知識

日本は遅れている?脱炭素社会へ向けた目標と取り組みを紹介

脱炭素社会とは、CO2の排出量をゼロにできる社会のことです。地球温暖化への対策が待ったなしの状況になっている中、諸外国とともに日本でも脱炭素の取り組みが進んでいます。

そこで本記事では、脱炭素社会とは何か、日本の脱炭素化の現状、かかげている目標、取り組み、民間企業のユニークなサービスなどを解説します。自社の施策を検討するために役立てたり、脱炭素の知識を身に付けたりするために役立ててください。

脱炭素社会とは「CO2実質ゼロ」の社会のこと

「脱炭素社会」とは、CO2の排出量がゼロの社会のことです。「脱炭素社会」が世界各国の目標になったのは、2015年のパリ協定や、同じ年に国連で全会一致によって採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のクリーンエネルギー化の目標などがきっかけです。

この記事では、日本の脱炭素社会化の取り組みや現状を解説していきますが、その前に混同しやすい以下の用語を整理しておきましょう。


用語 意味
脱炭素 CO2の排出量をゼロにする
カーボンニュートラル CO2排出量と吸収量を合わせてプラスマイナスゼロにする
低炭素 CO2の排出量を低く抑える

日本を含む国際社会は、2015年以前は低炭素を目指していましたが、それでは以下の目標を達成できません。

・平均気温の上昇を2℃に抑え、1.5℃に抑える努力を追求(パリ協定)
・2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す(SDGs)

そこで、脱炭素にかじを切ったわけです。そして、脱炭素を実現する中間目標として、カーボンニュートラルがあるわけです。

脱炭素社会で日本がかかげている目標は?

脱炭素化社会の実現に向けて、日本がかかげている主な目標は以下の2点です。

1.”2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けること”

2.”2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す”

引用:日本の排出削減目標|外務省

1の引用は米国主催気候サミットでの宣言、2の引用はパリ協定に基づいて国連に提出した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の内容です。

この目標を達成するために、政府は国内に向けた以下の脱炭素ロードマップを発表しています。


2025年度まで 2021年からの5年間を集中期間として、政策を総動員し、人材・技術・情報・資金を積極支援
全国で自家消費型太陽光、省エネ住宅、ゼロドラなど重点対策の実施
2030年度まで 少なくとも100カ所の脱炭素先行地域をつくる
2050年度まで 2050年を待たずに、続々と脱炭素を実現する地域が増える(脱炭素ドミノ)
脱炭素で強じんな活力ある地域社会を全国で実現

日本の脱炭素化が「遅れている」と言われる理由

日本は化石燃料に頼って成長を進めてきたため、脱炭素化が遅れています。以下、専門家の意見を引用します。

“日本はこのルールチェンジに、非常に遅れをとっています。なぜならば、日本は明治維新以降、重工業を推進してきました。それらはまさに、旧来の垂直統合型のビジネスモデルでした。日本は、このモデルで大成功を収めた国で、社会全体がこれに沿うように構築されています。

だからこそ、そこからの脱却に遅れをとっているのが現状だと言えます。エネルギーに関していうと、日本は化石燃料を扱う旧来の方法が優先されており、再エネへのシフトに遅れています。”

引用:世界に遅れをとる日本。「脱炭素社会」に向けて、日本企業は何に取り組むべきか?|千葉商科大学

 

つまり、脱炭素化が遅れの原因である化石燃料の背景には、生産から販売まで行う大企業に最適化されたエネルギー政策があります。そして、この構造は簡単に変えられず、再エネ導入が遅れ、現在も十分に進んでいないということです。

実際、日本は資源に乏しいこともあり、石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料へのエネルギー依存度は東日本大震災前には81.2%でした。その後の原子力発電所停止後の2017年には87.4%まで上がりました。また、2021年時点での再エネの導入量は、イギリス、ドイツに比べると半分以下の18%しかありません。

 

脱炭素社会のために行われている日本の取り組み

脱炭素社会への道のりが厳しい日本ですが、国が主導するプロジェクトも立ち上がっています。ここでは、自治体レベルで取り組む「カーボンゼロシティ」、個人の行動変容を促す「COOL CHOICE」、発電効率を高める「エネルギーミックス」の3つを紹介します。

カーボンゼロシティ

カーボンゼロシティとは、CO2排出量の実質ゼロを目指す自治体のことです。環境省が温室効果ガスを減らすために推奨し、全国の市区町村が目標実現に向けて動き出しています。

カーボンゼロシティは炭素排出がゼロのように思えますが、「実質ゼロ」とあるように、カーボンニュートラルの取り組みです。これを踏まえて、幾つかの具体例を紹介します。

北海道札幌市 ・省エネ住宅の独自基準を定め、条件を満たすと補助金を受けられる
・寒冷地でのCO2排出量はとりわけ多いため、全国基準より厳しい独自基準をクリアした建物を優遇する
神奈川県横浜市 ・2050年までにエネルギー消費量を半分にして、再エネ由来エネルギーに100%をまかなう
・そのために、2030年までに全ての一般公用車を燃料電池自動車およびハイブリッド自動車にする取り組みなどを進めている
愛知県蒲郡市 ・家庭ごみ排出量を1人1日あたり500gを目標に、「ごみ減量地域説明会」を各地で開催

COOL CHOICE

COOL CHOICEとは、カーボンニュートラルにつながる個人の行動、ライフスタイルの変化を推奨する環境省主催の運動です。具体的には、以下のようなアクションがあります。

エネルギーの節約・転換 再エネ電気に契約する、宅配物をまとめて受け取るなど
省エネ住宅に住む 太陽光発電システムの導入など
交通手段の選択 自転車での移動、カーシェアリングなど
フードロス対策 食べ残しを減らす、家庭用コンポスト(有機物で生ゴミを分解する装置)の利用など
衣服の選択 環境に配慮した素材の衣服を選ぶなど
3Rの意識 リデュース、リユース、リサイクルを意識する
CO2排出量が少ない製品・サービスを選ぶ 分別廃棄できる商品を選ぶなど
環境保全活動への参加 植林、ブルーカーボン(海草・海藻類)運動などへの参加
参考:COOL CHOICE:カーボンニュートラルの実現に向けて、未来のために、今選ぼう。|COOL CHOICE

エネルギーミックス

エネルギーミックスとは、火力や原子力、再エネなど、さまざまな方法を組み合わせて発電することです。エネルギーミックスによって、環境保全・経済性・エネルギー供給のバランスの取れた、効率的な発電を目指します。

経済産業省が2030年度に目標としているエネルギーミックスは以下のとおりです。

  日本(2030年) ドイツ(2021年上半期)
再エネ 22~24% 55.8%
原子力 20~22% 12.3%
天然ガス 27% 11.5%
石炭 26% 6.0%
石油 3% 13.7%
出典:日本のエネルギー2018 「エネルギーの今を知る10の質問」|経済産業省
出典:German Net Electricity Generation in First Half of 2020: Renewables Reach Record Share of 55.8 Percent |Fraunhofer ISE

上の表にあるように、日本の目標を2021年時点で再エネの割合が半分を超えたドイツなどと比べますと、遅れが目立つと言わざるを得ません。しかし、民間企業の中から新たなビジネスモデルも登場してきました。最後に脱炭素へ向けた日本企業の取り組み事例を紹介します。

 

脱炭素へ向けた日本の取り組み事例

アイ・グリッド・ソリューションズでは、事業所や店舗がCO2排出量実質ゼロで電気を利用できる「スマ電CO2ゼロ」というサービスを提供しています。事業者は再エネ関連の設備を導入することなく、電気プランの変更だけで、脱炭素化に向けた効果的なアクションを起こせます。

「スマ電CO2ゼロ」は環境省が補助金を交付する「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」の対象となる「再エネ電力メニュー」にも選定されています。事業者の負担なく効果的に脱炭素化の輪を広げていける「スマ電CO2ゼロ」は、離島を除く全国で利用可能です。

 

まとめ

CO2の排出量をゼロにする脱炭素化社会の構想は、待ったなしの対策を求めた「パリ協定」と「SDGs」をきっかけに具体化しています。しかし、化石燃料に頼る部分が多い日本では脱炭素化が大きく遅れてしまっているのが現状です。

ただし、日本でも自治体が取り組むカーボンゼロシティ、個人の行動変容を勧めるCOOL CHOICE、発電効率を高めるエネルギーミックスなどの対策が進んでいます。また、アイ・グリッド・ソリューションズの「スマ電CO2ゼロ」のような効果的なサービスも登場してきました。脱炭素化社会実現のために、一人一人が主体的に参加したいものです。

 

▷グリラボSNSのフォローお願いします!!

Twitter @gurilabo

▷アイグリッドグループ

シェア