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V2H(Vehicle to Home)とは?【みるエネルギー辞典】

みなさんは「V2H」をご存知ですか?

V2Hとは「Vehicle to Home」の略で、 「Vehicle (車)から Home(家)へ」を意味する言葉で、電気自動車(EV)と家庭を繋ぐ仕組み・システムのことです。

菅総理が2030年に向けた温室効果ガスの削減目標について、2013年度に比べて46%削減することを目指すと表明したことで企業や家庭において脱炭素の取り組みは加速することが予想されます。脱炭素社会に向け再生可能エネルギーへの関心が高まる中で「V2H」は再生可能エネルギーの活用の幅を広げるということで注目が高まっています。

今回はEVの普及にともない注目されている「V2H」についてご紹介していきます。

急速に普及するEV

EVとは電気自動車のことで、走行時にCO2を排出しないため、環境にやさしい自動車です。世界的にもEV導入率は高まり、日本においても自動車メーカーにおいても「次世代自動車戦略」を打ち出し、EV生産への体制を構築しています。

(参考:経済産業省「EV・PHV普及に関する経済産業省の取組」https://www.chademo.com/wp2016/wp-content/japan-uploads/2017GA/2017GAMETI.pdf

今後のEV普及に伴い充電ステーションの市場規模は​2020年の211万5千台から​CAGR(年平均成長率)46.6%で成長し、2027年には3075万8千台に達すると予測されています。(https://www.value-press.com/pressrelease/267652

さらに、普及と共にEVを単に走るものとしてとらえるだけでなく、再生可能エネルギーを活用したり、EVそのものを「蓄電池」として活用する動きもあります。そこで登場するのが「V2H」です。

V2Hの役割

V2Hには大きくわけて2つの役割があります。

1つ目は家庭からEVに充電する役割です。EVが走行するためには充電ステーション又は家庭で充電する必要があります。家庭で充電する場合、家庭用の電気(交流)をEV(蓄電池)用の電気(直流)に変換しなければなりません。この変換をする装置がV2Hです。

2つ目の役割として、EV(蓄電池)に蓄えた電気を家庭に放電することができます。

前述したように家庭⇔EVに電気を送る際には電気を変換しなければなりません。EVから家庭に電気を送る際にV2Hが電気を変換することで、家庭へ放電が可能となります。

図1:家庭とEVの電気の往復

出典:ニチコン株式会社

V2Hのメリット(充電)

EVの充電器には、「普通充電器」「急速充電器」「V2H」があります。

では、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

図2:充電方式の違い

出典:ニチコン株式会社

図2をみると「普通充電器」と「急速充電器」・「V2H」とでは充電方式が異なります。

前述したとおり、充電には電気の変換(交流⇒直流)が必要となり、急速充電器とV2Hは充電器側で電気を変換、普通充電器ではEV側で変換しています。

充電時間の速さは、電力変換能力によって異なるため、充電器側で変換する急速充電器・V2Hと車載充電器で変換する普通充電器を比較すると、急速充電器とV2Hの方が、充電時間が速くなります。

V2Hは200Vの普通充電器に比べて最大2倍のスピードで充電が可能です

この充電時間の違いはV2H導入の大きなメリットとなります。

※車種によって異なります

V2Hのメリット(放電)

普通充電器・急速充電器とV2Hの大きな違いとして「放電」できることがあります。

では、放電できることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

1.電気代の節約

家庭での電力消費が少ない場合、使い切れなかった太陽光発電の電気をEVへ充電しておくことで、電力消費が多くなったときにEVに蓄えた電気を家庭へ放電することができるため、電気代を抑えることができます。

また、電力会社から送られる電気を使う場合は、契約している電気プランの“電気が安い時間帯”にEVを充電し、“電気が高い時間帯”にEVから家庭に給電することで、電気代の節約につながります。

2.BCP対策

災害時に停電が発生した際、放電できることでEVを非常用電源として活用できます。

停電により電力供給が停止してしまったときでも、EVに蓄えた電気を放電し、家庭に給電することで、(電気の使用においては)通常時に近い生活を送ることができます。

また、EVを蓄電池として活用することで電気を運ぶことができるため、自宅以外の場所に電気を届けることができます。

V2H機器ってどんなもの?

ここまでV2Hをご紹介してきましたが、実際にV2Hを見たことがあるという方は少ないのではないでしょうか。 V2Hの搬入・設置の様子を写真で見てみましょう。

今回搬入したV2HのサイズはW 809 × H 855 × D 337mm、重さは約90kg!2人がかりで台車を使って運んでいます。

専用ケーブルを使って、電気自動車(EV)と建物(住宅等)を繋ぎます。

電気自動車(EV)や再生可能エネルギーを最大限に活用するため、V2Hは大きな役割を果たしています。国も脱炭素化を推進するため、V2Hの導入に活用できる補助金を交付し、導入を後押ししています。

災害時の非常用電源としても大きな役割を果たすV2H。街中で多く見かけるようになる日も近いかもしれません。

▷出典

図1:家庭とEVの電気の往復 / 図2:充電方式の違い

ニチコン株式会社様(https://www.nichicon.co.jp/top.html)より掲載許可をいただきました。


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