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SDGsの取り組み 食を通じた課題解決で未来につなぐ【インタビュー】ぶどうの木 池田 薫さん

2021年3月に発足したアイ・グリッド・ソリューションズの「CO2ゼロアクション プロジェクト」。このプロジェクトは、アイグリッドの再生可能エネルギーの電気ブランド「スマ電CO2ゼロ」やCO2削減アクションを推進するエネルギーマネジメントシステム「エナッジ」などをご利用いただくことで、お客様と一緒に脱炭素社会実現を目指し、CO2ゼロの輪を繋げていくプロジェクトです。今回は、株式会社ぶどうの木の本店活性化推進部部長 兼 商品企画室室長 池田 薫さんにアイグリッドのサービス導入に至った経緯やぶどうの木の環境への取り組み、今後の展開などについてお聞きしました。

—ぶどうの木の事業概要について教えてください。

「自然と農と人が交わる美味しい場所」をテーマに、金沢市で2ヘクタールあるぶどう園で60品種を越えるぶどうを栽培し販売しながら敷地内で、フランス料理、イタリアンレストラン、カフェ、洋菓子工房を運営しおかげさまで間もなく40周年を迎えます。

—アイグリッドのサービス(スマ電CO2ゼロとエナッジ)導入の経緯を教えてください。

電力契約でアイグリッドさんとは2018年からのお付き合いとなります。当時契約していた電力会社よりコスト面でメリットを感じていて、その後も定期的にフォローいただいていました。今回新しくクリーンエネルギーの電気プランを開始したとご案内いただき、今回スマ電CO2ゼロに切り替えました。スマ電CO2ゼロに切り替えたとしても、コスト面で大きく変化はなく、CO2排出量が実質ゼロであるとお聞きし、普段使っている電気で環境によいことができるというのが魅力的だなと思い切り替えを決めました。

エナッジの導入については、スマ電CO2ゼロへの切り替えのタイミングでアイグリッドさんとのいろいろなコミュニケーションを通じて、エナッジのサービスについてもご提案いただきました。当社はアメーバ経営を取り入れていて店舗ごとでの独立性を高めています。もともとコストに対する意識は高かったのですが、エナッジを導入して電力の見える化やどの時間帯に電気使用量が多いのか等を見える化することで、従業員が電力を使用する際の意識変容があるのではと期待しています。

電気使用量が多い時間にどういった行動をするべきなのか、自分たちで考えて行動ができるようになるため、電力以外の部分でも自分たちで考え行動することが身につくのではないかと考えています。

—ミシュラン2つ星を獲得おめでとうございます! あわせてグリーンスターも獲得されたそうですが、その理由は何だと思いますか?

ありがとうございます。2019年にオープンしたフランス料理「レストラン レ・トネル ぶどうの木」でこの度ミシュラン2つ星をいただくことができました。素材の質や調理技術などで評価いただいたことも大変名誉あることですが、さらにミシュラングリーンスターをいただけたことは大変ありがたいことだと感じています。グリーンスターとは、現代の美食を追求するミシュランが、2020年に新しく設けた評価基準です。旬や産地の見える料理、 環境に配慮した取り組みなど、サステナビリティを実践するレストランに与えられるエンブレムであり、いただけたとお聞きした時は、とても感慨深いものでした。地域の皆さまと築いてきたコミュニティへの評価だと感じているからです。引き続きおもてなしの心を大切にレ・トネルも含め他の店舗でもお客様とのご縁を大切により良いサービスや商品をご提供できるようにしていきたいと思います。

—御社にとっての環境への課題はなんだと感じていますか?課題解決のために取り組んでいることは具体的にどんなことでしょうか?

私たちぶどうの木は食を通じた事業を展開しています。そうした中でやはり食品ロスを減らすための取り組みは大きな課題です。ぶどうの木では、10年前からぶどうの木農園を運営し、この農園で育てた野菜や果物を料理や商品に使用しています。この農園では、食品工場で出る食品ロスやレストランで出る野菜くずなどを捨てずに肥料として使っています。

また、お菓子の製造工程で発生する端材や副産物を活用したエシカル商品「Hazico(ハジコ)」として販売を開始しました。価値ある素材を無駄なく使い、そこに新しい魅力もプラスしてご提供しています。たとえば、チーズケーキHazicoは国産バターを作る時に大量に生まれる「脱脂乳」を原料にして作ったチーズを使用しています。自家製ソーセージやベーコンを製造していますが、このスモーク材にも使う木材は、サクラ、ナラ、ヒッコリーのチップに加えて、ぶどうの枝と能登ヒバ。ぶどうの枝は、冬支度に入るぶどう園が切り落としたものを利用しています。捕獲されたイノシシの肉はジビエとしてソーセージなどの食肉加工品に利用する。今ではそんな新しい循環も生まれています。

食材を残すことなく、価値を最大化していく。これが私たちの使命だと思っています。


また、食品ロス以外にも、石川県金沢市を中心に展開していく中で、私たちの暮らす地域を守る活動にも力をいれています。その一つがぶどうの木農園です。この農園は10年前、周辺の豊かな水田地帯に目立ち始めた耕作放棄地を、畑へ転用する活動として開始しました。しかし畑への転用は、父祖たちが苦労をしながら築いた水田用の土壌を壊すこと。せめてもの気持ちで、農薬、除草剤、化学肥料を使わない環境にやさしい丁寧な農園経営を行うことで土地と向き合ってきました。しかし、それでも増え続ける放棄地は獣害にも見舞われるようになりました。そこで、2 年前に着手したのがラシェット計画。「ラシェット」とはお皿という意味で、ランドスケープデザイナー 団塚栄喜氏の提案によるものです。料理の一皿をイメージした円形の農園づくりを通して、人・自然・農のつながりと新しい循環を生もうとするものです。お皿の農園「ラシェット」を通じて自然豊かな石川県での里山を守るための活動です。この地で事業を展開させてもらう中でこの地域を守り、未来へつないでいきたいと考えています。

最近はSDGsという言葉が一般化してきましたが、私たちの日ごろ課題と思っていることを解決していくと、実はこれもSDGsだよね!ということに気づきました。そのため、社内でもSDGsにつながるんだよ。という言葉で伝えるとさらに環境にいいことをやっているんだ!という意識が高まり社内教育にもつながっています。

—今後の展開や地域への思いなど教えてください。

ぶどう農園からスタートしたぶどうの木。お客様がぶどうを買いに来てくださった時、ちょっとお茶ができるスペースがあれば喜んでくれるかな。という思いからカフェが出来上がりました。こうした「お客様が喜んでくれるなら。」という気持ちで菓子工房を作ったり、ウェディング会場を建設したり。ぶどうからの人とのつながりをもっともっと大切にしていきたいと考えています。そして、事業基盤を安定させながら、この自然豊かな石川県の地を守る活動「ラシェットプロジェクト」の運営も継続できるようにしていきたいです。


食を通じたぶどうの木さんのSDGsへの取り組み。今回は、石川県の美しい自然と共存し、環境、そしてお客様に寄り添った活動をされているぶどうの木さんの取り組みを取材させていただきました。いろいろとお話を伺っていくと事業を通じて出てくる課題解決が結果SDGsにもつながっていたという池田さん。課題解決に対し一つ一つ真摯に向き合い、社員一人一人の行動で未来につなげていくという強い思いを感じました。

今回、アイグリッドからぶどうの木さんにつながったCO2ゼロの輪と同じように、ぶどうの木さんの「自分たちの里を、自分たちで未来へつなぐ」というメッセージは、地域全体へとつながり、これから広くSDGsの輪がつながっていくでしょう。

株式会社ぶどうの木

池田 薫(いけだ かおる)様

プロフィール

役職:本店活性化推進部 部長 兼 商品企画室 室長

2010年入社、菓子部門の商品企画、社内外への広報活動と告知ツールの企画・制作、自社サイト用のブログ記事制作、社内イベントの企画と運営などに従事。

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