ISAP2024パラレルセッション「IGES 1.5℃ロードマップ紹介-1.5℃目標達成に向けた社会の変化と事業機会」アフターレポート
2024年7月23日、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)主催の第16回 持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2024)が開催されました。
このフォーラムはアジア太平洋地域の視点から持続可能な開発のための多様な議論を促進することを目的とし、持続可能な解決策をより主体的に模索していく場として各分野からさまざまなディスカッションが行われました。
その中の一つパラレルセッション「IGES 1.5℃ロードマップ紹介-1.5℃目標達成に向けた社会の変化と事業機会」についてアフターレポートとしてご紹介します。
1.5℃目標達成に向けた社会の変化と事業機会
ISAP2024では全体テーマを「地球のトリプル・クライシスを乗り越えるために必要な統合的アプローチとは」として、気候変動・生物多様性の損失・環境汚染という3つの危機を乗り越えるために、どのように対応していくか、そして持続可能な社会への移行を加速していくかについて各分野の専門家や有識者によって議論が行われました。その中のパラレルセッション『1.5℃ロードマップ– 脱炭素でチャンスをつかむ。未来をつくる。』で、IGESの栗山 昭久氏が「1.5℃ロードマップ」の内容を解説するとともにこのロードマップで挙げられている「20の好機」を実際の事業で活かしている企業の先進的な取り組みについて紹介しました。セッションの後半ではモデレーターにテレビ朝日の山口 豊氏、スピーカーとしてIGES栗山 昭久氏、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ秋田 智一氏、富士通株式会社大塚 尚子氏が登壇し、企業の取り組みを中心に意見交換を行い、これからどのように豊かで持続可能な社会につなげていくことができるか議論しました。
1.5℃ロードマップとは
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)が1.5℃目標の達成と持続可能で豊かな社会の実現に向け、これから起こるであろう社会の変化と、求められるアクションについてまとめたロードマップです。
【1.5℃ロードマップ】とは (IGES公式WEBサイトより)
地球全体の気温の上昇を1.5℃に抑えるために、気温上昇の原因となる温室効果ガスの排出削減への取り組みが急務とされ、これは世界的に加速しています。それに伴い大きな社会変化につながってきていますが、こうした変化を機会ととらえ、いち早く行動していくことが事業成長にもつながります。
IGESでは、豊かで持続可能な社会の構築に向けて、社会経済のあらゆる領域で起こりうる変化を捉えたロードマップをまとめました。変化を大きく5つのカテゴリーに分け、それぞれで起こりうる好機を整理し、こうした変化が行動変容につながり、よりよい社会循環が生まれることを提唱しています。
余剰電力循環スキームで再エネの地産地消を創り出す
前述のとおり、「1.5℃ロードマップ」で挙げられている「20の好機」を実際の事業に取り入れている先進的な企業として大和ハウス工業株式会社や富士通株式会社、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの事例が紹介されました。
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズでは、企業や自治体の再エネ自給率を最大化するGXソリューション事業などを行い、既存施設の屋根上に太陽光発電設備を設置し、国内最大規模で分散型の発電所を保有しています。本セッションでは、これらの国内に分散したエネルギーを集約し独自開発のプラットフォームによって統合管理していることや、この管理技術によって施設で使いきれない余剰電力量をAI予測し、アイ・グリッドが電源として活用し、他需要家へ電力供給する「余剰電力循環スキーム」を構築していること、これにより、屋根ポテンシャルを無駄にしないソーラー設置と再エネの最大循環の双方を実現していることについて紹介。
さらに、こうしたエネルギーの循環エリアを増やし、自然や景観を壊さないグリーンエネルギーの地産地消サイクルによって地域を脱炭素化する都市のあり方「GX City」を目指していることなどが、秋田氏から語られました。
社会経済の変化を前向きに取り込むことが重要
企業の事例紹介の後にはパネルディスカッションが行われ、今、ビジネスの現場では脱炭素の流れによってどのような変化が起きているか、またそれに対しどのように取り組んでいるのか、課題は何なのかなどさまざまな意見交換が行われました。脱炭素はビジネスにとって重荷ではなく、事業機会となることを再認識しました。
気候変動が進んでいることは日々の暮らしの中で感じていることかと思いますが、これらを止めるだけの技術革新、ソリューションはすでにあり、あとは実行するだけという段階、とモデレーターの山口氏が熱く語りました。会場が一体となり、どのような思考でどう行動するべきか、一緒に考える時間となりました。
それぞれの立場で、脱炭素を前向きにとらえよりよい未来につなげていきたいという強い思いが伝わる場となりました。
アイ・グリッド・ソリューションズでは、余剰電力循環スキームなどを活用し、企業や自治体の再エネ自給率を最大化させるソリューションを提案しています。
ぜひ、アイ・グリッド・ソリューションズにお問い合わせください。
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