAを含むギガトン・プロジェクトの目標は、2030年までに世界的なバリューチェーンにおいて1ギガトン(10億トン)の温室効果ガスを削減することです。温室効果ガスの排出を抑えるには、サプライヤーである多くの企業が参加することが不可欠です。

ギガトンPPAのまとめ

アメリカの大手スーパーマーケットチェーンであるウォルマートがリーダーとなり取り組む大規模なPPA、ギガトンPPAについて紹介しました。ウォルマートのサプライヤー企業の多くがPPAに参加することで、地球全体の温室効果ガスを減少させられる可能性が高まります。

世界中が脱炭素に向けた取り組みを行う中、大企業が先陣を切って再生可能エネルギーを進めていくことは有意義なことです。今後も地球環境問題の改善に向けた企業の取り組みに注目しつつ、個人の私たちもできることから始めていきましょう。

 

 

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