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グリーン電力証書とは?購入方法含めわかりやすく解説

企業ができる環境問題の取り組みのひとつに、グリーン電力証書の購入があります。グリーン電力証書は、自社が再生可能エネルギー由来の電力を使用していることを、外部に証明するために利用できるシステムです。

本記事では、グリーン電力証書の概要や発行の流れ、具体的な購入方法について解説します。環境負荷の少ない経営を目指している企業の担当者は、ぜひ自社の活動にお役立てください。

グリーン電力証書とは?購入方法含めわかりやすく解説

Eco friendly renewable energy concept. 3d rendering of green power button sign on fresh spring meadow with blue sky in background.

グリーン電力証書とは?

グリーン電力証書とは、再生可能エネルギー由来の電力(グリーン電力)を環境価値として証明する書類です。再生可能エネルギーの発電設備を持つ事業者の発電量に対して証書が発行され、それを企業や団体が購入することで再エネの利用に貢献していると認められる制度です。

証書を購入した企業や団体は、自社で再エネの発電設備を所有していなくても、グリーン電力証書を購入することで再エネの利用に貢献していると公式に認められます。環境に配慮した対策を行う意思はあるものの、資金や設置箇所の問題によって再生可能エネルギーの設備を導入できない企業にとって有益な制度といえるでしょう。

近年では、どの企業においても環境負荷の少ない経営活動を行うことが求められています。グリーン電力証書を購入すれば、自社の環境負荷削減への貢献度を社外にアピールすることが可能です。

グリーン電力証書が発行〜購入されるまでの流れ

グリーン電力証書が発行され、企業や団体が購入する際の流れは以下のとおりです。

①発電事業者が再生可能エネルギーを使って発電する

②発電事業者が発電量に基づいてグリーン電力証書を認定機関に申請し、証明書を発行してもらう

③発行されたグリーン電力証書が、発電事業から環境対策に取り組む企業や団体に販売される

④グリーン電力証書を購入した企業や団体は、その分の電力を再エネ由来として公式にカウントできるようになる

グリーン電力証書の発行事業者

グリーン電力証書の発行事業者は、2024年11月時点で全国に43団体あります。一部の団体を紹介します。

・(株)アイ・グリッド・ソリューションズ

・日本自然エネルギー(株)

・サミットエナジー(株)

・(株)ライジングコーポレーション

・ディーアイシージャパン(株)

・(株)九電工

・国際航業(株)

・ヒューリックプロパティソリューション(株)

・(株)GAクリスタル

・スマートエコエナジー(株)

・大阪ガス(株)

・(株)エナーバンク

・(株)グリーンサービス

・八千代エンジニヤリング(株)

・スマートソーラー(株)

・やまがたグリーンパワー(株)

・(株)エネット

・三峰川電力(株)

・イーゲート(株)

・デジタルグリッド(株)

非化石証書やJクレジットとの違いは?

グリーン電力証書以外に環境価値を取引する方法として、非化石証書とJクレジットという制度があります。それぞれの特徴と、グリーン電力証書との違いを簡単に解説します。

・非化石証書

非化石証書とは、化石燃料以外で発電された電力を使うことを環境価値として証書にし、取引できるようにしたものです。グリーン電力証書が再生可能エネルギー由来の発電のみを対象としているのに対し、非化石証書は原子力発電なども対象としていることが大きな違いです。また、証書の認証を第三者機関ではなく、国が行うことも特徴です。

・Jクレジット

Jクレジットとは、二酸化炭素などの温室効果ガスを削減・吸収した分を国がクレジットとして認証し、企業活動のカーボン・オフセットなどに活用できる制度のことです。Jクレジットは再生可能エネルギーの活用のほか、省エネ機器の導入や森林活動など、さまざまな温室効果ガス排出量削減のための行動が認証の対象とされていることが特徴です。

グリーン電力証書を購入するメリット

グリーン電力証書を購入することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。例えば、以下のようなが挙げられます。

企業のイメージアップにつながる

グリーン電力証書は、再生可能エネルギーの普及に貢献している証明となるため、環境問題に取り組んでいる企業であることを社外にアピールできます。環境問題に取り組む企業は取引先や消費者から良いイメージを持ってもらえるだけでなく、投資家からも注目を集めやすいことがメリットです。

近年では、投資家は地球環境にやさしい経営を行う企業を評価する傾向にあり、投資判断の基準にもなっています。経営を継続するために資金調達をしたいと考える企業にとっては、グリーン電力証書を購入することはひとつの選択肢となるでしょう。

グリーン電力を購入した企業は、日本自然エネルギー(株)が提供する「グリーンパワーマーク」を公式HP上などで表示することが可能です。

RE100など環境報告書に活用できる

グリーン電力証書に記載された電力量は、自社が削減した温室効果ガスとして国際的なイニシアチブでの報告に活用できます。グリーン電力証書を購入することで、温室効果ガスを削減した証明が可能です。

グリーン電力証書に関係する国際イニシアチブはRE100・CDP・SBTの3つあり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

・RE100

自社の経済活動で使用するエネルギーをすべて再生可能エネルギーでまかなうことを目指す企業が加盟する組織

・CDP

企業や自治体の温室効果ガス排出削減や気候変動への取り組みを評価する組織

・SBT

企業が科学的根拠に基づいて定めた中長期的な温室効果ガス削減目標について認定する組織

気候変動やエネルギー不足へ対応できる

グリーン電力証書を購入することは、地球にやさしいエネルギーを使用していることを意味するため、自社を気候変動やエネルギー不足から守ることにもつながります。年々深刻化している地球温暖化をはじめとした環境問題に対応するためには、再生可能エネルギーの利用促進が有効です。

グリーン電力証書は、自社に発電設備を持たない企業が再生可能エネルギーを使用するための選択肢のひとつとなります。また、グリーン電力証書の購入によって再生可能エネルギーの普及を促すことで、日本全体のエネルギー不足対策にもつながります。

グリーン電力証書を購入するデメリット

グリーン電力証書のデメリットは、価格が高いことや市場規模が小さいこと、法的拘束力がないことなどが挙げられます。

グリーン電力証書は、1kWhあたりおよそ4〜15円で取引されます。前述した非化石証書は1kWhあたりおよそ0.4円、Jクレジットはおよそ1円であるため、グリーン電力証書は価格的なデメリットが大きいといえます。グリーン電力証書を普及させるためには、中小企業や自治体が購入しやすい価格設定にすることがひとつの課題です。

グリーン電力証書の価格が高いことは、市場規模が小さいことにも関係しています。グリーン電力証書の発行量は非化石証書のおよそ300分の1、Jクレジットのおよそ3分の1と少なく、供給が不安定な一面があります。

また、グリーン電力証書は国の制度ではなく、民間企業が認証する制度のため法的な拘束力を持ちません。省エネ法や地球温暖対策推進法などの、温室効果ガス排出算定や報告に使用できない点もデメリットといえるでしょう。法的な保障を受けたい場合は、別途「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」によって国から認証を受ける必要があります。

グリーン電力証書を購入する方法

企業がグリーン電力証書を購入する際の、具体的なステップを解説します。

・購入目的を明確にする

グリーン電力証書は、購入する目的によって適切な購入先が変わります。自社のイメージアップのためなのか、国際イニシアチブへの報告に使用するためなのかなど、まずは目的を明確にしましょう。

・購入先の発行事業者を選択する

グリーン電力証書の発行事業者のなかから、自社に合った購入先を検討します。発行事業者によってサービス内容や証書の単価が異なるため、できるだけ詳しく調べましょう。

・見積もりを依頼する

発行事業者が決まったら、見積もりを依頼します。見積もりの計算方法は業者によって異なりますが、以下の方法で計算することが多いでしょう。

グリーン電力証書の価格=想定する使用電力量(kWh)×グリーン電力の使用割合(%)×単価(円/kWh)

上記に発行手数料や消費税を足した額が、実際の購入金額となります。

・グリーン電力証書を購入する

見積もりの金額と予算が合えば、発行事業者と契約を交わし、証書を購入します。証書にはシリアルナンバーや発電の種類、CO2削減量などが記載されているので、契約内容と合っているかどうか確認しましょう。

・外部に公表する

購入したグリーン電力証書についての説明文を作成し、自社HPなどで公表します。説明文の作成方法は「表現等に関するグリーン電力証書所有者用ガイドライン」を参考にするか、発行事業者がサポートしている場合もあるので確認してみると良いでしょう。

地球環境を守るためにできることからはじめよう

グリーン電力証書は、再生可能エネルギー設備を導入できない企業でも再エネの普及に貢献し、それを外部に証明できる方法のひとつです。環境問題に貢献できる取り組みを検討中の企業は、自社の目的や予算に合わせてグリーン電力証書を活用するといいでしょう。

また、再生可能エネルギー由来の電力を自家発電したい場合は、屋根上ソーラーパネルなどの選択肢があります。太陽光発電によって自社の電力をまかないたいと考えている経営者や企業担当者は、お気軽にアイ・グリッド・ソリュージョンズまでご相談ください。

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