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産業用蓄電池とは?容量の違いや補助金について解説

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太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入効果をより高めるためには、産業用蓄電池と組み合わせて導入するのがおすすめです。蓄電池を活用することで、発電しにくい時間帯でも電力を購入せずに使用でき、コストカットや脱炭素への取り組みの一環として役立てることが可能です。

しかし、産業用蓄電池は家庭用蓄電池にはないデメリットも存在するため、導入前に知っておく必要があります。

本記事では、産業用蓄電池の概要や、家庭用蓄電池との違い、導入のメリット・デメリットなどを解説します。デメリットの解消法や補助金についても紹介しているので、産業用蓄電池の導入を検討している企業担当者はぜひ最後までお読みください。

産業用蓄電池とは?

産業用蓄電池とは、オフィスやビル、ショッピングモールなど、企業所有の建物や公共施設に設置される蓄電システムを指します。産業用蓄電池を導入することで、大地震や自然災害発生時に非常用電源として活用できます。ほかにも、太陽光発電で日中に発電した電力を蓄えておくことで、発電した電気を無駄なく使用し、電気代も削減することが可能です。

産業用蓄電池の特徴として、大容量であること、寿命が長く設定されていることなどが挙げられます。これまでは10kWhから20kWh台の容量が主流でしたが、昨今では60kWhを超えるものも存在し、より多くの電力を蓄えられるようになりました。

また、産業用蓄電池では停電時にデータの損失を防ぐ機能や、安定的に電力を供給し続ける機能を持つ装置の導入も不可欠です。容量が大きく機能も充実している分、導入コストも大きくなることが特徴です。

家庭用蓄電池と産業用蓄電池の主な違い

家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違いには、主に容量の大きさが挙げられます。先述の通り、産業用蓄電池はビルや商業施設、公共施設などで使用されるため、家庭用の蓄電池の数十倍の容量を備えていることがほとんどです。

また、産業用蓄電池は複数の蓄電池を統合したり、停電対策ができる機能が備わっていたりするため、家庭用蓄電池と比較してサイズが大きいことも特徴です。

その他の違いとして、電池の種類が挙げられます。家庭用蓄電池は小型で何度も充電ができ、リサイクル性も高いリチウム電池が主に使用されています。一方、産業用蓄電池は大容量の電力を貯蔵でき、耐久性も高いナトリウム硫黄電池が使用されることが多く、大量の電力供給を可能としています。

産業用蓄電池のメリット

ここからは、産業用蓄電池のメリットとデメリットを紹介します。まずはメリットから見ていきましょう。

災害時の非常用電源や拠点として活用できる

産業用蓄電池は多くの電力を貯蔵できることから、災害やその他の有事で電気が使えなくなった際の非常用電源として役立ちます。産業用蓄電池は1週間程度の電力を蓄えられるといわれており、停電による経営へのダメージを減らすことが可能です。

特に、病院や工場、倉庫など電力が欠かせない施設においては、事業継続の観点からも蓄電池の必要性は大きいといえます。太陽光発電設備による自家発電と組み合わせ、蓄電池で常に電力を貯めておくことが大切です。

再エネの利用率が増やせる

太陽光発電設備で発電した電力を蓄電池に貯めておくことで、夜間や天候の悪い日など、発電しない時間帯でも再生可能エネルギーを使用することが可能です。

地球の脱炭素化や低炭素化に貢献できることはもちろん、二酸化炭素を減らす取り組みに着手している企業にとっては、事業活動全体に良い影響を与えられる可能性があるでしょう。例えば、環境に配慮している企業として投資家や消費者にポジティブなイメージを与えられることなどです。

電気代を削減できる

産業用蓄電池の活用によって再生可能エネルギーを有効活用できれば、電気代の削減にも役立ちます。蓄電池に電力を貯めておくことで雨の日や夜間などでも電力会社から電気を購入せずに、自社でまかなうことができるためです。

そもそも、法人や企業の電気代は最大需要電力(契約電力)というものが定められており、もっとも電気使用量が多い時間帯の電気代が高くなる仕組みになっています。そのため、自社の電力需要のピーク時に電力会社から購入する電力を減らせれば、電気代そのものを安くできることに加え、最大需要電力を低下させることも可能となります。これを、ピークカットといいます。

また、夜間などのピーク時以外に電力会社から電気を購入して蓄電池に貯めておき、ピーク時に放出して使う方法を、ピークシフトといいます。ピークシフトを活用することで、自家発電による再生可能エネルギーを導入していない企業でも電気代を削減することが可能です。

企業価値を高められる

再生可能エネルギーの導入に加えて産業用蓄電池を導入することで、環境経営を行う企業として投資家などのステークホルダーに自社をアピールすることが可能です。日本では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しており、企業にも脱炭素化への取り組みが求められています。

昨今では、環境経営を実践する企業が高く評価される「ESG投資」に注目が集まっています。ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスなど企業の経営姿勢全体が評価の対象となる投資手法です。投資家から経営を高く評価されることで企業の価値が高まり、資金調達がしやすくなるなど好循環が生まれます。

産業用蓄電池のデメリット

産業用蓄電池はメリットが大きい一方で、いくつかのデメリットも存在します。代表的なデメリットを2つ紹介します。

広い設置スペースが必要

産業用蓄電池は大容量の電気を蓄える必要があるため、サイズが大きく、重量も100kgを超えるものが少なくありません。広い設置スペースを用意しなくてはならないことはもちろん、作業スペースも考慮して余裕のある置き場所を確保する必要があります。

また、スペースの問題に加えて、設置場所の環境も大切です。産業用蓄電池は発熱する機械であるため、湿度が高くなりすぎず、風通しが良いところに置くことが必須です。気温が氷点下を下回る場所ではリチウムイオン電池の性能が低くなり、思うように動作しなくなってしまう可能性もあります。氷点下にならない広いスペースを確保しなくてはならないことは、寒い地域の企業にとってデメリットとなる場合もあるでしょう。

かかるコストが大きい

産業用蓄電池の導入には少なくとも1,000万円以上のコストがかかるため、企業にとって大きな出費となります。蓄電池の導入によって投資が受けやすくなったとしても、初期費用が大きくなってしまうことをデメリットと捉える企業は少なくないでしょう。

昨今では、太陽光発電設備を初期費用をかけずに導入できる「PPAモデル」というものが存在し、その中に蓄電池を含められるケースも増えています。コスト面がネックになっているのであれば、PPAモデルを活用するのもひとつの方法です。

また、産業用蓄電池を導入する企業に対し、国がいくつかの補助金を用意しています。補助金の活用によって導入コストを大幅に削減できる場合もあるため、自社に当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。

産業用蓄電池の導入時に利用できる補助金の一例を紹介

産業用蓄電池の導入を検討している企業向けに、経済産業省や環境省が主導する補助金の一部を紹介します。産業用蓄電池導入の足がかりとしてお役立てください。

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

産業用蓄電池を導入する際に利用できる補助金として、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」が挙げられます。ストレージパリティとは、太陽光発電と組み合わせて蓄電池を導入することで、より大きな経済的メリットを得られる状態のことです。

この補助金は、民間企業や個人事業主などが自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池を導入することをサポートするもので、企業が経済的な負担が少なくストレージパリティを達成することをうながします。企業がストレージパリティを達成することで、脱炭素化や低炭素化を実現しやすくなることはもちろん、防災対策にも役立てることが可能です。

令和7年度予算の1次公募は7月に終了しており、2025年10月時点において、今後の情報は発表されていません。補助金を活用したい場合は、執行団体(一般財団法人環境イノベーション情報機構)のサイトで最新情報が更新されるのをお待ちください。

なお、補助金の申請には事前準備が必要なため、過去の募集ページを参考に必要な書類や申請方法などの確認をしておくと良いでしょう。

参考:EICネット|【公募のお知らせ】令和6年度(補正予算)および令和7年度予算二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募について

DR家庭用蓄電池事業

DR家庭用蓄電池事業は、2025年のカーボンニュートラルおよび2040年のエネルギーミックスを達成すべく、再生可能エネルギーの導入を促進するための補助金制度です。DRとは「ディマンド・リスポンス」の略であり、電力の供給量に応じて需要側が使用するエネルギーを調整することで、電力供給を安定させる仕組みを指します。DR家庭用蓄電池事業の募集の概要は以下の通りです。

<補助対象者>

DR活用にともない国内で家庭用蓄電システムを新規導入する法人・個人事業主・個人

<対象経費>

蓄電システム機器・工事費・据付費

<補助額>

1申請につき60万円

令和7年度予算の公募はすでに終了しており、来年度以降公募がある場合は執行団体(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)の公式HPで発表があることが想定されます。補助金の活用を検討している場合は、こまめにチェックしてみてください。

産業用蓄電池導入のご相談はアイ・グリッドまで

産業用蓄電池の概要や、企業が導入するメリット・デメリットについて解説しました。産業用蓄電池を導入することで、電気代の削減や脱炭素への貢献、企業価値の向上など多くのメリットがある一方で、設置スペースの確保や多額の導入コストがかかることなど、見過ごせないデメリットがあることも事実です。補助金などを活用し、自社にとってメリットの大きい方法を模索していきましょう。

アイ・グリッド・ソリューションズでは、太陽光発電を初期費用0円で導入できるPPAモデルに、産業用蓄電池を含めて契約することが可能です。産業用蓄電池を導入したいものの、コスト面がネックになっているとお悩みの場合は、ぜひアイ・グリッド・ソリューションズまでご相談ください。

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