MaaS時代において儲かるビジネスの種を見つけるために必要なものは?
by リブ・コンサルティング
こんにちは。MaaS Hack編集部です。
日本で「MaaS元年」と言われてからはや2年が経ち、日本を含む世界でのMaaSビジネスが次々と興っていることを私自身肌身で実感しております。
2017年時点では約2兆7,000億円だった世界のMaaS市場が、2025年には約25兆円まで拡大するとされており、毎年130%成長している市場という試算になります。
まるでゴールドラッシュを彷彿とさせるような盛り上がりに当たると考えます。
ゴールドラッシュ当時の影響は相当なもので、1846年に人口200人ほどの小さな開拓地が1852年には3万6千人の新興都市に成長し、カリフォルニア中に道路・教会・学校・町が建設された他、州憲法が起草されるなど法整備にも影響を与え、多くの開拓者たちが押し寄せたことで、新たな交通体系が発展し、蒸気船・鉄道などが敷かれ定期就航するようになったと伝えられております。
皆さんの中でご存じの方も多いかもしれませんが、ゴールドラッシュで生まれたのはかの有名なジーンズメーカーのリーバイスという逸話が存在します。また、ゴールドラッシュで一番儲かったのは金を掘りに行った人ではなく、金を掘るための道具としてスコップを提供した人ともいわれております。
このエピソードは、よく盛り上がっている市場の周辺にこそ儲かるチャンスが転がっているという逸話で利用されますが、裏を返せば、「金を掘るためには、スコップやジーンズなど全員に共通して必要な道具をしっかり揃えなければならない。」とも言い換えられるのではないでしょうか?
そこで、次のゴールドであるMaaSビジネスにおける、「スコップ」や「ジーンズ」は何か?といった観点でお伝えしようと思います。
MaaSビジネスを興すにあたっての必要な要素は何か、という点で有益な見方をお伝えできればと思います。
▼目次 |
1.MaaSビジネスという「ゴールドを掘り当てる」ために必要な要素とは? |
2.MaaSビジネスにおける「ヒト」とは? |
3.MaaSビジネスにおける「知識」とは? |
4.MaaSビジネスにおける「試金石」とは |
<参考> |
1.MaaSビジネスという「ゴールドを掘り当てる」ために必要な要素とは?
例えば皆さんがMaaSビジネスを始めようとした時、何が必要になると思いますか?
皆さんが金採掘の会社の社長だとしたら、何が必要になりますか?
まずは「ヒト」だと思います。金を一緒に掘ってくれる仲間を集める必要がありますよね。
「ヒト」が確保できたら次に何が必要になりますか?
カリフォルニアのどの川沿いに行けばより多くの金が採れるのか、どこが好戦的なインディアンの集落で近づいてはいけない場所なのか、把握する必要があると思います。
「知識」ですね。
では、次に金を掘り当てたとしましょう。でもそれは本当に金ですか?
ただの石ころではない保証がないかと思います。
次に必要なのは、それが本当に価値のある金なのかを判断するための「試金石」だと思います。
次の章以降、詳しく見ていければと思います。
2.MaaSビジネスにおける「ヒト」とは?
MaaSビジネスを新たに始めるにあたって必要な仲間とはどのような人だと思いますか?
「これから金を掘りに行くぞ」と言っている傍で、「それって儲かるの?」「危ないんじゃないの?」とリスクばかり見て尻込みしている人は対象外ですよね。
「MaaSビジネスという単語でワクワクする人」はまず必要だと思います。
では、リスクを恐れず能天気な人であれば良いのでしょうか?もちろん違います。
答えのないMaaS領域において、柔軟な発想を持ち、具体的に仮説を構築し、関係者に積極的に働きかけながら現実世界で検証できる人だと考えます。
皆さんがMaaSビジネスを始める際には、上記の点を持っているかどうか確認頂けたらと思います。
3.MaaSビジネスにおける「知識」とは?
ここでいう知識とは、上記の「ヒト」が両立しているならばベストでしょうが、必ずしも両立している必要はないと考えます。
一番大事なのは、組織体として、正しい知識に基づいて素早く行動できるか、が問われるため、それが実現できるならば必ずしも両立していなくても良いと考えます。
つまり、知識を与えてくれる人と行動する人がうまく組織的に連携できる仕組みが機能していれば良いということです。
では、ここでいうMaaSビジネスにおける「知識」とは何でしょうか?
それはMaaSビジネスに関わる広範な事例と法規制の2点だと考えます。
例えば、MaaSにおいては、より効率的でローコストな輸送を実現するために既存リソースを活用すると考えた場合、「貨客混載」という概念が必ず出てきます。
その時、ある交通機関において既に実現している事例を知っているかどうかで検証すべき論点が大幅に変わります。
要は、誰もやってことがないから自分たちで全て一からヒアリング・実証をやる必要があるのかどうかということです。
次に、法規制という点については、MaaSという特徴から、交通に関わる法に抵触するか否かがとても重要な観点となります。
ITであれば知財や情報保護法などもちろん必要な法知識を押さえておく必要がありますが、交通領域と比べると比較的少ないかと思います。
また、ITであれば仕様変更などにより法規制を回避することは可能ですが、MaaSであれば進めているビジネスが法規制に抵触してしまっていればそれはノックアウトファクターとなります。
従って、自分たちで必ずしも知っている必要はありませんが、外部の有識者など、法規制・事例に精通している知識として協力体制を確立している必要があると考えます。
4.MaaSビジネスにおける「試金石」とは
最後に、MaaSビジネスにおける「試金石」、つまり拾い上げた石が金かどうかを判断するためには何が必要でしょうか?
Ted Talkにおいてビル・グロス氏が「新規事業を成功させる一番の要因」というプレゼンで語った内容を参考にしましょう。
グロス氏は新規事業において成功を分ける要因として5つあると述べました。
・アイデア
・チーム
・ビジネスモデル
・資金
・タイミング
それらの内、過去の研究から最も成功を左右する要素は「タイミング」であると述べました。次に「チーム」ですが、これは本記事の上段に記述した通りです。
Uberが成功したのはもちろん潤沢な資金と良いチームにあるとは言えますが、一番の課題はドライバーがプラットフォームに参加してくれるかという点でした。当時は不況の中で、ドライバーの副収入が強く求められたという背景があり、うまくサービス拡大をさせることができたという見方があります。
つまり、今始めようとしているビジネスが解決できる負がより大きくなっている時期にあるのか、収束している時期にあるのかを見極める必要があるということです。
これが第三の要素としての「試金石」だと考えます。
以上、3点の注意点を参考にMaaSビジネス推進のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
<参考>
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