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【インタビュー】一人一人の「商品の選択と購入」が世界を変える  ―フェアトレード・ラベル・ジャパン 中島 佳織さん

「フェアトレード」という言葉をご存じでしょうか?

フェアトレードとは、「フェア」な価格・条件で継続的に購入し、適正な価格で取引することによって、開発途上国の生産者が自らの力で生活を改善し、環境に配慮したり、より高品質なものを作れるようにサポートしたりするという仕組みのことを言います。

私たちが食べ物や日用品を購入するとき、商品が出来上がるまでの過程について考えたことはありますか?実は、手軽に買える値段のために、途上国での生産者や子ども達、そして環境が犠牲になっていることがあります。

こうした犠牲をなくすため、「フェアトレード」という仕組みに関心が高まってきています。

今回は、特定非営利活動法人 フェアトレード・ラベル・ジャパンの中島 佳織(なかじま かおり)さんにフェアトレードの現状と課題、今後の展開についてお聞きしました。

—日本におけるフェアトレードの取り組みについてお聞かせください。

(中島さん)フェアトレード認証の仕組みが日本に導入されたのは、今から28年前です。この10年で市場規模も3倍以上に拡大し、販路もだいぶ増えました。とはいえ、まだまだ消費者が「当たり前に買える」状態ではないのが現状で、もっともっとこの仕組みを増やしていく努力が必要だと考えています。

 また、「情報開示」という点では日本独特の壁があるようです。日本人は良い事をしていても偽善と思われたくない意識が強く、アピールすることに抵抗を持っています。美徳として持っていることは良いのです。

しかし、グローバル社会では、そうした考え方がリスクになり得ます。例えば、カカオを調達する世界中の企業のサスティナビリティへの貢献度を調査した報告書では、調査対象から外れた日本の大手企業もありました。外された理由は「CSRと言いつつ、おもちゃを寄付しているだけにしか見えない。(サスティナビリティには程遠いという見解)」。原因は、企業が確実な情報発信をしていなかったことにあると思います。良い事は自分達だけが分かっていれば…。ではなく、正しく発信していかないと間違った評価をされてしまいます。「エシカル消費」に関しても、消費者理解が高まる中で、企業からの発信は求められているものであり、消費行動に繋がるものでもあります。その重要性を日々感じています。

—フェアトレードの取り組みはまさにSDGsにつながると思いますが、企業としてどのように取り組んでいけばよいでしょうか?

(中島さん)流通小売業としてのサスティナビリティの取り組みは、エネルギーや食品ロス部分では広がりをみせています。いよいよビジネスのど真ん中である「商品」への取り組みが期待されます。十分な売上を得られるのかと二の足を踏む企業もいるようです。また、取り組み成果の開示をする企業が少なく、事業のベネフィットになるといった情報が伝わっていないという課題もあります。しかし、すでに一歩を踏み出している企業も多々あります。

例えば、食品卸大手の「国分グループ」では、2020年9月にSDGsステートメントとして「2030年までにエシカル商品売上100億円以上とする」と発表されました。直近では「丸井グループ」と連携し、チョコレート市場の100%「フェアトレード」「スレイブフリー」(奴隷労働をともなわない製造)をめざす「トニーズ・チョコロンリー(本社:オランダ)」の日本進出を支援して話題になっているという事例もあります。

—5月はフェアトレードミリオンアクションキャンペーンという大規模なキャンペーンを実施されていますが、この目的、成果はいかがでしょうか?

フェアトレードは、1つ1つの商品の選択と購入が積み重なって、開発途上国に大きなインパクトを生み出す仕組みです。自分ひとりが購入したところで、どこまでの変化を生み出せるだろうか、と思ってしまいがちですが、その1歩が世界を変えるインパクトを持っていることを実感してほしい。小さなアクションの積み重ねが大きな波を生むことを体感してほしい。そんな思いをもってミリオンアクションキャンペーンを企画しました。今回のキャンペーンには、本当に多くの企業、小売店、飲食店、市民、行政などが参加してくれ、それぞれの場所でフェアトレードを積極的に推進してくれています。100万アクションという目標を多くの皆さんと一緒に目指すことで、大きな意識の変化を生んでいきたいと思います。

—広がりを見せているフェアトレードですが、教育の場からフェアトレードという仕組みを伝えることはどのような意味がありますか?

(中島さん)「フェアトレード」が教科書に記載され始めたのは2006年くらいからです。2020年 から採用された小学校6年生の国語の教科書では7ページに渡って掲載されてフェアトレードをテーマにディスカッションをする内容となっています。いよいよ社会の課題に対して、主体となって考える力をつける教育が深化してきたのだと思います。義務教育から高校、大学に渡って持続可能な社会や今起きている社会の課題について学び続ける環境の中で育つ子どもたちの将来が楽しみです。

—私たちが当たり前に手にしている商品がどのように作られているか知ることはとても大切なことですね。誰もが当たり前に幸せに暮らせる社会にするため、一人一人ができることを行うことで、社会が大きく変化していくことを改めて感じました。

中島 佳織(なかじま かおり)様

特定非営利活動法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン シニアディレクター

大学卒業後、化学原料メーカー勤務を経て、国際協力NGOに転職。アフリカの難民支援やフェアトレード事業、タイ・チェンマイでのコーヒー生産者支援プロジェクトの立上げと運営に従事。その後、日系自動車メーカーのケニア法人勤務を経て、2007年より現職。グリーン購入ネットワーク理事、一般社団法人日本エシカル推進協議会アドバイザー。共著に『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』(産業能率大学出版部)など。

特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

フェアトレードミリオンアクションキャンペーン

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