水力発電とは?仕組み・メリットデメリット・課題やエネルギー変換効率まで徹底解説
GX(グリーントランスフォーメーション)が進む今、水力発電が再び注目を集めています。日本は世界第5位の水力発電ポテンシャルを持ち、エネルギー変換効率は80%を超える高い実力を誇ります。本記事では、水力発電の仕組みや種類、メリット・デメリットをはじめ、国内外の現状比較やGX企業が描く未来の展望まで、徹底解説します。
水力発電とは?GX(グリーントランスフォーメーション)時代に再注目される再生可能エネルギーの原点
いま再注目される水力発電について、その仕組みや特徴をわかりやすく解説します。
水力発電ってなに?位置エネルギーを電力に変えるクリーンな発電方法
水力発電とは、高所から低所へ水が流れ落ちる際の位置エネルギーと運動エネルギーを利用し、水車(タービン)を回転させて電力を生み出す発電方式です。
ダムや河川の上流部で水を貯留し、高低差を利用して水を落下させ、その勢いで水車を回転させ、発電機を動かして電力を生成します。
この方式の最大の特徴は、発電時に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない点です。こうした自然の循環システムにより、持続可能な純国産エネルギーとなっています。使用した水は河川へ戻り、蒸発して雨となって再びダムや河川へ還ります。
日本における水力発電の歴史と現状
日本における水力発電の歴史は古く、明治25年(1892年)に京都府で国内初の水力発電所が完成しました。その後、明治40年には山梨県の駒橋発電所、大正4年には福島県の猪苗代水力発電所が稼働を開始し、東京への長距離送電の先駆けとなりました。
戦前の日本では水力発電が火力発電を上回る「水主火従」の時代が続きましたが、高度経済成長期に電力需要が急増し、昭和38年(1963年)には火力発電の出力が水力発電を上回り、「火主水従」の時代へと移行しました。
2025年現在、日本の商用電力供給における水力発電の割合は約8%です。全国には2,000か所以上の水力発電所が存在し、その総出力は約2,200万kWに達します(2023年度時点)。
2022年度の国内の再生可能エネルギーによる総発電電力量のうち、水力発電が占める割合は約35%であり、低コストで昼夜を問わず安定的に発電できるベースロード電源として重要な役割を果たしています。
世界的に見ると、水力発電による発電量では中国が世界第1位で、年間約1兆2,000億kWhを発電しています。これは世界全体の水力発電量の約30%を占める圧倒的な規模です。
中国が1位である理由は、広大な国土と豊富な水資源、そして大規模なダム開発への積極的な投資にあります。三峡ダムをはじめとする巨大プロジェクトにより、水力発電を主要な再生可能エネルギー源として位置づけています。
日本の発電量は2022年時点で年間約860億kWhであり、世界第9位に位置しています。日本の包蔵水力(理論上利用可能な水力資源)は約1,200万kWと推計され、ポテンシャルとしては中国、米国、カナダ、ブラジルに次いで世界第5位の規模を持っています。
日本は降水量が世界平均の約2倍と豊富であり、山岳地帯を流れる河川により大きな高低差が得られる地理的特性が、この高いポテンシャルを支えています。
実はトップクラス!水力発電のエネルギー変換効率の高さを解説!
水力発電の最大の技術的優位性は、極めて高いエネルギー変換効率にあります。水力発電のエネルギー変換効率は約80〜90%に達し、火力発電(約30〜40%)、太陽光発電(約15〜20%)、風力発電(約20〜30%)と比較して圧倒的に高い数値です。
この高効率の理由は、水の持つ位置エネルギーを直接機械的な回転エネルギーに変換するため、熱エネルギーを介さず、変換ロスを最小限に抑えられる点にあります。水は重量があり、同じ体積でも太陽光や風と比べて遥かに多くのエネルギーを保持できるのです。
水力発電の仕組みと方式を図解でわかりやすく解説!
水力発電の仕組みや構造と3つの発電方式を図解を交えて解説します。
発電所の構造と仕組みを解説!取水→水圧→タービン→発電→送電の流れ
水力発電所の基本構造は、ダムまたは取水堰で水を貯留・取水し、水圧管路(ペンストック)を通じて発電所へ導きます。水圧管路を通った水は高い圧力を持って水車(タービン)に到達し、水車は水の運動エネルギーを受けて回転します。
水車に直結された発電機は、回転運動を電気エネルギーに変換します。発電機内部のコイルと磁石により、電磁誘導の原理で電力が発生し、変圧器で電圧を調整されて送電線を経由して需要地へ送られます。発電に使用された水は放水口から元の河川へ戻されます。

図1:ダム式水力発電の基本構造イラスト ダムにためた水の位置エネルギーを水圧管路で水車・発電機に伝え、電気に変えて送電する仕組み[出典:資源エネルギー庁]
水力発電の3つの方式を徹底解説|ダム式・流れ込み式・揚水式の違いと特徴
水力発電は構造物と水の利用方法によって複数の方式に分類されます。構造物による分類では、ダム式(河川にダムを建設して貯水)、水路式(河川の上流に取水堰を設けて水路を引く)、ダム水路式(ダムと水路を組み合わせる)の3つが代表的です。
水の利用方法による分類では、流れ込み式(川の流れをそのまま利用)、調整池式(1日~1週間分の発電用水を貯めて調整)、貯水池式(長期間の水を貯留)、揚水式(上部と下部に調整池を設け、昼間は上から下へ水を落として発電し、夜間は余剰電力で下から上へ水を汲み上げる)の4つがあります。揚水式は巨大な蓄電池として機能し、電力需給調整に重要な役割を果たします。

図2:揚水式発電の模式図(上池⇔下池、昼間は放流して発電・夜間は汲み上げ)] 揚水式発電は、昼のピーク需要時に発電し、需要の少ない時間帯に上池へくみ上げてエネルギーを蓄える“巨大な蓄電池”として機能する[出典:資源エネルギー庁]
水力発電の種類と特徴を規模・目的別にわかりやすく解説!
水力発電のさまざまな種類について、それぞれの特徴と、他の再生可能エネルギーと連携する次世代のモデルを解説します。
大規模ダム型|安定供給を支える主力電源
大規模ダム型水力発電は、出力が数十万kW以上に達する巨大施設です。代表例として関西電力の黒部川第四発電所(黒四ダム)があり、最大出力33.5万kWを誇ります。
1963年に完成したこのダムは、建設に7年の歳月と約513億円(当時)の費用を要しましたが、60年以上経過した現在も稼働を続けています。
また、揚水式では兵庫県の奥多々良木発電所が最大出力193.2万kWで日本最大規模を誇り、電力需要のピーク時や緊急時の調整電源として重要な役割を果たします。
一度建設されれば50年以上の長期運用が可能ですが、新規適地は既に多くの好適地で開発が進められており、極めて限定的です。
中小水力発電|地域密着型の分散エネルギー源
中小水力発電は、一般的に出力1,000kW〜3万kWの規模を指します。日本の包蔵水力(エネルギーとして利用可能な水力の総量)約1,200万kWのうち、その8割以上となる982万kWを3万kW未満の中小水力が占めており、今後の開発余地が大きいです。
中小水力発電の利点は、地形を大きく変える必要がなく、既存の農業用水路や河川を活用できる点です。地域に密着したエネルギー源として、地産地消の電力供給モデルを実現できます。固定価格買取制度(FIT)の導入により経済性も向上し、参入事業者が増加しています。
課題は、漁業権者や用水路管理者など、多様な利害関係者との合意形成に時間を要することです。
マイクロ水力発電|企業・自治体・個人でも導入可能な次世代モデル
マイクロ水力発電は、出力1,000kW以下の小規模発電を指します。横幅1m程度の用水路でも設置可能で、工場の排水や上下水道施設など、これまで未利用だった水資源を活用できる点が革新的です。
マイクロ水力発電の設備利用率は平均約60%と高く、太陽光発電の13〜16%、風力発電の25〜30%と比較して優れています。昼夜や季節を問わず安定した発電が可能なため、地域の電力供給源として注目されています。
導入コストは規模により異なりますが、農林水産省のかんがい排水事業では土地改良区における用水路を使った小水力発電の設置に対し、調査・設計費用の50%を補助し、さらに自治体が約25%を補助するケースもあり、初期投資の負担が軽減されています。
GXカンパニーが注目する再エネ連携型水力発電とは?
GX時代において、水力発電は単独の電源ではなく、他の再生可能エネルギーと連携する統合型電源としての役割が期待されます。太陽光発電や風力発電は天候に左右されやすいですが、水力発電は出力調整が容易であり、これらの変動を補完できます。
AI・IoT技術を活用した全体最適化により、複数の再エネ電源を統合管理し、安定した電力供給を実現する「再エネ連携型水力発電」のモデルが注目されています。先進的な取り組みとして先進企業では、こうした統合型エネルギーマネジメントシステムの構築を進めています。
GX推進のヒントはここに?水力発電のメリット・デメリットを徹底分析
水力発電のメリットとデメリットを分析し、GX推進における水力発電の可能性を探ります。
水力発電のメリット3選!なぜ水力発電が再エネの優等生といわれるのか
水力発電のメリットを3つ取り上げ、再エネの優等生と評される理由を明らかにします。
【メリット①】CO2排出ゼロ!!脱炭素に貢献するクリーンな電力
水力発電の最大のメリットは、発電時のCO2排出量は火力発電と比較して圧倒的に少ない点です。石炭火力発電では1kWh当たり約867gのCO2が排出されるのに対し、水力発電はわずか数gに留まります。この環境優位性が、脱炭素社会実現の切り札として期待される理由です。
日本政府は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、水力発電は太陽光や風力と同様、この目標達成に不可欠な再生可能エネルギーです。発電プロセスで化石燃料を使用しないため、大気汚染物質の排出もなく、空気の質を保つことにも貢献します。
【メリット②】天候に左右されにくく、安定かつ高効率なエネルギー供給を実現
水力発電は他の再生可能エネルギーより天候変動の影響を受けにくいです。太陽光発電は日射量に、風力発電は風速に発電量が大きく左右されますが、水力発電はダムなどの貯水施設により長期間の安定供給が可能です。
また、高いエネルギー変換効率により、投入したエネルギーの大部分を電力として取り出せます。さらに、ダムのゲート開度を調整することで、電力需要の変動に柔軟に対応でき、この調整能力がベースロード電源としての役割を支える重要な特性です。
【メリット③】貴重な純国産エネルギーとして高い潜在能力
日本のエネルギー自給率は約10%程度と低く、多くを海外からの輸入に依存しています。この中で水力発電は、国内の水資源のみで発電でき、化石燃料のように輸入価格の変動や供給途絶リスクにさらされることがありません。
長期運用が可能で、燃料費も不要なため、長期的に見れば極めて経済的なエネルギー源となります。管理・維持コストも他の発電方式と比べて安価であり、エネルギー安全保障の観点からも水力発電の重要性は高いです。
水力発電のデメリット3選!なぜ日本では大規模な水力発電が増えないのか
水力発電のデメリットを3つ取り上げ、水力発電が増えにくい理由に迫ります。
【デメリット①】莫大な初期コストと適地の地理的制約
大規模水力発電所の建設には莫大な初期投資が必要となります。ダム建設には数百億円以上の費用がかかり、工事期間も10年以上に及ぶケースが多いです。
さらに深刻な問題は、新規適地の枯渇です。残された適地の多くは、アクセスが困難な山間部や、環境保護区域と重複する地域です。
また、ダムは長い年月とともに底に土砂が堆積し、機能が低下します。定期的に土砂を撤去するメンテナンスが必要となり、その都度コストが発生します。少子高齢化により自治体の財政難が深刻化する中、多大なコストがかかる大規模開発への新規参入は困難な状況です。
【デメリット②】ダム建設が与える自然環境や生態系への影響
大規模ダムの建設は、周辺の自然環境に大きな影響を与えます。ダムにより河川が堰き止められると、上流部が水没し、そこに生息していた動植物の生息地が失われます。
魚類の移動経路が遮断されることも深刻な問題です。サケやアユなどの回遊魚は産卵のために川を遡上しますが、ダムがその経路を妨げます。
森林伐採による生態系への影響も看過できません。環境アセスメントの厳格化により、現在では環境への配慮が強く求められますが、それが調査期間の長期化やプロジェクト期間の長期化、コスト増加につながっています。
【デメリット③】変化する電力需要への対応
水力発電は渇水の影響を受けやすいという課題があります。豊水期には十分な発電が可能ですが、夏場の渇水期には水量が不足し、発電量が大幅に低下する場合があります。日本は降水量が多い国ですが、季節変動が大きく、この影響を完全に回避することは難しいです。
また、大規模水力発電は火力発電と比較して発電量の絶対値が小さいです。都心部の膨大な電力需要を水力発電のみでまかなうことは現実的ではありません。
再生可能エネルギーの普及により電力需要の変動パターンも複雑化しており、水力発電は調整能力に優れますが、変動幅の拡大に対応するには他の電源との連携が不可欠です。
日本の水力発電の導入事例を紹介!大規模・中小・マイクロモデルまで幅広く解説

日本の水力発電の具体的な事例について、規模別に幅広くご紹介します。
大規模ダム型の事例|国のエネルギー政策を支える基幹インフラとしての役割
日本を代表する大規模水力発電所として、黒部川第四発電所(黒四ダム)、兵庫県の奥多々良木発電所(最大出力193.2万kW)、福島県の奥只見発電所(最大出力56万kW)などが挙げられます。
これらの大規模施設は、日本の電力系統の安定性を支える基盤インフラとして機能しており、国のエネルギー政策において重要な役割を担っています。
中小水力発電の事例|農業用水路や河川を利用した地域共生型モデル
中小水力発電は地域密着型のエネルギー源として、全国各地で導入が進んでいます。農業用水路を活用したプロジェクトが特に多く、土地改良区が主体となって運営するケースが増加しています。
FITの導入も追い風となり、売電収入による採算性が向上し、地域で発電した電力を地域で消費する地産地消モデルとして、地域経済の活性化にも寄与します。
マイクロ水力発電の事例|工場の排水や水道施設を活用する企業・自治体モデル
マイクロ水力発電は、これまで未利用だった水資源を活用する革新的なモデルです。企業の工場排水、上下水道施設、浄水場など、既存インフラを活用した導入事例が増加しています。
清水建設やリコー、ヒューリックなどの大手企業も参入を表明しており、自社施設での発電に取り組んでいます。
自治体レベルでは、水道管の水圧を利用した発電システムの導入が進みます。水道管内の水圧は通常高く維持されていますが、需要地では減圧する必要があります。
この減圧時のエネルギーを発電に活用することで、捨てられていたエネルギーを有効利用でき、企業や自治体の新しい収益源として注目されています。
GX推進の中で浮かび上がる日本の水力発電が直面する新たな課題とは?
GX推進の追い風を受ける一方で、日本の水力発電が直面する現代的な壁を解説します。
【課題①】再エネ全体の最適化が進む中での位置づけの曖昧さ
GX推進により、太陽光、風力、バイオマスなど多様な再生可能エネルギーが導入される中で、水力発電の位置づけが曖昧になりつつあります。各電源が独立して開発されるため、全体最適の観点からの調整が不十分です。
水力発電は出力調整能力に優れ、他の変動性再エネを補完できる特性を持ちますが、この調整能力を最大限活用するための統合的なエネルギーマネジメントシステムが確立されていません。個別最適から全体最適への転換が求められます。
【課題②】AI・IOT活用の遅れによる全体効率の悪さ
水力発電所の多くは建設から数十年が経過しており、設備の老朽化が進んでいます。しかし、AI・IoT技術を活用した設備の近代化や効率化は十分に進んでいません。AIによる需給予測や最適運転制御により、発電効率を大幅に向上させる余地があります。
IoTセンサーによる設備の常時監視とメンテナンスの最適化も重要ですが、こうした技術導入への投資は十分に行われていないのが現状です。
【課題③】大規模開発の時間とコストという壁
大規模水力発電の開発には膨大な時間とコストがかかります。建設までに10年以上を要するケースも珍しくなく、この長期化がプロジェクトの実現を困難にしています。
環境アセスメントの厳格化により、調査期間が長期化しています。生態系への影響評価、地域住民への説明、各種許認可の取得など、クリアすべき手続きが多岐にわたります。
財政難に苦しむ自治体にとって、数百億円規模の初期投資は極めて重い負担です。民間資金の活用も検討されますが、投資回収期間の長さがネックとなります。FIT制度により採算性は向上しましたが、大規模開発への参入は依然として困難な状況です。
【課題④】GX事業と地域共生の難しさ
水力発電開発には、地域関係者との合意形成が不可欠です。漁業権者、用水路管理者、地域住民など、多様な利害関係者が存在し、それぞれとの調整に時間を要します。
特に水利権の調整は複雑であり、河川の水は農業、工業、生活用水など多目的に利用されているため、発電のために水を使うことへの理解を得るのは容易ではありません。
地域の理解を得るには、発電自体を目的とするのではなく、雇用創出、地域経済の活性化、災害時の非常用電源など、地域にもたらされるメリットを具体的に提示し、利害を共有することが重要です。こうした地域共生型のGX事業モデルの構築が期待されます。
課題を解決するためには?日本の水力発電の未来の展望
日本の水力発電が未来へ飛躍する鍵と未来の展望について解説します。
課題解決のカギは「リパワリング」「中小水力発電」「AI・IOT活用による全体連携ネットワーク」にあり
既存水力発電所のリパワリング(設備更新)が、効率的な発電量増加の鍵となります。古くなった発電設備を最新の高効率機器に更新することで、ダムの規模はそのままに発電能力を向上させられます。
エネルギー基本計画でも、既存ダムへの発電設備追加や老朽設備の更新が推進施策として掲げられています。
中小水力発電の積極的な開発も重要です。日本の包蔵水力の8割以上を占める中小水力は、大規模開発と比べて環境への影響が小さく、地域密着型の電源として期待されます。FIT制度により経済性も確保されつつあり、今後の導入拡大が見込まれます。
AI・IoT技術を活用した統合エネルギーマネジメントシステムの構築が、課題解決の決定打となります。水力発電を核として、太陽光、風力、蓄電池などを統合制御し、全体最適化を実現します。
需給予測AIにより、各電源の最適な運転計画を立案し、変動性再エネの出力変動を水力発電で補完することで、再エネ全体の安定供給が可能となります。アイ・グリッド・ソリューションズは、こうした全体連携ネットワークの実現に向けた技術開発とサービス提供を進めています。
再エネの主力電源へ。太陽光など他電源との連携が生み出す水力発電の価値
水力発電の真の価値は、単独の発電能力ではなく、他の再エネとの連携により発揮されます。太陽光発電は昼間の出力が高いですが、夕方以降は急激に低下します。
この変動を水力発電で補完することで、1日を通じた安定供給が実現できます。風力発電も気象条件により大きく変動しますが、水力発電の調整能力で平準化できます。
揚水式水力発電は巨大な蓄電池として機能し、余剰電力を位置エネルギーとして蓄えられます。太陽光発電の余剰電力を夜間に活用する、風力発電の出力変動を吸収するなど、他の再エネと組み合わせることで系統全体の安定性を高めます。
水力発電は、再エネ全体を支える「バックボーン」として、GX時代の主力電源を実現する重要な役割を担います。
2021年に改定された国の第6次エネルギー基本計画では、2030年度の再生可能エネルギー比率を36〜38%とする高い目標が掲げられました。その中で水力発電は全体の約11%(約1,038億kWh)を担う重要な電源と位置づけられています。
この目標達成には、リパワリングと中小水力の開発を組み合わせた総合的な取り組みが必要です。水力発電が再エネ全体の調整電源として機能することで、日本の再エネ主力電源化が現実のものとなります。
GX事業は「全体最適」の時代へ!アイ・グリッド・ソリューションズが描く未来のGXソリューション
GX事業の全体最適に具体的なソリューションを提供している企業も登場しています。ここではその一例を具体的に紹介します。
アイ・グリッドと始める、グリーンエネルギーが循環する未来「GX City」

アイ・グリッド・ソリューションズは、水力発電を核とした統合型エネルギーマネジメントの先駆者として「GX City」構想を推進しています。
これは、地域全体を一つのエネルギーシステムとして捉えるビジョンです。水力、太陽光、風力、バイオマスなど多様な再エネを最適に組み合わせ、グリーンエネルギーが循環する持続可能な都市を実現するビジョンです。
GX Cityでは、地域の水資源を活用した中小水力発電を基盤電源とし、太陽光や風力で変動する部分を補完します。余剰電力は揚水発電や蓄電池に蓄え、需要ピーク時に活用します。エネルギーの地産地消により、送電ロスを削減し、災害時のレジリエンスも向上させます。
また、地域住民や企業が参画するエネルギーコミュニティの形成も重視しています。地域で発電した電力を地域で消費し、得られた収益を地域に還元することで、経済循環を生み出します。これにより、GXが単なる環境対策ではなく、地域経済の活性化と雇用創出につながる成長戦略となります。
本記事で取り上げた水力発電の課題—再エネ全体の最適化、AI・IoT活用の遅れ、大規模開発のハードル、地域共生の難しさ—をすべて解決する包括的なアプローチとして、GX Cityは設計されています。
AI・IOTで実現する「R.E.A.L. New Energy Platform」による全体連携ネットワーク

再エネの最適活用や需給調整の課題に対し、具体的なソリューションを提供している企業も登場しています。その一つが、GX領域で注目される アイ・グリッド・ソリューションズ です。
同社が開発する「R.E.A.L. New Energy Platform」は、AI・IoT技術を駆使した次世代エネルギーマネジメントシステムです。このプラットフォームは、水力発電を含む多様な再エネ電源、蓄電池、需要設備を統合的に制御し、全体最適化を実現します。
AIによる需給予測機能により、気象データや過去の実績から将来の電力需給を高精度で予測します。太陽光の発電量予測、風力の出力予測、電力需要の予測を組み合わせ、水力発電の最適運転計画を自動生成します。
IoTセンサーによるリアルタイム監視により、各発電設備の稼働状況、水位、流量、出力などを常時把握し、異常の予兆を早期に検知し、故障を未然に防ぐ予知保全を実現します。
このプラットフォームは、単一の発電所を最適化するだけでなく、地域全体のエネルギーネットワークを統合管理します。複数の水力発電所、太陽光発電所、風力発電所を協調制御し、系統全体の安定性と効率性を最大化します。
これこそが、個別最適から全体最適への転換であり、GX時代の水力発電が果たすべき役割です。本記事で指摘した「AI・IoT活用の遅れ」「再エネ全体の最適化」という課題に対する、アイ・グリッドの具体的な解決策がこのプラットフォームです。
水力発電は、100年以上の歴史を持つ成熟した技術でありながら、GX時代において再び新たな価値を生み出そうとしています。
AI・IoT技術との融合により進化を遂げ、再エネの主力電源を支える調整能力として、また地域のエネルギー自立を実現する基盤として、その役割はますます重要になっていきます。
日本の豊かな水資源と高い技術力を活かし、中小水力発電の開発を加速させます。既存設備のリパワリングにより効率を向上させます。そして、全体最適の視点で他の再エネと連携させます。これらの取り組みを通じて、水力発電は2050年カーボンニュートラル実現の重要な柱となるでしょう。
アイ・グリッド・ソリューションズは、グリーンエネルギーが循環する未来の実現を共に目指しています。水力発電を核とした持続可能なエネルギーシステムが、日本、そして世界のGXを力強く牽引していくでしょう。
アイ・グリッド・ソリューションズのGXソリューションはこちらからご覧ください。
